「石森萬画館」第六十六回訪問記

平成二十三年三月二日(水)

 水沢市を早く出て午前中は仙台市博物館のポンペイ展を見る。
 十一時七分に仙台から仙石線快速に乗り、十二時十二分に石巻に着く。積雪は無く、多少風があるが温暖。石巻立町郵便局に立ち寄った後そのまま東進。そして八幡家。いつものかば焼き定食と茶わん蒸し、三千百円。ここ数年、注文する品が固定している。紀代子女将達と会話。
 中瀬入りは十三時半頃か。筆者は普段中瀬を「なかせ」と読んで現地関係者との会話でもそうだが、海事公園の看板には「NAKAZE」と書かれている。日本郵便の郵便番号簿では「なかぜ」。海事公園の去年から立っている看板には「シーフードレストラン・貸ギャラリー/2011年春 オープン予定」と書いてあるが、工事開始の様子は見えない。小屋の中で兎がじっとしている。
 その公園の向かいに中瀬リバーサイドファーム出現。柵の中に馬が一頭たたずんでいる。貼り紙によれば兄妹だそうだから小屋の中にでももう一頭いたのか。
 作田嶋神社参拝。
 入館、まずBLUE ZONEでいつものコーヒー一杯。この時は阿部店長不在。壁面に各界からの萬画館宛年賀状が飾られている。串田アキラのは本人がオーズの変身ベルトを着用してポーズを取っている写真。
 第47回特別企画展・石ノ森萬画館10周年記念「石森スピリットの継承者 山田ゴロと仲間たち」一月十五日(土)から四月十七日(日)まで。山田は章太郎門下出身で、また章太郎映像作品のコミカライズを多く手掛けている漫画家である。筆者自身は名前を知っている程度で特になじみは無いが、小学生の頃、遊びに行った隣家で児童誌掲載の「ロボット8ちゃん」を読んだ記憶がある。
 展示の前半は山田主体。主催者や本人からの挨拶文の後、永井豪、桜多吾作、すがやみつる、細井雄二、中島昌利、シュガー佐藤、竹宮惠子からの挨拶のパネル。
 章太郎の原作版「仮面ライダー」の「よみがえるコブラ男」一回分の原画に即して山田の解説。
 山田版「仮面ライダースーパー1」も一回分の展示。
 堤哲哉の協力で、雑誌「テレビランド」「テレビマガジン」「冒険王」展示。山田の他、成井紀郎、石川森彦、すがやみつる、石川宣彦。「テレビランド」の九月号予告「ゴッドねえちゃんのケンカ入門」が実に気になる。
 後半は「仲間たち」の展示。山田の他に桜多、倉田よしみ、ねもと章子、一峰大二、石井いさみの原画展示。山田、桜多、一峰のヒーロー作品原画に見入る。一峰の「イナズマン」の青が鮮やかで実に美しい。
 常設の原画展示第23期は「影響を与えた作品たち」。「009」の「機々械々」、「かんばれロボコン」の「サービス精神の巻」、「ミラクルジャイアンツ童夢くん」の「メロディー来日」、「イナズマン」の「ギターを持った少年」。「ロボコン」や「イナズマン」のは以前見た記憶がある。この時点まで、館内で特に顔なじみには会わぬ。
 一階に下りているとエレベーター付近で、物資運搬中の阿部店長から挨拶をされる。共にエレベーターで三階に上がる。
 BZで特別企画展にちなむ商品「ゴロゴロクッキーセット」を喰う。クッキー、紅茶、ソフトクリームで四百円。クッキーは筆者にはかなり甘い。
 館内で話し相手がいなければライブラリーで「のび太と鉄人兵団」を読んでから帰るつもりでいたが、BZで店長と話し込む。大盛況だったと言う一月二十日のトークショーに都合で行けなかったのは痛恨の極み。筆者も子供の頃、マジンガーシリーズや「デビルマン」の再放送を見ていた。
 BZを出てまた展示を見る。企画展のパネルの誤り二点をアテンダントに通報しておく。
 例によって十七時少し前に辞去。十七時十二分石巻発、水沢着は十九時五十六分。水沢大雪。

 山田にはなじみが無くても、コミカライズの元ネタである映像作品は知っているので予想以上に楽しめた。また、山田の「コブラ男」解説は読み応えがあった。「仲間たち」も良かったし、総じて満足である。
 数多くの漫画家が石森作品のコミカライズやイラストを手掛けているので、その特集をしたら面白かろうと思う。同じ登場人物でも漫画家それぞれで表現が異なるから、それを一堂に並べて比較するのはどうか。
 今年は萬画館開館十周年。果たして如何なる企画が進行中なのか、七月を楽しみに待とう。

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