「石森萬画館」第九十一回訪問記

平成二十六年十月十一日(土)

 鉄道で九時十八分水沢発、十一時五十六分石巻着、前回と同じ。到着時刻が遅くなっていると感じていたが、十年程前の訪問記を読んでみると十二時三分着と言う時期もあった。
 好天石巻。ロマン海遊21を覗いてから石巻立町郵便局経由で中瀬に向かう。途中、火事の現場に出くわす。消防車が何台も来ているが既に鎮火したらしい。
 八幡家は予約客のみで利用できず。
 復興マルシェの餃子道場で「とり天ラーメン」七百円を喰らう。鶏の唐揚げが入った醤油拉麺。拉麺の具で肉と言えば叉焼チャーシューだと思っていたので、鶏肉は珍しいと思う。
 中瀬では作田嶋神社直行。損壊して転がっていた二体の狐石像が立て直され、一体は顔は鼻が欠けたままだが前脚や尾に修理が施されて台座に据えられている。改めて見回せば、木製鳥居の赤い破片は既に朽ち尽くしたのか、或いは片付けられたのかもう見当たらない。
 二階から入館して三階直行。ライブラリーを覗いてからBZの食券自販機を見れば何と「仮面ライダーBLACKコーヒー(ホットコーヒー)」! 昨夏の頃に単なる「ホットコーヒー」に書き換えられてから一年余り、遂に復活。喜びつつも平静を装って入店して、BLACKコーヒーと牛タンカレーの食券を差し出す。飲食を終えて食器を返却する際に尋ねればBLACKコーヒーは本日からの復活だと。命名者を名乗り出て、今後は毎回飲もうと告げる。
 一階で大森氏に会い、コーヒーの件や先月末の「青春ラジメニア」で萬画館関係の葉書が読まれた事を告げる。誰からも聞いていないのに自らBLACKコーヒー復活に気付いた筆者に驚く大森氏。
 墨汁一滴には人形その他、新番組「ドライブ」商品が既にいろいろ出ている。
 第55回特別企画展「マンガDE見る 石巻復興グルメ展〜石巻の味力発信〜」この日から一月十二日(月・祝)まで。石巻市内の飲食店の企画「“さかな”喰ふなら石巻プロジェクト」との連動企画である。
 ビデオやパネルで石巻市の水産業や海の魚を紹介し、大地震の被害と復興の過程を述べる。また、石巻市で発行されている漫画雑誌「マンガッタン」掲載作品の原画や、漫画家達から寄せられた被災地支援の色紙も多数掲示されている。色紙の絵柄の多くは、各キャラクターが石巻市の名産を食して喜んでいる図。前述プロジェクト参加店舗の紹介では、店舗の場所や電話番号等を書いたカードを持ち帰れるようになっている。

 例によって館内各部を見て回る。買い物はしない。厚手の上着を着て来るが不要なくらい温暖なので脱いで小脇に抱える。
 またBZに入ってBLACKコーヒーもう一杯とソフトクリーム。出された盆にはBLACKのシールが貼ってある。理解したな。
 十六時頃に辞去。
 復興マルシェの復興センターでいつもの鯖の味噌煮と生姜煮。
 ニューゼに立ち寄り、内海橋と渡し船の関係(渡し船はいつまで運行していたのか)を調べるも、備え付けの市史や事典には意外にも内海橋や渡し船について載っていない。武内館長も一緒になって調べてくれて、昭和六十一年から六十三年頃に廃止、と言う見当は付ける。五十六年発行の写真集には渡し船・白龍号が載っている。
 十七時十一分の小牛田行に乗って、十九時五十五分水沢着。

 BZからBLACKコーヒーが消えた後「最早毎回飲む義理は無い」と、BZの利用自体を拒絶していたが、復活とあればまた飲む外ない。この日は八幡家利用不可と相俟って、これぞBZ大逆襲である。
 特別企画展には、器さえあれば全国どこでも開催出来るものもあれば、その場所でしか開催出来ないものがある。まさに今回は後者で、ここ石巻市ならではの企画。あまり良し悪しをあげつらうべき企画展でもないだろう。萬画館が決して単なるマニアの殿堂、オタクの巣窟ではなく、また市営漫画喫茶でもない証拠である。
 「“さかな”喰ふなら」開催中なのに魚介類を全く喰らわずに帰って来ると言うのもまた筆者らしいか。本当は八幡家で鰻にしたかったのだ。
 次回で萬画館開館後の訪問が九十二回。開館前の旧墨汁一滴は八回訪れているので、通算すれば次回でマンガランド訪問百回になる。さてそれはいつになるか。 

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