「石森萬画館」第五十二回訪問記

平成二十年五月九日(金)

 九時十一分水沢発、十一時四十六分石巻着。石巻駅舎は改装工事を終え、売店が西側の嘗てびゅうプラザがあった場所に移動している。
 駅真正面のさくら野百貨店石巻店は四月二十七日を以て閉店。外壁工事中。
 いつもの道を歩く。八幡家の通りに入る手前で元・萬画館従業員に会い、暫し立ち話。
 そして八幡家。紀代子女将在店。何を喰うか毎回考えるが結局かば焼き定食、茶わん蒸し、茶そば、三千七百円。十三時半頃までいる。
 天気はいい。気温は上がっている。中瀬に入って作田嶋神社参拝。
 BZ、この日も木村店長一人。いつもの一杯。
 世間噺をしてから企画に向かおうとすると、この訪問記の愛読者だと言うSEI氏に会う。店内で話し込む。同世代なので話は合う。
 八幡家とBZで提起したネタ。この週に、元・石森ヒロインの島崎和歌子三十五歳の等身大抱き枕が報道されているが、筆者は以前から「萬画館女子従業員全員の抱き枕」を要望している。毎月、各絵柄の従業員毎の売り上げを集計し、第一位の人は翌月の「萬画館の女王」になれると言う企画。玄人筋には受けると思うのだがどうだろうか。筆者ならあの人のだけいくつも買い込んで部屋に秦の兵馬俑の如く並べる。あの人とは誰だ。
 だいぶ話し込んでから一人で二階に向かう。第36回特別企画展「やなせたかしの子どもたちキャラクター展」三月十五日(土)から六月二十九日(日)まで。
 やはり「アンパンマン」中心の展示ではあるが、それ以外のやなせ制作のマスコットキャラクター等も数多く展示されている。また、地元幼児から寄せられた質問についてやなせ本人が直筆で回答を寄せている。
 「アンパンマン」絵画の何点かは以前もここや登米市で見た記憶がある。法務省の人権週間のキャラクターや土佐くろしお鉄道の御免駅について聞いたことがあるが斯くも全国的にいろいろ手掛けていたとは知らず。早い話が「アンパンマンだけが『やなせ』ではない」と言うことである。
 文章や詩も数多く掲げられている。よくよく考えてみると、打倒アンパンマンの為にばいきんまんが出て来たと言う事は、なまじ正義の味方なんかいなければ悪者も存在しない、ばいきんまんが悪事を働くのはアンパンマンがいるからだと言えはしまいか。ばんきんまんが先にいてそれを斃す為にジャムおじさんがアンパンマンを作ったのではない。やなせ思想は「正義が必ず勝つ」ではなく「光あれば影あり」である。
 常設では「絵コンテ漫画仮面ライダー」展示中。
 萬画館は全面禁煙になっている一方で墨汁一滴では以前からライター等、喫煙用品が何種類も販売されているが、果たして喫煙用品を買う時に年齢確認があるのかどうかは知らない。
 再びBZ、紅茶。この日も千円未満の飲食しかしない。平日だけに館内はどこも閑散としている、本来の対象の幼児の姿は見掛けない。この日も漫画に縁の無さそうな高齢者団体客を見る。高齢者団体客のツアーに萬画館も組み込まれているのではあろう。
 十六時五十分、BZを出る。駆け足で企画をもう一巡見る。
 十七時十二分石巻発、十九時五十二分水沢着。

 今回は企画展示よりもSEI氏との対面歓談である。愛読者だと言う人に久方振りに会った。今後も御愛読を願う次第ではある。
 原作者本人は高齢の為来館できないとは以前から聞いているが、当地の幼いファンからの質問に本人が回答すると言うのは初めて見た、面白い企画である。

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