「石森萬画館」第八十七回訪問記

平成二十六年五月四日(土)

 今年度初の野外上映会は特別企画展にちなんで「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」。章太郎作品以外の映画を上映するのは初めて。
 十時頃マシンで出発。前沢町や一関市での用事を済ませ、正午頃に一関市を出発する。晴れ、気温は二十度を超えている。
 いつもの国道三百四十二号線を走っていると花泉町内で道路工事中、迂回を求められる。左折して、常に右手に三百四十二号線を意識しつつ初めての道路を走って、暫くしてまた花泉町内の三百四十二号線に戻れてほっとする。いつも書いているが強度の方向音痴なので、数回カーブを経るともう自分が東西南北のいずれの方向に向かっているのか判らなくなる。
 十四時頃に中瀬到着。春のマンガッタンまつり。現地も晴れているが強風に見舞われる。関係者によれば萬画館南側の会場では強風のせいでいくつかの屋台は出店を取りやめ、また午前中の海斗ショーも中止したと言う。安全第一である。
 海斗ショーの舞台設営場所はその時によって異なる。今回は館の南側の川縁。午後のショーは予定どおり開始。内容は前回とほぼ同じだが少し手直ししたと言う。ラスト部分の台詞だろうか。今回も、衝撃の告白部分で客席からエーッと言う声が上がる。
 関係者数人と会話をする。大型連休中、萬画館二階の「仮面ライダーに変身!」は最長二時間待ちであると言う。四月下旬に東京国立博物館のキトラ古墳を見に行った時は外で七十分待ち、入場してから壁画前にたどり着くまで三十分だったから萬画館がキトラ古墳に勝った、と無意味な事を言う筆者。また、今回の特別企画展は初めての来館者が多いとも聞く。
 公園も館内も大混雑。シアターは入場制限で整理券配布。従業員が筆者に整理券を渡す時に「いつもありがとうございます」と言うので「『いつも』と解っているな」と応じる。石森両館の従業員は筆者その他常連の顔を憶えないうちは一人前ではない。
 作田嶋神社参拝。
 知人に頼まれた「マクロ酢」等を買う。今回の地元提携商品の棚には、商品開発経緯の説明漫画が掲示してある。
 ライブラリーで手に取って読む「よこたとくお」著「おもしろカレーライス物語」あかね書房。学研の学習まんが・ひみつシリーズ等で有名な「よこた」、筆者は小学生の頃から好きだった。この本の主張「日本でカレーが普及したのは米飯との組み合わせであったから」はそうだと思う。そして筆者の口癖「ライスカレー、ハンバーグ、ラーメンは和食」。
 シアターで海斗特別編を見ても、十八時半までまだ時間がある。しかしまた西内海橋を渡って本土を歩き回るほどの待ち時間でもない。中瀬で暇潰しをするなら萬画館しかない。会期初日に誤りを指摘した特別企画展のパネルは、翌日には上から貼り付けて修正されていたのが今はパネル全体を作り直してある。萬画館で誤りを指摘した例は数えきれないが、展示品その物を作り直したのは初めて見る。ランカ・リーの絵を見た女子小学生が「初音ミクだ」と言っているのに居合わせて、そう言う時代かとも思う。
 館内のどこにも新作映画「キカイダーREBOOT」のポスターが無い。尤も後日、監督は石森両館を訪問している。
 十八時頃、萬画館を出て復興マルシェに向かう。広場に客席が設営され、ほぼ満席。観客の年齢層はやはり高いが、中には幼児を含む親子連れもいる。ここでSEI氏と合流。既に氏が席を確保済み。行列に並んで記念の缶バッジを受領する。
 上映は十八時半からの予定だがまだ明るくて二十分くらい遅れての開始。まずFのBD新商品のCMが映り、続けて五月三十一日と六月一日にFの劇場版二作品が連続上映と言う「特報」が出ると場内から拍手。
 夜も更けて強風で実に寒い。厚着して来て正解。筆者達の近くの親子連れは途中で退散。それにしても男二人で見る映画ではない。名台詞、名場面の数々、一条の部屋に入って来た早瀬の「どう言う事?」には「御覧のとおりです」としか言えない。
 終了後、SEI氏と徒歩で駅前に移動する。エンドーチェーン石巻店は立町にあったと言うが今の立町の様子からは想像も付かない。氏のなじみの店で一時間ほど飲食、歓談。店で別れて筆者一人マルシェに戻り、二十二時四十分頃に帰途に就く。花泉町内を走っていたら夜間も通行止め。少し引き返してから、多分往路とは別の道を走る。ただでさえ方向音痴の上に夜目が利かず、全く勘と運だけを頼りに、街灯も標識も民家も殆ど見当たらぬ山道を走り、何とか三百四十二号線に出る。気温は十度程まで下がっていて実に寒い。日付が変わって一時十五分頃帰着。

 美術館や動植物園等も含めて広義の博物館や、遊園地のような娯楽施設は、いかに新たな客を呼び込み、リピーターを増やすかが存続の鍵である。一度行けば、見ればそれで十分と言う施設は飽きられて淘汰されて行くし、繁盛している施設は常に新しい企画を導入している。萬画館はまさに学習施設と娯楽施設の両方の性格を持っている。今回の特別企画展で初めて萬画館を訪れた人が多いと言うのは実にいい事である。これをきっかけにマンガランドに興味を持ち、「また面白そうな展示があれば行ってみよう」と言う事になれば上出来。ふるさと記念館もそうだが、交通の不便な場所でも、相応の催し物ならば客は来る。
 今回の野外上映会は予定時刻より遅れての上映開始と言う不手際があった。その日の天気と違って、日没時刻は事前に調べれば判るし急に変わると言うことも無いのだから、きちんと調べた上で予定を組むべき。
 以下全くの余談。この日、石巻市の前に立ち寄った一関市のコミュニティFMの番組で地方タレント「よーすけくん」小山羊右が「エンドーチェーン仙台駅前店の屋上のショーに携わったのがこの世界に入ったきっかけ」と語っていた。SEI氏にこの噺をして「まさに我々は世代人だな」と言う事になる。筆者は「元」だが、宮城県民には大きな存在だったエンドーチェーン。

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