ミステリとSF のページ
大学に入ってから合唱を始め、その後オペラにはまった半生を過ごしている私ですが、中学生の時出会った「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」以来(実際にはその前に子供向けルパン物を読んでいましたが)クリスティ、クィーン、星、小松、筒井、豊田などの本格推理、SFは、細々ながら私の第二の趣味としての地位を保っています。
表の*欄は私が持っている版と出版年です
本格推理へ
フレドリック・ブラウン (1906〜1972)
持っている冊数では筒井康隆、A.クリスティに劣りますが、私がSFの世界に興味を持つきっかけになった(確か中学生の時、叔父から借りて読んだ旧訳の「火星人ゴーホーム」)、という点で特に愛着があるのが、ここで取り上げるフレドリック・ブラウンです。
ブラウンは、ミステリ、SF、長編からショート・ショート其々に名作を残しているオールラウンドの大作家ですが、最近の若い読者にはそれほど知られていないのではないかと思い、私が一番好きな作家、として真っ先に取り上げることにしました。
創元推理文庫のミステリ
邦 題 訳 者 初出
原著* 価格 原 題 シカゴ・ブルース 青田 勝 1971
19471974
5版260 THE FABULOUS CLIPJOINT 三人のこびと 井上 勇 1962
19481973
3版220 THE DEAD RINGER 殺人プロット 菊池 光 1971
19481972
再版180 MURDER CAN BE FUN 月夜の狼 井上 勇 1965
19491974
6版240 THE BLOODY MOONLIGHT 手斧が首を切りにきた 青田 勝 1973
1950初版 220 HERE COMES A CANDLE 死にいたる火星人の扉 鷺村 達也 1960
19511972
8版180 DEATH HAS MANY DOORS 消された男 北村 太郎 1965
19591973
4版180 HE LATE LAMENTED パパが殺される! 向後 英一 1968
19631974
8版180 MRS. MURPHY'S UNDERPANTS
邦 題
訳 者初版
原著*
価格内 訳 真っ白な嘘
中村 保男1962
19531971
12版
170笑う肉屋、四人の盲人、世界がおしまいになった夜、
メリー・ゴー・ラウンド、叫べ、沈黙よ、アリスティッドの鼻、
後ろで声が、闇の女、キャサリン、お前の咽喉をもう一度、
町を求む、史上で最も偉大な詩、むきにくい林檎、自分の声、
まっ白な嘘、カイン、ライリーの死、うしろを見るな復讐の女神
小西 宏1964
19631970
7版
170復讐の女神、毛むくじゃらの犬、生命保険と火災保険、
すりの名人、名優、猛犬にご注意、不良少年、
姿なき殺人者、黒猫の謎、象と道化師、踊るサンドイッチ2冊の名短編集の中で、一般には「叫べ、沈黙よ」が知られていると思いますが、私が一番好きなのは「不良少年」です。緊迫したサスペンスが、思いがけずハートウォーミングストーリーとして落着する鮮やかさは、ミステリー短編史上最高傑作の一つと言って過言ではないでしょう。
創元推理文庫のSF
邦 題 訳 者 初版
原著* 価格 原 題 宇宙の一匹狼 中村 保男 1966
19571970
9版160 Rogue in Space 73光年の妖怪 井上 一夫 1963
1961The Mind Thing
邦 題
訳 者初版
原著*
価格内 訳 宇宙をぼくの手の上に
中村 保男1969
19511969
再版
