84年秋に5回にわたって放映された
思い出のイ夕リアオペラ曲目リスト
82年10月、シミオナートと共に初期のイタオペに不滅の足跡を残したマリオ・デル・モナコが亡くなり、NHKFMでは83年3月に追悼番組が放送されました。この時の放送が大反響を呼んだのでしょう、84年秋には「思い出のイ夕リアオペラ」として、5回にわたってテレビで放映されました。
第1回 84年9月29日放映 1〜2次名場面集(超貴重映像続出!)
インタビュー 第1次関係者
放送担当関係者 福原信夫、 製作担当 上浪 渡、 美術監督 妹尾河童
エキストラ 柳田邦男、 メイク 愛川欽也
56年 ヴェルディ「アイーダ」 ヴィットリオ・グイ指揮
第1幕2場の二重唱、凱旋の場の後〜第2幕フィナ−レ
アントニエッ夕・ステッラ、ジュリエッ夕・シミオナート、ウンベルト・ボルソ、
ジャンジャコモ・グエルフィ、カルロ・カーヴァ、アントニオ・カッシネッリ
インタビュー 合唱指揮 森 正
56年 ヴェルディ「ファルスタッフ」 ヴィットリオ・グイ指揮
第2幕第2場より ジュゼッペ・タディ オリエッタ・モスクッチ 他
インタビュー キャスト(バルバリーナ)伊藤京子
(バックに音無しでシミオナートとの花娘の場!)
56年 モーツァルト「フィガロの結婚」 ヴィットリオ・グイ指揮
もう飛ぶまいぞこの蝶々、恋とはどんなものかしら、第3幕伯爵とスザンナの二重唱
ジュゼッペ・夕ディ、ジュリエッタ・シミオナート
アルダ・ノニ、アントニオ・カッシネッリ
インタビュー 観客代表 杉村春子
59年 プッチーニ「ボエーム」 ニーノ・ヴェルキ指揮
第3幕ミミの別れ〜フィナーレまで
フェルッチョ・タリアヴィーニ、 アンジェラ・ヴェルチェッリ
アルダ・ノニ、 シピオ・コロンボ
59年 ヴェルディ「椿姫」 アルベルト・エレーデ指揮
乾杯の歌、第2幕の二重唱
ガブリエラ・トゥッチ、ジャンニ・ヤイヤ、アルド・プロッティ
59年 ドニゼッティ「愛の妙薬」 アルベルト・エレーデ指揮
人知れぬ涙〜フィナーレまで
フェルッチョ・タリアヴィーニ、アルダ・ノニ、他
第2回 84年10月6日放映
59年 ヴェルディ「オテロ」ハイライト アルベルト・エレーデ指揮
オテロ : マリオ・デル・モナコ デズデモナ : ガブリエラ・トゥッチ
イヤーゴ : ティト・ゴッピ 他
59年 ビゼー「カルメン」ハイライト(イ夕リア語) アルベルト・エレーデ指揮
カルメン : ジュリエッ夕・シミオナート ドン・ホセ : マリオ・デル・モナコ
ミカエラ : ガブリエラ・トゥッチ エスカミーリョ : シピオ・コロンボ 他
第3回 84年10月10日放映、61年10月1日収録
ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」全曲 フランコ・カプアーナ指揮
シェニエ : マリオ・デル・モナコ マッダレーナ : レナー夕・テパルディ
ジェラール : アルド・プロッティ コアニー伯爵夫人、マデロン : アマリア・ピーニ
ベルシ : アンナ・ディ・スタジオ ルーシェ、デュマ、家令 : シルヴァーノ・パリューカ
密偵 : アントニオ・ピリーノ プレヴィル、マテュー : アルトゥーロ・ラ・ポルタ
フーキエ・タンヴィル、シュミット : ジョルジョ・オネスティ 他
このときの放送では収録日は表記されておらず、この収録日はその後発売されたLDのものです。
61年 ヴェルディ「リゴレット」ハイライト アルトゥーロ・バジーレ指揮
リゴレット : アルド・プロッティ ジルダ : ガブリエラ・トゥッチ
マントヴァ : ジャンニ・ポッジ マッダレーナ : アンナ・ディ・スタジオ 他
第4回 84年10月27日放映、61年10月22日収録
プッチーニ「トスカ」全曲 アルトゥーロ・バジーレ指揮
トスカ : レナー夕・テパルディ カヴァラドッシ : ジャンニ・ポッジ
スカルピア : ジャンジャコモ・グエルフィ アンジェロッティ : シルヴァーノ・パリューカ
教会の番人 : ジョルジョ・オネスティ スポレッタ : アントニオ・ピリーノ
シャルローネ、看守 : アルトゥーロ・ラ・ポルタ 羊飼いの少年 : 栗本 尊子 他
第5回 84年11月3日放映、61年10月25日収録
レオンカヴァッロ「パリアッチ」全曲 ジッゼッペ・モレッリ指揮
カニオ : マリオ・デル・モナコ ネッダ : ガブリエラ・トゥッチ
トニオ : アルド・プロッティ シルヴィオ : アッティリオ・ドラーツィ 他
