その一 BLACK対剣聖

 番組中盤を彩ったBLACKと剣聖の死闘。果たして本当に強かったのはどちらなのか。
 両者の直接対決の成績を調べた。両者共に決め手を欠き、判定に困る回もあるが、その場合は最後に技を放った方を勝ちとした。また、#29Bパートの「変身しない光太郎」と剣聖の戦闘は考察対象から除外した。星取り表を掲げる。

話数BLACK剣聖備考
#18・初対面時×
#18・二回目(落雷により痛み分け)
#19×(BLACKはマシンスクランブル使用)
劇場版#1×
#25・公園にて×
#25・バイク戦×
#28×
#29(三つ巴戦の途中でBLACK逃亡)
#30・競技場にて×
#34×
#35×

 十一回の直接対決でBLACK六勝、剣聖三勝、二痛み分け。これだけ見るとBLACKの成績が上回っているが、各回の内容を検討してみると必ずしもBLACK優勢とはならない。
 #18、剣聖初登場の回での初対決。剣聖の猛攻の前にBLACKは防戦一方、必殺技も弾かれ、遂にバトルホッパーで逃げ出している。BLACKの完敗である。逃げ出す時はさほど打撃を受けているようには見えないのだが、光太郎の姿でキャピトラに戻って来た時は傷だらけなので、やはり大打撃であったと見える。
 同じく#18での二回目の対戦、剣聖はデモントリックでBLACKを翻弄している。しかしながら突然の落雷に両者共打たれ、剣聖は退却。BLACKは自力では剣聖を撃退できていないのである。
 #19でも剣聖が有利に戦いを進め、BLACKは二大マシンを呼んで空前絶後の技、マシンスクランブルを繰り出している。これで剣聖を撃退することは出来たが、深手を負わせるには至っていない。というよりもBLACKが剣聖に深手を負わせたことなんてこの後も無いのである。
 劇場版#1、この時の剣聖は顔見せ程度。退却後に神殿で創世王から謹慎を言い渡される場面でも余裕が伺われる。
 #25の公園での戦いは剣聖がプレッシャーウェイブでBLACKを圧倒、地面にめり込んだBLACKは「このままではやられてしまう」とロードセクターを呼び、プレッシャーウェイブから脱出。直後ロードセクターに乗って剣聖に突進するも剣聖はそれをいなし、捨て台詞を残して退却。どうも剣聖がBLACKと戦ったのはついでであり、江上技師奪取成功で本来の目的は達成したから退いたのだろう。BLACKの台詞は大袈裟だが実際は戦いというより小競り合いか、双方とも疲労の色は見えない。
 同じく#25のバイク戦、ロードセクターとヘルシューターの対決である。殆ど五分に戦っている。RSコンピューターを使ったBLACKの作戦は失敗すれば共倒れになる虞れもあり、実に危険な賭けであった。
 #28ではコガネムシ怪人と組んで戦った剣聖だが、コガネムシ怪人が斃されて作戦失敗となると、さほど間を置かずに退却している。自身は特に大打撃は受けていない。
 #29はアルマジロ怪人が明白に剣聖とも戦っているので珍しい三つ巴の戦闘。BLACKがスパークリングアタックを剣聖に掛けているようにも見えるが、直後にBLACKは克美と君枝の二人を拾って走り去っているところを見ると、ただ逃げしなについでに剣聖にぶつけたように思われる。剣聖は必殺技を放っておらず、ロードセクターに乗ったBLACKも剣聖への攻撃よりも女性二人の救出と戦線離脱が目的だったと判断して、無勝負とした。
 #30、この時のBLACKはダークストームに圧倒されてぶっ飛ばされている。しかも打ち所が悪かったのか、光太郎は記憶喪失になってしまう。ここで剣聖の欠点の「詰めの甘さ」がなければ、放心状態の光太郎は剣聖にいともたやすく討ち取られていたであろう。光太郎、実に運のいい男だ。
 #34のBLACKは杏子を連れているという不利な状態、そして剣聖はサタンサーベルを手にした絶頂期。果たしてBLACKは剣聖に斬られて崖の上から転落、気絶してしまう。完敗である。ここで剣聖がきちんとBLACKを発見していれば、だったのだが。
 そして#35、二刀流の剣聖に対してBLACK意外に善戦するも、途中で復活間も無い地獄王子が剣聖からサタンサーベルを取り上げてしまう。ビルテクターを持たぬ剣聖はライダーパンチ、ライダーキックの直撃を受けて退却。しかしこの後でまだ地獄王子と対峙するだけの力はあったのだから、本当に「これで勝ったと思うな」なのである。
 まとめると、剣聖が勝った時にはBLACKに対して大打撃を与えており、文句なしの白星である。一方BLACKは剣聖に深手を負わせたことは無く、多くは辛うじて撃退できたか、或いは剣聖の方から無理をしないで退却しているかである。バイク戦については、辛勝ではあってもBLACKがヘルシューターを破壊しているのは評価すべき。
 以上の点から察するに、星勘定ではBLACKの方が勝っていても、内容をつぶさに検討すれば剣聖優位の場合が多く、結局、真の実力者は剣聖ビルゲニア、というのが筆者の意見である。

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