190緑の地球、1999年、狂った星座、ノック、
すべて善きベムたち、白昼の悪夢、シリウス・ゼロは
真面目にあらず、星ねずみ、さあ、気ちがいに天使と宇宙船
小西 宏1965
19541969
10版
170悪魔と坊や、死刑宣告、気違い星プラセット、非常識、
諸行無常の物語、フランス菊、ミミズ天使、大同小異、
ユーディの原理、探索、不死鳥への手紙、回答、帽子
の手品、唯我論者、ウァヴェリ地球を征服す、挨拶スポンサーから一言
中村 保男1966
19581970
9版
170土人の魔術、歩哨、最初のタイム・マシン、あたりまえ、
実験、血、至福千年期(ミレニアム)、効きすぎ、
立ち入るな、武器、選ばれた男、ドーム、鏡の間、地獄
の蜜月旅行、最後の火星人、鼠、闘技場、かくて神々
は笑いき、スポンサーから一言、翼のざわめき、想像未来世界から来た男
小西 宏1963
19611969
19版
16020世紀発明奇譚(忍びの術、不死身、不老不死の妙薬)、
雪女、こだまガ丘、ステーキ、猫泥棒、第二のチャンス、
報復宇宙船隊、タイム・マシンのはかない幸福(1、2、3)
遠征隊、赤ひげ、ジェイシー、接触、身代わり、未来世界
から来た男、不死身の独裁者、漫画家とスヌーク皇帝、
おしまい、灰色の悪夢、緑色の悪夢、白色の悪夢、
青色の悪夢、黄色の悪夢、ばあさまの誕生日、死信、
忠臣、毒薬、魔法のパンツ、魔法の指輪、インド奇術、
大失敗、熊の可能性、三羽のふくろう、人魚物語、
最後の恐竜、殺人十課、いとしのラム、悪ふざけ、人形SFカーニバル(編)
小西 宏1964
19571969
17版
170タイム・マシン、ジョーという名のロジック、ミュータント、
火星人来襲、SF作家失格、恐竜パラドックス、
ヴァーニスの剣士、宇宙サーカス、ロボット編集者、
地球=火星自動販売機○ブラウンのSF全般を紹介した「我が手の中の宇宙」
ハヤカワ文庫のSF
邦 題 訳 者 初出 原著 原 題 発狂した宇宙 稲葉 明雄 1977 1949 What Mad Universe 火星人ゴーホーム 稲葉 明雄 1976 1955 Martian, Go Home ○「発狂した宇宙」を紹介したHP ○「火星人ゴーホーム」を紹介したHP
筒井 康隆 (1934〜)
実は二十代の頃一番はまっていた作家が、筒井康隆です。リストを作っていて、角川文庫、新潮文庫のものは文庫初版が多いのに改めて気づいたのですが、いかにはまっていたかがうかがえます。しかし私にとっての青春の文学だったのでしょう、その後もぽつぽつと読み続けている本格推理と違って、80年代半ば以降の人気作は、虚航船団、虚航船団の逆襲、旅のラゴス、夢の木坂分岐点、文学部唯野教授など全く読んでいません。
因みに、私が一番好きな短編は「熊の木本線」、ショートショートは「腸はどこへいった」です。
短編集
書 名
出版社 初版*
価格内 訳 東海道戦争
ハヤカワSF 19651972
4版
340東海道戦争、いじめないで、しゃっくり、トーチカ、ブルドッグ、
群猫、チューリップ・チューリップ、うるさがた、お紺昇天、
やぶれかぶれのオロ氏、座敷ぼっこ、廃墟、堕地獄仏法アルファルファ作戦
ハヤカワSF 19681972
再版
340アルファルファ作戦、近所迷惑、慶安大変記、人口九千
九百億、公共伏魔殿、旅、一万二千粒の錠剤、最後の
クリスマス、ほほにかかる涙、かゆみの限界、ある罪悪感、
セクション、懲戒の部屋、色眼鏡の狂詩曲(ラプソディ)幻想の未来
角川文庫 19711971
3版
160幻想の未来、ふたりの印度人、アフリカの血、姉弟、
ラッパを吹く弟、衛星一号、ミスター・サンドマン、
