「石森萬画館」第六十四回訪問記

平成二十二年九月二十日(月)

 今夏よりシージェッター海斗ショーに登場した新怪人・ファリンクスが気になる。今年の水上ショーはもう無いが、敢えてショーだけ見に行く。
 思う所あって水沢から七時六分の上りに乗る。いつもの一ノ関、小牛田の他に石巻線の前谷地でも乗り換え、石巻着は十時十三分。所要時間は三時間七分だが正味の乗車時間は一時間五十分、即ち二時間に満たない。東北本線でも石巻線でも車内は柔らかい座席で快適に居眠りができるが一ノ関や小牛田のホームの待合室ではそうもいかぬ。
 九月になっても残暑が続いたが下旬に差し掛かればだいぶ涼しい。市役所前のV3を手始めに第二期モニュメントやフラッグ等を撮影しつつ歩く。準備中の八幡家の前を通過し、解体中の旧丸光の建物を仰ぎ見てから中瀬に入る。萬画館北側では十一時のショー開演を待つ人達が既に数人いる。
 中瀬を南下。海事公園には「シーフードレストラン・貸ギャラリー/2011年春オープン予定」と言う完成予想図看板が立てられている。中瀬は急速に変貌を遂げている。
 そして南端近くの作田嶋神社参拝。ここは全く変わらない。
 再び北上。十一時の萬画館からくり時計の終了を待ってショー開始。観客は五十人ほどか。筆者はいつも最後方、道路の手すりの辺りで見ている。
 冒頭から剣を持って登場する海斗、今回は自分のつのとの会話は無い。海斗とクラブアビシスの戦いに割って入るファリンクスは帝国の主・破壊神オクターノル直属で、クラブアビシスの指揮は受けない。あくまでもヒメラニアン帝国の一員ではあるが単独で海斗を斃そうとし、また海斗のドライブマリポーサと同等の技を使って今回は痛み分け。見るからに甲殻類であるクラブアビシスに対してファリンクスは迷彩のような抽象的な意匠。具体的なモデルの生物はあるのだろうか。クラブアビシスもまたファリンクスが気に入らない様子で、両者の対立は実に筆者にはなじみ深い構図ではある。
 今回もショーの途中で観客を舞台に上げてのヒメラニアン養成訓練があるが観客の反応が実に悪く、なかなか希望者がいない。筆者のそばにいた遠来の青年にミャーガノイドが必死に頭を下げて参加してもらう。その青年の他に子供二人。子供のうちの一人は途中で泣き出してしまう。
 正午前にはショーは終わったと思う。そのまま中瀬を出て八幡家に入り、いつものかば焼き定食と茶わん蒸し、三千百円。紀代子女将と仙山線北山駅や荒巻セントラルプラザの話題で会話をする。何故か石巻市民と水沢市民が北仙台の噺。
 十三時頃に辞去。駅のNEWDAYSで粟野商品を買い、十三時二十九分の小牛田行に乗車し、十五時五十分水沢着。帰り所要時間は二時間半に満たない。

 前回の訪問記では海斗事業を罵ったが何だかんだ言っても気にはなる。
 ファリンクスも「どこかで聞いたような」と言うのも白々しいようなありふれた人物設定ではある。造形からしてアバローニャよりはしっかりした本格的な悪役だろう。作った以上はきちんと運用せよ。今年はショーの内容や待望の漫画、人形発売でいくらかでも海斗事業に新展開が見られた。
 暫く前から耳にしている海斗の新しい歌曲。CDのとは別だ。テレビ番組のエンディングに合いそうな軽快な曲、これがCD化されたら買う。漫画や人形よりもCDに関心がある。

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