「石森萬画館」第七十五回訪問記

平成二十五年二月十一日(月)

 予定どおり、萬画館は改装の為に二月十二日から再休館に入る。その前に現・萬画館の見納めをすべく出掛ける。
 七時六分水沢発、いつもの小牛田経由で十時四分石巻着。居眠りをしている間に到着。現地晴れ。
 特に変わった様子の無いいつもの道を歩き、中瀬に入る。草ぼうぼうの空き地、嘗てここが映画館だったとはにわかには信じがたいだろう。
 まだ廃墟残骸のままの作田嶋神社、それでも手を合わせる。
 入館。一階で顔見知りの従業員と言葉を交わす。館内は多くの客で賑わっているが、従業員によれば前日の十日は特に大混雑であったと言う。
 今回は二階常設を重点的に見る。既に幾度も出入りしている場所だがこの日限り。改めて各展示を見る。
 開館当初から設置されているが今まで一度も乗った事の無かった遊具「サイクロン号に乗る」。初めてプリペイドカードを買い、まず初心者向けに挑戦する。普段原付或いは自動二輪に乗っているだけにゲームでも安全運転を心掛けて速度を上げず、目的地到達前に時間切れ。002の背中には乗らない。
 三階BZでBLACKコーヒー一杯。店員はコーヒーのみを出して砂糖やミルクには言及しないので良し。
 正午頃、中瀬を出て八幡家に赴く。前日に電話して漸くにして予約席を確保してある。店頭で名乗ると予約席に案内される。やがて紀代子女将も出て来る。
 今回の注文は茂洋しげひろ牛の丼、ミニうな重、茶わん蒸し、〆て五千円。茂洋牛は市内桃生ものう町産の高級牛肉。今回の訪問数日前のテレビ番組で八幡家と共に紹介されて、筆者は初めて知った。丼飯の上に牛肉が幾重にも敷き詰められている。一時間強を掛けて食事を楽しむ。また、八幡家に義理立てして他の店では鰻を食していないので、鰻を食すること自体が大地震の後、初めてである。
 また中瀬に戻る。萬画館の上から下まで見て回る。常設のトキワ荘展示のビデオも一通り見ているはずだがまた見ておく。
 サイクロン号に再挑戦、今度は少しくらい側壁や障害物にぶつかっても気にせずに速度を上げて、初心者向け、上級者向け共に目的地到達だが上位入賞はならず。
 館内で特に常連、知人等には会わない。
 珍しく墨汁一滴で買い物。黒いセンスと黒いポロシャツ。筆者は夏場でも人前に出る時は必ずネクタイを締めるので、(口癖は「クールビズをぶっ飛ばせ」)、Tシャツは着用できない。  三階研修室で抽籤会実施。引き当てるのは末等の海斗キャンディー。
 この日は特に記念式典等は無いが、十七時のからくり時計作動には少なからぬ人々が集まる。休館中はからくり時計も止まると言う。
 からくり時計を見てから中瀬を出る。復興マルシェの復興センターの人達とは既に顔なじみ。石巻やきそばと粟野商品を買う。
 十八時二十六分の小牛田行きに乗り、二十一時七分水沢着。

 旧墨汁一滴の閉鎖の時と同じような感慨を持った。予定されていた閉館なのだから寧ろ喜ぶべき。閉館おめでとう!
 今年は巳年。脱皮を繰り返す蛇は再生の象徴でもある。新生萬画館に期待しよう。

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