時の女神、模倣空間、白き異邦人アフリカの爆弾
角川文庫 1971初版
180台所にいたスパイ、脱出、露出症文明、メンズ・マガジン
一九七七、月へ飛ぶ思い、活性アポロイド、東京諜報地図、
ヒストレスヴィラからの脱出、環状線、窓の外の戦争、
寒い星から帰ってこないスパイ、アフリカの爆弾日本列島七曲り
徳間書店 1971初版
620誘拐横丁、融合家族、陰悩録、奇ッ怪陋劣潜望鏡、
郵性省、日本列島七曲り、桃太郎輪廻、わが名はイサミ、
社長秘書忍法帖、公害浦島覗機関(たいむすりっぷ
のぞきのからくり)、ふたりの秘書、テレビ譫妄症わが良き狼(ウルフ)
角川文庫 1973初版
200地獄図日本海因果(だんまつまさいけのくろしほ)、
夜の政治と経済、わが家の戦士、わが愛の税務署、
若衆胸算用、団欒の危機、走る男、下の世界、わが良き狼ホンキイ・トンク
角川文庫 1973初版
180君発ちて後、ワイド仇討、断末魔酔狂地獄、
オナンの末裔、雨乞い小町、小説「私小説」、
ぐれ健が戻った、ホンキイ・トンク筒井順慶
角川文庫 1973初版
180筒井順慶、あらえっさっさ、晋金太郎、新宿祭 ベトナム観光会社
ハヤカワJA文庫
1973初版
220火星のツァラトゥストラ、トラブル、最高級有機肥料、
マグロマル、時越し半四郎、カメロイド文部省、
血と肉の愛情、お玉熱演、ベトナム観光会社革命のふたつの夜
角川文庫 1974初版
260母子像、くさり、となり組文芸、巷談アポロ芸者、コレラ、
泣き語り性教育、深夜の万国博、革命のふたつの夜馬は土曜に蒼ざめる
ハヤカワJA文庫
1975初版
270横車の大八、息子は神様、空想の起源と進化、
混同夢、逃げろや逃げろ、人類の大不調和、
肥満考、馬は土曜に蒼ざめる国境線は遠かった
ハヤカワJA文庫
1975初版
280穴、夜を走る、たぬきの方程式、欠陥バスの突撃、
ビタミン、フル・ネルソン、国境線は遠かった将軍が目醒めた時
新潮文庫 19761976
2刷
280万延元年のラグビー、ヤマザキ、乗越駅の刑罰、
騒春、新宿コンフィデンシャル、カンチョレ族の繁栄、
註釈の多い年譜、家、空飛ぶ表具屋、将軍が目醒めた時おれに関する噂
新潮文庫 1978初版
240蝶、おれに関する噂、養豚の実際、熊の木本線、
怪奇たたみ男、だばだば杉、幸福の限界、YAH!、
講演旅行、通いの軍隊、心臓に悪いウィークエンド・シャッフル
講談社文庫 1978初版
280佇むひと、如菩薩団、「蝶」の硫黄島、ジャップ鳥、
旗色不鮮明、弁天さま、モダン・シュニッツラー、
その情報は暗号、生きている脳、碧い底、犬の町、
さなぎ、ウィークエンド・シャッフル農協月へ行く
角川文庫 1979初版
300農協月へ行く、日本以外全部沈没、経理課長の放送、
信仰性遅感症、自殺悲願、ホルモン、村井長庵メタモルフォセス群島
新潮文庫 1981初版
320毟りあい、五郎八航空、走る取的、喪失の日、定年食、
平行世界、母親さがし、老境のターザン、こちら一の谷、
特別室、メタモルフォセス群島宇宙衞生博覽会
新潮文庫 1982初版
280蟹甲癬、こぶ天才、急流、顔面崩壊、問題外科、
関節話法、最悪の接触(ワースト・コンタクト)、
ポルノ惑星のサルモネラ人間エロチック街道
新潮文庫 1984初版
320中隊長、昔はよかったなあ、日本地球ことば教える学部、
インタヴューイ、寝る方法、かくれんぼをした夜、遍在、
早口ことば、冷水シャワーを浴びる方法、遠い座敷、
また何かそして別の聴くもの、一について、歩くとき、傾斜、
われらの地図、時代小説、ジャズ大名、エロチック街道薬菜飯店
新潮文庫 19921992
