本格推理
私が選んだベスト15
と
ネタバレを含むいくつかの考察
「本格推理」のページでのコメントでは触れられなかった「ネタバレ」を含む考察(単なる感想も含む)をしていきたいと思います。一部の作品についてはかなり「けなした」表現もすると思いますが、あくまで私の個人的な意見、ということでご了解下さい。
私が選んだベスト15
順位 作 品 名 作者名 掲載巻 評点 1 「藤田先生と人間消失」 村瀬 継弥 1 5 2 「ドルリー・レーンからのメール」 園田 修一郎 14 5 3 「踊る警官」 北森 鴻 孤島の殺人鬼 5− 4 「僕を悩ませるミステリーについて」 紫希岬 真緒 〃 4+ 5 「テレポーテーション」 行多 未帆子 15 4+ 6 「少年、あるいはD坂の密室」 小波 涼 8 4+ 7 「プロ達の夜会」 林 泰広 13 4 7 「問う男」 林 泰広 14 4 7 「六人の乗客」 大森 善一 15 4 10 「クロノスの罠」 山口 三樹 5 4 11 「密室、ひとり言」 増本 宣久 9 4 12 「たからさがし」 谷 英樹 4 4− 12 「猫の手就職事件」 南雲 悠 13 4− 12 「遺体崩壊」 城之内名津夫 13 4− 15 「落下する緑」 田中 啓文 2 4− 次点 「黒い白鳥」 石川 真介 4 4− 〃 「犬爺(いぬじい)さんの事件」 霧承 豊 6 4− 特筆 「漱石とフーディニ」 砂山 マモル 7 3+ 特筆 − もう一息でトップ争いクラスになったかも知れない!、大変惜しい。
1.既読の名作と似ている、と感じた作品を低く評価してしまうことについて
第14巻に載っている「我が友アンリ」という作品を、私は「余りにも「三つの棺」パターンである」という理由で低く評価したのだが、「三つの棺」を読んでいなければ「中の上」位に評価しただろうと思う。他にもいくつか同様の例はある。
逆に、私が高く評価した作品の中に「私が読んだことのない有名作品に似ている」ものがあるかも知れない(多分いくつかはあるだろう)、ということが考えられる。と書いておいたところ、最近になって泡坂妻夫の「亜愛一郎の転倒」を読み、「砂蛾家の崩壊」という作品が第5巻に載っている「クロノスの罠」の下敷きとなっていることがわかった。「クロノスの罠」を私は評点5−、ベスト15の第3位としていたのだが、犯行が発覚する手がかり(犯人と一緒にいた登場人物たちを丸一日眠らせておいて犯行が行なわれ、髭が伸びていることに気づいて発覚)などで下敷きをそのまま使っていることから、評点を下げざるを得ない。
しかし、「砂蛾家」におけるはっきりした欠点だと思われる、登場人物たちが日にちが定かでなくなる理由が「山の中で道に迷って2〜3日経過したから」という部分を、「クロノスの罠」では大変納得の行くもの(フィルターの中で一週間過ごす実験に参加させ、犯人が誘導して6日間を7日間に感じさせた。その間、一人時計を見ていた犯人だけが極度の疲労に陥った、という手がかりも納得出来る)にしている点と最後の落ち(女性だと思われていた性同一障害?の男性が髭の点を指摘)は評価できると思うので、ぎりぎりベスト10に残しておく事にした。 (2003.9)その後、第11巻に載っている「この世の鬼」が土屋隆雄の「最後の密室」という作品を下敷きにしていることがわかった。これもかなりモロに下敷きにしているうえに、作品としてもぱっとしない。「一発アイデアものとしてまずまず」から「最低ランク」に評価を下げざるを得ない。 (2004.4)