なお、私は「パリアッチ」のみ、痛恨の録り忘れをしてしまったため、
このキャストはFMのデル・モナコ追悼番組での10月21日のものです。
また、収録日はその後発売されたLDのものです。
→ と思っていたところ、ネットの世界で知り合った方からダビングしていただきました。
思い出のイ夕リアオペラ曲目リスト
第1回 85年10月6日放映 、59年2月4日収録
ヴェルディ「オテロ」全曲 アルベルト・エレーデ指揮
オテロ : マリオ・デル・モナコ デズデモナ : ガブリエラ・トゥッチ
イヤーゴ : ティト・ゴッピ エミリア : アンナ・ディ・スタジオ
カッシオ : マリアーノ・カルーソー ロデリーゴ : ガブリエレ・デ・ユリス
ロドヴィーゴ : プリニオ・クラバッシ モンターノ : 岡村 喬生 他
第2回 85年10月10日放映、61年10月13日収録
ヴェルディ「アイーダ」全曲 フランコ・カプアーナ指揮
アイーダ : ガブリエラ・トゥッチ アムネリス : ジュリエッ夕・シミオナート
ラダメス : マリオ・デル・モナコ アモナスロ : アルド・プロッティ
ランフィス : パオロ・ワシントン バレエソロ : 貝谷八百子 他
第3回 85年10月19日放映、ヴェルディ「リゴレット」全曲
「イル・トロヴァトーレ」第二幕第二場の一部
第4回 85年11月24日放映、マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」全曲
「西部の娘」第二幕後半
が放映されましたが、私はデル・モナコ物だけで見送ったのか録画していませんでした。その後、1986年4月6日に63年第4次のプッチーニ「西部の娘」全曲が
単発で放映されましたが、これも私は録画していませんでした(残念・・・・・!)。
→ これもダビングしていただきました。
87年に4回にわたって放映された
思い出のイ夕リアオペラ曲目リスト
第1回 87年11月14日放映、59年2月8日収録
ドニゼッティ「愛の妙薬」全曲 アルベルト・エレーデ指揮
ネモリーノ : フェルッチョ・タリアヴィーニ アディーナ : アルダ・ノニ
ドゥルカマーラ : パオロ・モンタルソロ ベルコーレ : アルトゥーロ・ラ・ポルタ
ジャンネッタ : サンタ・キッサーリ 他
第2回 87年11月15日放映、67年9月3日収録
ドニゼッティ「ルチア」全曲 ブルーノ・バルトレッティ指揮
ルチア : レナータ・スコット エドガルド : カルロ・ベルゴンツィ
エンリーコ : マリオ・ザナーシ ライモンド : プリニオ・クラバッシ
ノルマンノ : ジュゼッペ・バラッティ アリーサ : ミレルラ・フィオレンティーニ
アルトゥーロ : アンジェロ・マルキアンディ 他
第3回 87年11月21日放映、67年9月収録
ヴェルディ「仮面舞踏会」全曲 オリビエロ・デ・ファブリティース指揮
グスターボ三世 : カルロ・ベルゴンツィ アメリア : アントニエッタ・ステッラ
レナート : マリオ・ザナーシ オスカル : マルゲリータ・グリエルミ
ウルリカ : ルチア・ダニエリ クリスティアーノ : マリオ・フラスカ
サミュエル : プリニオ・クラバッシ トム : アントニオ・ツェルビーニ 他
第4回 87年11月22日放映、67年9月4日収録
ヴェルディ「ドン・カルロ」全曲 オリビエロ・デ・ファブリティース指揮
ドン・カルロ : シャンドール・コンヤ エリザベッタ : ギネス・ジョーンズ
フィリッポ二世 : ニコラ・ロッシ・レメーニ 宗教裁判長 : アントニオ・ツェルビーニ
ロドリーゴ : セスト・ブルスカンティーニ エボリ公女 : ビセルカ・ツヴェイチ 他
NHKビデオギャラリー (1988年2月19日放映)
1956年第1次より 「アイーダ」 凱旋の場の一部
「フィガロの結婚」より 冒頭の二重唱、いかにせばや我が胸、もう飛ぶまいぞこの蝶々、
恋とはどんなものかしら ジュゼッペ・夕ディ、ジュリエッタ・シミオナート、アルダ・ノニ
司会 : 市川森一、石井めぐみ ゲスト : 妹尾河童 → NHKビデオギャラリーを紹介しているページ
蘇えるイ夕リアオペラ曲目リスト
94年11月5日放映、73年9月収録
ヴェルディ「アイーダ」 オリビエロ・デ・ファブリティース指揮
アイーダ : オリアンナ・サントゥニオーネ ラダメス : カルロ・ベルゴンツィ
アムネリス : フィオレンツァ・コッソット アモナズロ : ジャン・ピエロ・マストロメイ
ランフィス : イヴォ・ヴィンコ エジプト王 : フランコ・プリエーゼ
