「石森萬画館」第七十二回訪問記

平成二十四年十月二十日(土)

 前の晩に八幡家のウェブを見ると確認すると二十日と二十一日は臨時休業。今回も果たせず。
 当日の予定からして昼食を摂れないのは明らかなので、乗車前に水沢駅の食堂でかつ丼をかきこむ。
 九時十七分水沢発に乗車。小牛田で石巻線に乗り換える。車内で、子供にサイボーグ戦士の服装をさせた母親達を見掛ける。前谷地の手前で異常感知で緊急停止。以前の萬画館での宮内タカユキライブの時の悪夢が脳裏を過るも数分で運転再開し、定刻どおり十一時四十六分着。
 晴天石巻市。寒さは心配ない。中瀬に向かって歩き出すと次第にその筋の愛好家と思しき人々を見掛けるようになる。
 正午頃に中瀬に入る。萬画館の北側には交換された真新しい機械が設置されている。南側の公園には後述の舞台や客席が設置され、その更に南側には飲食等の屋台が出ている。
 今回の催し物「石森萬画館PRESENTS アニぱら音楽館 EXTREME LIVE IN 石巻」。CSのキッズステーションの音楽番組の公開収録である。今回は宮城県民とそれ以外に枠を分けてのメール先着順受け付け。柵で簡単に囲っただけで椅子も敷物も無い客席も、県民枠とそれ以外に分けられている。筆者は入場券代わりのメールの印刷を係員に提示してBエリアに入場。既に十一時半から開場しており、多くの来場者で賑わっている。後日の報道、主催者発表によれば千三百人来場。
 十二時半からの開会に先立ち、関係者の挨拶等。まずまんぼうの木村部長が、ここは大惨事の現場であった事に触れ、万一の避難場所として対岸の松栄不動産ビルを説明する。
 続いて番組のディレクターがタイトルコールの発声について説明して皆で練習。
 最後に石巻市の笹野副市長。会場の客への礼、全国からの震災復興支援への礼を述べて、石巻市は復興に向けて暴走中である旨を宣言する。最近、萬画館関係の催し物には正副市長のいずれかが出席して挨拶をしている。
 楽団が入場。カラオケではなく生演奏である。
 そして「きただにひろし」、遠藤正明(東京から三日間かけて自転車で現地入り)、YOFFY、影山ヒロノブ入場。四人で新曲「不滅のヒーローシージェッター海斗」を歌う。特に専任司会者はいないようで、歌手達自ら進行する。
 この他の出演者は石川智晶、Gero、高取ヒデアキ、高橋英幸、そしてバレバレのシークレットは水木一郎。
 当日の曲目はのべ二十五曲、一部カラオケあり。中には筆者の知らない曲もあり、また後日この模様はテレビ放送もされるのでここには列挙しない。特撮関係ではやはり近年のスーパー戦隊の歌が多く歌われる。戦隊歌手は皆、スーパー戦隊シリーズの元祖である章太郎への敬意を表明する。水木は今や名刺代わりの「マジンガーZ」の他、「原始少年リュウが行く」から「はるかなる愛にかけて」まで、章太郎作品の歌をメドレーで歌い、また章太郎との思い出を語る。仮面ライダーの描き方や、アニソンの何たるかを学んだと言う。「燃えろ!仮面ライダー」では筆者も拳を振り上げ「レッツゴー」「オウオウ」と合の手を入れる。水木は「はるかなる」に思い入れがあるようで、今回の大地震に際して各地で活躍している「ヒーロー」に思いを重ねていると言う。筆者は「スカイライダー」は世代人と言うだけで特に好きでもないが、「はるかなる」は大好きな曲である。水木からは翌日の特命戦隊ゴーバスターズ出演の件も話される。
 御当地の遠藤は爆竜戦隊アバレンジャー、環境超人エコガインダー0Xゼロエックス、シージェッター海斗を「世界三大ヒーロー」と称してそれぞれの主題歌を歌う。エコガインダーを歌っている時にはヒーロー本人も登場して踊り、次の海斗と交代して海斗も踊る。会場のキッズステーションの屋台では、「0Xと海斗」のTシャツも売られている。
 歌の合間の出演者同士の会話でいろいろ笑いも起きるが、今回一番の目玉は「ななじゅうなな銀行」であろう。
 最後は出演者全員で「誰がために」を歌い、お開き。当初予定では十五時半までだが、実際は十五時過ぎ。
 来場者達は会場から順次出て行く。筆者はまだ賽銭箱も無い作田嶋神社跡を拝んでから中瀬を出て、当ても無く復興マルシェに赴く。そこでうろうろしていると見覚えのある後ろ姿、確かめれば果たしてSEI氏。復興センターで自分用に粟野製品と鯖の味噌煮、生姜煮を買ってから、今回も氏の案内で駅前の飲食店で食事。いろいろな話をする。筆者は被災地石巻市に足を運び、現地で金を使う事で支援の足しになれば良いと思ってはいるが、果たしてその行動は野次馬根性で現地に迷惑を掛けていないか、正しい行動だろうか。
 日帰り可能な最終便は十九時四十九分。それに合わせて店を出て、二十二時三十九分水沢着。帰りの車内で読む「神話と文学」岩波書店の著者は石巻市在住だった事もある石母田正。実は石巻駅前で驚きの人物に出会う。

 多少風が強く、出演者達は「唇が渇いて歯にくっつく」と言ってはいたが最後まで晴れていたので良かった。長時間歩くよりもその場で立ち止まっている方が何故か疲れる、二時間半筆者も立ち見であったが、意外と耐えられたものだ。
 とにかく熱気に満ちたライブ。キッズステーションは当地のケーブルテレビで見られるので、元日のテレビ放送が楽しみだ。
 鯖の煮物は袋のまま湯煎してから袋を切ればすぐ食べられるので晩のおかずに丁度良い。

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