2刷
360薬菜飯店、法子と雲界、イチゴの日、秒読み、
ヨッパ谷への降下、偽魔王、カラダ記念日
ショートショート集
にぎやかな未来
角川文庫 1972初版
180超能力、帰郷、星は生きている、怪物たちの夜、逃げろ、事業、
悪魔の契約、わかれ、最終兵器の漂流、腸はどこへいった、亭主
調理法、我輩の執念、幸福ですか?、人形のいる街、007入社す、
踊る星、地下鉄の笑い、ながい話、スペードの女王、欲望、パチンコ
必勝原理、マリコちゃん、ユリコちゃん、サチコちゃん、ユミコちゃん、
きつね、たぬき、コドモのカミサマ、ウイスキーの神様、神様と仏さま、
池猫、飛び猫、お助け、疑似人間(ロボットイド)、ベルト・ウェーの女、
火星にきた男、差別、到着、遊民の街、無人警察、にぎやかな未来笑うな
新潮文庫 19801980
4刷
280笑うな、傷ついたのは誰の心、悪魔を呼ぶ連中、最初の混線、遠泳、
客、自動ピアノ、正義、夫婦、帰宅、見学、特効薬、墜落、涙の対面、
流行、セクション、廃墟、ある罪悪感、赤いライオン、猫と真珠湾、
会いたい、接着剤、駝鳥、チョウ、血みどろウサギ、マイ・ホーム、
ブルドッグ、トーチカ、座敷ぼっこ、タック健在なりや、産気、
ハリウッド・ハリウッド、末世法華経、ベムたちの消えた夜くたばれPTA
新潮文庫 1986初版
320秘密兵器、遊歩道、癌、美女、狸、酔いどれの帰宅、歓待、いずこも
愛は……、落語・伝票あらそい、弾頭軌跡、2001年公害の旅、
モーツァルト伝、ナポレオン対チャイコフスキー世紀の決戦、カラス、
かゆみの限界、ここに恐竜あり、蜜のような宇宙、猛烈社員無頼控、
最後のクリスマス、女権国家の繁栄と崩壊、くたばれPTA、
レモンのような二人、20000トンの精液、モケケ=バラリバラ戦記
連作短編集
家族八景
新潮文庫 1975初版
180各章題名−無風地帯、澱の呪縛、青春讃歌、水蜜桃、
紅蓮菩薩、芝生は緑、日曜画家、亡母渇仰心狸学・社怪学
講談社文庫 19751978
10刷
260「心狸学篇」 条件反射、ナルシシズム、フラストレーション、優越感、
サディズム、エディプス・コンプレックス、催眠暗示
「社怪学篇」 ゲゼルシャフト、ゲマインシャフト、原始共産制、
議会制民主主義、マス・コミュニケーション、近代都市、未来都市男たちのかいた絵
新潮文庫 1978初版
260夜も昼も、恋とはなんでしょう、星屑、嘘は罪、アイス・クリーム、
あなたと夜と音楽と、二人でお茶を、素敵なあなた
戯曲集
12人の浮かれる男 筒井康隆劇場
新潮文庫 1985初版
36012人の浮かれる男、情報、改札口、
将軍が目醒めた時、スタージーザス・クライスト・トリックスター
新潮文庫 1987初版
400ジーザス・クライスト・トリックスター、
人間狩り、ジス・イズ・ジャパン、
部長刑事─もうひとつの動機(テレビ・ドラマ)、
ウィークエンド・シャッフル、三月ウサギ
長編
書 名 出版社 初版 * 価格 脱走と追跡のサンバ 角川文庫 1974 初版 300 霊長類南へ 講談社文庫 1974 初版 260 俗物図鑑 新潮文庫 1976 初版 360 48億の妄想 文春文庫 1976 19772刷 280 おれの血は他人の血 新潮文庫 1979 初版 240
ミステリ
富豪刑事 新潮文庫 1984 1984
5刷280 富豪刑事の囮、密室の富豪刑事、
富豪刑事のスティング、ホテルの富豪刑事フェミニズム殺人事件 集英社文庫 1993 1995
3刷500 長篇 ロートレック荘事件 新潮文庫 1995 初版 440 長篇
○筒井康隆資料館の中の「筒井康隆大事典」