使者 : フェルナンド・ヤコプッチ 尼僧の長 : アンナ・ディ・スタジオ
バレエソロ : 森下洋子 他 ルイージ・スクアルツィーナ演出
94年11月12日放映、73年9月収録
プッチーニ「トスカ」 オリビエロ・デ・ファブリティース指揮
トスカ : ライナ・カバイヴァンスカ カヴァラドッシ : フラピアーノ・ラボー
スカルピア : ジャン・ピエロ・マストロメイ アンジェロッティ : カルロ・メリチアーニ
教会の番人 : グイド・マッツィーニ スポレッタ : フェルナンド・ヤコプッチ
シャローネ : フランコ・ロンバルディ 看守 : パオロ・マッツォッタ
羊飼いの少年 : 常森寿子 他
94年11月19日放映、73年9月19日収録
ヴェルディ「椿姫」 ニーノ・ヴェルキ指揮
ヴィオレッタ : レナータ・スコット アルフレード : ホセ・カレラス
ジェルモン : セスト・ブルスカンティーニ フローラ、アンニーナ : アンナ・ディ・スタジオ
ガストーネ子爵 : フェルナンド・ヤコプッチ ドゥフォール男爵 : グィド・マッツィーニ
ドビニー侯爵 : フランコ・ロンバルディ グランヴィル : カルロ・メリチアーニ
ジュゼッペ : 金谷 良三 使者 : 久岡 昇 他
94年11月26日放映、73年9月収録
グノー「ファウスト」 ポール・エチュアン指揮
ファウスト : アルフレード・クラウス マルゲリータ : レナー夕・スコット
メフィストフェレス : ニコライ・ギャウロフ ヴァレンティン : ロレンツォ・サッコマーニ
ワーグナー : パオロ・マッツォッタ ジーベル : ミレーナ・ダルピーヴァ
マルテ : アンナ・ディ・スタジオ 他 アントネルロ・マダヴディアツ演出
96年1月に4回にわたって放映された
蘇えるイ夕リアオペラ曲目リスト
96年1月7日放映、71年9月収録
ドニゼッティ「ラ・ファボリー夕」 オリビエロ・デ・ファブリティース指揮
レオノーラ : フィオレンツァ・コッソット フェルナンド : アルフレ−ド・クラウス
アルフォンソ : セスト・ブルスカンティーニ バルダッサーレ : ルッジェロ・ライモンディ 他
96年1月14日放映、76年9月収録
ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」 オリビエロ・デ・ファブリティース指揮
シモン : ピエロ・カプッチッリ アメリア : カーティア・リッチャレッリ
フィエスコ : ニコライ・ギャウロフ ガブリエレ : ジョルジョ・メリーギ
パオロ : ロレンツォ・サッコマーニ 他
96年1月21日放映、76年9月5日収録
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」
レオンカヴァッロ「パリアッチ」 オリビエロ・デ・ファブリティース指揮
トゥリッドゥ・カニオ : プラシド・ドミンゴ(二役)
サントゥッツァ : フィオレンツァ・コッソット アルフィオ : アッティリオ・ドラーツィ
ネッダ : エレナ・ヌンツィアータ トニオ : ベニート・ディ・ベッラ
シルヴィオ : ロレンツォ・サッコマーニ 他
96年1月28日放映、76年9月20日収録
チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」 ジャン・フランコ・マジーニ指揮
アドリアーナ : モンセラット・カパリエ マウリツィオ : ホセ・カレラス
ブイヨン公妃 : フィオレンツァ・コッソット ミショネ : アッティリオ・ドラーツィ 他
96年1月、94年11月に続き71年から76年にかけてのNHKイ夕リアオペラが再放送されました。画質、音質をリニューアルしたということで、以前放送された67年のルチア、仮面舞踏会、ドン・カルロと比べてかなり良くなっているように思います。見た人、録画した人、
見そこなった人様々だと思いますが、演目の紹介をしながら感想を述べてみます。
71年では、今回放送されたコッソット、クラウス、ブルスカンティーニ、R.ライモンディによる「ラ・ファボリータ」。クラウスファンの私としては、初めて見る伝説の名舞台に感激の一言でした。それに比べると前回放送された73年のスコット、クラウス、ギャウロフ、サッコマーニによる「ファウスト」には、自分でも意外なことにそれほど感激しませんでした。自分の中での思い入れが大きくなりすぎていたためのような気がします。私個人の感銘はともかく、主役三人の全盛期の素晴らしさは言うまでもありません。完壁!
