「石森萬画館」第七十一回訪問記

平成二十四年八月十一日(土)

 日中の用事を済ませてから十六時半頃にマシンで出発。終日晴れ。また前沢町内吉田石油で給油してからいつもの道を走り続ける。通常、往路で一度給油すれば復路まで持続する。
 順調に走って十八時半頃に石巻まちなか復興マルシェ着。駐車場の片隅にマシンを置く。
 西側から敷地に入り、テントの下の席にいるSEI氏を見付ける。今年二月以来の再会。筆者は今回の訪問を予告していないので大いに驚くSEI氏。登米市では何度も会っているが、実は石巻市での対面は四年前の第五十二回訪問、氏との初対面以来。
 今回の催し物は萬画館復興応援「野外スペシャル上映会」。何と萬画館の建物自体を映写幕にして映画等を上映してマルシェの敷地から見物すると言う前代未聞の企画。主催は萬画館と岡田劇場、共催はTOTO、協力は石森プロ、東映(株)、(株)街づくりまんぼう、後援は石巻市、企画制作は(有)オカダプランニング。萬画館の斜め向かいにあった岡田劇場の建物は跡かたも無く流されて今は見る影も無い。
 萬画館の西側には、既にTOTOのロゴが映っている。マルシェは大混雑、屋外の座席は満席。海斗の握手撮影会には長蛇の列。
 十九時を回ってから上映開始。まず上映されるのは例のトヨタ石巻CM、TOTOのCMとそのメイキング、劇場公開中の「仮面ライダーフォーゼ」、新作「サイボーグ009」、石巻高校出身大和優雅監督「つるしびな」の各予告編。丸みを帯びている萬画館の建物だが、作品は歪みも無くきちんと映っている。
 そして「仮面ライダー電王 俺、誕生!」筆者がこの映画を見るのは三回目、最初はロードショー、二回目はもりおか映画祭(同時上映は「8人ライダーVS銀河王」)。人の記憶に残っていれば「時間」は甦る、実に小林靖子思想が発現した作品。久方振りに「初代ハナクソ女」白鳥百合子の姿を見て懐かしく思う。以前見た彼女のブログでは萬画館の近くにまで来て入館はしなかったようだが、もう芸能活動はしないのだろうか。「アギト」以降の仮面ライダー映画ではこれの主題歌が最も印象に残っている。
 二十時半過ぎか二十一時前に終了。司会者から、今後もこの形式の上映会をしたい旨が告げられる。マルシェでは特に買い物もせず。
 固より予約等もしていないし既に営業時間も過ぎているが敢えて八幡家に二人で顔を出す。初めて建物の中に入り、紀代子女将と暫し立ち話。綺麗に改装された内部、早速北見けんいちと「ちばてつや」から祝賀の色紙が寄せられている。「いしのまきらいふ」を手に取る、復活していたのを知らなかったが九号目であると言う。片隅に飾られている古代中国の三本足の青銅器、「かなえ」と表示してあるが、気になって帰宅後に調べれば本当は「しゃく」ではないかと思う。
 その後、SEI氏の案内で駅前の飲食店に移動して歓談。二十三時半頃までいたか。
 SEI氏はマルシェまで送ってくれる。日付の変わる前に帰途に就く。中里方面は自動車の通行量も多いが、四十五号線の北上を始めると行き交う自動車も殆ど無い。気温も二十度を下回らないので寒さも感じない。ただ途中、登米市内と一関市内で違う道に迷い込んで暫く走ってから気付き、また三百四十二号線に引き返した為であろう、一関市内で四号線に入る直後に燃料切れ。予備燃料に切り替えるも四号線沿いには二十四時間営業の給油所はいくつもあるので、最初に見付けた店で給油して事無きを得る。二時半前の帰着。鋼鉄の黒騎士、真夏の深夜百キロメートルの疾走。

 あの丸い建物に映写すると言う発案に敬服する。大迫力と言うわけにはいかないが何より発想自体が楽しいし、実際の上映では予想よりも快適に見られた。今後も継続して欲しい。屋外上映会では長時間の作品はあまり向かないだろうから、やはりスーパーヒーロー映画の中編や短編が良いのでないかと思う。
 今回は八幡家での食事は初めから目的にしていないので黒星のうちに入れない。「鼎の軽重を問う」の言葉どおり、鼎は中国の天子の位の象徴。爵は大名が天子から拝受した器で、公爵、男爵等の爵位と言うのはここから来ている。
 いつも「いしのまきらいふ」は八幡家か萬画館で入手していたので、その復活は今まで知らず。以前と変わらぬ誌面で良い。これでまた石巻市訪問の楽しみの一つが増えた。

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