「石森萬画館」第六十二回訪問記

平成二十二年三月二十日(土)

 九時十一分の水沢発上り、十一時四十六分の石巻着。好天ではある。
 この日と翌日、石巻市中心部で「まちなか環境フェア」開催。その内容の一つ「まちなかエコウォークラリー」。マンガロードに新規設置されたモニュメント一つずつにクイズが掲示され、その十一ヶ所全てを回って回答すると粗品がもらえると言う催し物。
 駅前に移転した石巻市役所の前にV3が立つ。その他のモニュメントについてはこれから回る人もあろうからまだ言わぬ。そのV3の台座にクイズが掲示してあるのでそれを手持ちの紙に書き留める。北上川等についてのクイズ、これが意外と難しい。北上川の長さや流域の全国順位等知らぬ。
 モニュメントを探索しつつクイズの答えを書き留める。三会場の一つ、まず立町通りのエコステーション(旧ボストニアンクラブ)到着。工作教室、東芝のLEDの展示等。ここで「エコウォークラリー」のスタンプ台紙(クイズ回答用紙)をもらう。それにしても「エコ」と言う言葉、元々は「エコロジー」(生態学)の略語だったと思うが今や「省エネ」に取って代わったようである。
 リサイクルステーション(社会福祉協議会駐車場)で石巻焼きそば二百円を喰う。協議会建物脇のマンガレリーフは新たに塗り直されて絵柄が鮮明になっている。ここ暫くは褪色で絵柄が殆ど見えない状態だった。
 八幡家。つい先ほど焼きそばを喰ってしまっているのでいつもどおりの食事は出来ぬ。鳥の丼物と茶わん蒸し。
 十三時から岡田劇場で矢口高雄講演会の予定。ぎりぎりで滑り込むが店員に訊けば会場は急遽萬画館に変更だと言う。取って返す。
 映像ホールほぼ満員。ふるさと記念館熊谷副館長の姿を見掛ける。矢口高雄登場、題目は「川とわたし」。話の導入部でまぐろ海豚いるか、シーシェパードの問題を取り上げる。矢口はシーシェパードを非難して日本の鯨食用を食文化として肯定するも、グローバル化の時代に食文化だけで通用するか、昔は必要に迫られて喰ったのだろうが今後もそれらを喰い続ける必要はあるのかと疑問を発する。例えとしてかまどでの炊飯を挙げる、昔は必要で竈を使ったが今や竈で炊飯する家庭等無い。
 「三平」新作構想、昭和五十八、九年頃テレ東の番組での中国釣り旅行の思い出、平成十五年カムチャッカでの釣り、好きなカラオケの話等。十四時過ぎまで。
 再び岡田劇場に移動。「探検発見ぼくらの川」と題して、北上川についてのパワーポイント映像の映写。筆者も流域に暮らす一人だが知らないことばかり。観客は十人ほど。二十分。
 作田嶋神社の参拝を済ませてからエコウォークラリーの続き。全問の答えを用紙に記入してリサイクルステーションに提出、十問正解だがその時点での最高点だと言う。花の種を一つもらう。
 ダンボールアート展(ほ〜ぷす)を見る。二メートル以上ある段ボール製のRX‐78。
 漸く萬画館入館。第44回特別企画展「いやしのイラストレーター 村松誠の世界展」この日から六月二十七日(日)まで。週刊誌の表紙は店頭で見かけるが特に関心を持っていたわけではない。
 犬猫の絵等。あまり筆者の好みではなく特に感慨も無い。
 常設入れ替え、第20期は「石森とビッグコミックオリジナル」「 石森作品と動物」。「おや?」、「宇宙からのメッセージ」、「THE DOG WORLD」、「009」の「イルカと少年編」、「おかしなあの子さるとびエッちゃん」の「クリスマスプレゼント」。問題は「009」、要するに高等知能動物・海豚と人間の共存を願う内容。矢口の講演内容とも関連して、例の海豚漁の映画が問題になった週でもある。
 三階ライブラリーで「ドラえもん」原作の数冊を手に取る。「ぐうたらの日」原作では祝日の街の描写として各戸に国旗が掲げられているが、アニメ大山版では国旗が無く、水田版ではある。「人魚大海戦」の元ネタ「夜の街は海の底」は今回初めて読む。それにしても来春のドラ映画どうなる、とうとうあれが来るのか。これだけは断言しておく、主題歌は何を持って来ても元祖には絶対かなわない。
 BLUE ZONE。実はエコウォークラリーでBLUE ZONEでも使える食事券三百円二枚を入手。その券を無駄なく行使すべく、六百円のホットケーキとコーヒーセットを喰う。とうとう合法的ただ喰いの域に達する。
 館内を徘徊する。最近はライブラリーで話し込む事がある、知っている人が受付にいればの話ではある。BLUE ZONEやライブラリーで長居するくらいなら一般客の範囲。これが以前のように事務室に入り浸れば一線を越えている。
 今更ながら、女性相手にロボットアニメの話をしても殆ど通じない。
 今回の八幡家や萬画館での話題、仙台市へのアンパンマンミュージアム進出決定。以前から筆者は石森プロジェクトについて「手っ取り早く集客するなら『アンパンマン』」と言って来たが、その常設施設が県内に出現する。観光客は「仙台でアンパンマンを見れば十分、萬画館まで足を延ばす必要は無い」と言う事になりはしないか。相乗効果で共存共栄等と甘い事は考えない方が良い、寧ろ萬画館は対アンパンマンの迎撃、撃退策を早く立てるべきだ。
 十七時前に館を出る。今回も駅のNEWDAYSで粟野商品を買い、十二分の小牛田行に乗る。ダイヤ改正で一ノ関の乗り換えに時間の余裕が出来る。ホームの店でラーメンを喰う。七時五十二分水沢着。

 スタンプラリーと言うとやはり筆者とマンガランドの出会い即ち平成十年のオイスタンプラリーを思い出す。尚、マンガロードには後日マンガフラッグも登場した旨の情報を得た。実は今回は古いカメラがとうとう駄目になって写真を全く撮っていないので次の楽しみにしよう。
 企画展については特に言う事は無い。
 矢口の意見、竈の例えについて。確かに現代日本で竈で炊飯する必要は無い。しかし必要が無いからと言って、竈での炊飯を禁止すべきと言う事になるだろうか。それに鮪もどうしても喰わねばならない代物でもない。「米が無ければパンを喰えばいい」は平成五年の米不足で実現している。人間に「絶対不可欠、代替の利かぬ食品」等あるのだろうか。
 海豚漁を非難するような原画展示。しかしBLUE ZONEは以前から鯨料理を出しているし石巻市は捕鯨の基地である。萬画館は捕鯨や海豚漁に賛成なのか反対なのか。或いは鯨は賛成で海豚は反対の二重基準に見えない事も無い。

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