今回放送された73年のスコット、カレラス、ブルスカンティーニによる「椿姫」。
スコットには脱帽です。第2幕の長大なジエルモンとのニ重唱と続くオーミオアルフレード〜にかけての表現、演技は、自分の持っている録画の中で最高と思いました。初来日した若き日のカレラスはその時点ではあまり評判にならず、後に日本人の見る目の無さが云々されたように記憶していますが、はっきり言ってあまり巧くない。90年頃来日して、同じ「椿姫」で佐藤しのぶと共演したときのアラーニャの方が歌い口の巧みさでは上、と感じました。
余談になりますが、最近CD2枚組2,400円で出たRCA復刻盤で面白い(というより間違った認識ではないかと思う)解説があったのでふれておきます。私が買ったうちの一組はメリル、ビョルリンク、ピー夕ースによるリゴレットです。(余談中余談?ということになりそうですが、メリルという人をビーチャム盤のボエーム位しか聴いたことがなかったのですが、2年ほど前に買った輸入CD「ビョルリンクニ重唱集」の中で、メリルとのオテロの第2幕フィナーレが特に良く、お勧めします)。この中で解説者は、ピー夕ースについて「昔ながらのコロラトウーラにしがみついたピー夕ースの歌唱は現在から見ると時代遅れだが、これはこれでなかなか聴けない歌である」と述べています。これは同じ夕イプから出発しながらスコットのような芸術の高みには到達し得なかった、10年後20年後のピー夕ースに対して向けられるべき言葉だと考えます。売り出したぱかりの25〜6歳のピー夕ースが、ボンス、パリウギ等の影響から逃れられなかったとしても当然のこと(誰もがカラスやスコットになれるわけではない)ではないでしようか。
因に83年のメトロボリ夕ンガラコンサートでは、座付き歌手達によるアンサンブルとして「ルチアの六重唱」を歌っている50過ぎ頃のピー夕ースの姿を見ることが出来ます。
76年ではドミンゴのニ役が話題になったコッソット、ドラーツィとの「カヴァレリア・ルスティカーナ」、「パリアッチ」が今回放送されました。上り坂のドミンゴがすぱらしいのは当然として、私が特に感じるのは、「パリアッチ」の男声キャストのパランスの良さです。
ヌンツィアー夕は少々魅力に欠けますが、小柄ながら悪役っぽい音色とよく響く高音を兼ね備えた声のディ=ベッラ、いかにも青年実業家!という格好良さのサッコマーニ、極めつけのデ=パルマの組み合わせは理想的だと思います。(ゼッフィレッリによる映画版におけるデカデブのトニオと遊ぴ人っぽいシルヴィオはいただけない)
ディ=ベッラのその後の活躍が聞かれないのはなぜなのでしようか。
他には、前回73年のカバイヴァンスカ、ラボー、マストロメイによる「トスカ」とベルゴンツィ、コッソット、サントゥニオーネによる「アイ−ダ」、今回76年のカバリエ、コッソット、カレラス、ドラーツィによる「アドリアーナ・ルクヴルール」とカプッチッリ、リッチャレッリ、ギャウロフ、
メリーギによる「シモン・ボッカネグラ」が放送されています。
ここまで書いてきて気になるのは、67年は4本中3本、73、76年は全部が再放送されて
いるのに、71年のパヴァロッティ、グロッソップ、ラッセルによる「リゴレット」とリッペルト、
ラボー、マリンピエトリによる「トゥ−ランドット」、スリオティス、コッソット、チェッケレによる
「ノルマ」の3本が再放送されていない(と思う)ことです。
リッペルト、マリンピエトリ、スリオティス等、この録画が残っていなけれぱ他に見ることが
出来ないと思われる貴重な映像ですが、失われてしまったのでしようか。
1996年3月(97年8月加筆完成)