「石森萬画館」第五十一回訪問記

平成二十年二月二十一日(木)

 時折思い立って平日に足を運ぶ。九時十分の水沢発上りに乗り、石巻着は十一時四十六分。車内ではずっと居眠りしていて外の景色はあまり見ていない。石巻市内に雪を見ないのは毎度のことである。
 石巻立町郵便局ATMに立ち寄り、そのまま裏道を東進する。
 八幡家。かば焼き定食と茶わん蒸し、いつもの組み合わせである。紀代子女将。
 和田社長の店。前回訪問時に話題にしたことの資料を見せる。
 向かいの粟野蒲鉾店で揚げ物を買う。
 この日の訪問先各所での主な話題、さくら野石巻店撤退と市役所庁舎移転について。川の西岸の旧DAC CITYの建物、筆者がマンガランドに通い始めた頃には既に空きビルだった。そしてついに石巻市中心部から百貨店が消える。そんなことを考えながらその空きビルの前を通る。
 そして中瀬へ。作田嶋神社参拝。
 平日の午後、人気の無い公園。
 二階から入館して直接企画に入る。第35回特別企画展「石ノ森章太郎 マンガのチカラ展」一月二十六日(土)から三月九日(日)まで。これも章太郎生誕七十年にちなむ企画。
 著書の文章や原画を使い、章太郎の作品制作過程、理論を解説する。章太郎の技法と共に、「009」等の作品の誕生の経緯も解るようになっている。章太郎は最後まで制作にデジタル技術を導入しなかったようだ。ピカソ等の素人目には不可解な絵も、彼らはきちんと基礎を身に付けた上で理論的に崩しているのだと章太郎は語る。「テレビ小僧」の二本分の原画で大笑い。前々から言っているとおり筆者にとっての石森章太郎は第一に特撮作品原作者なので、ギャグ漫画の鑑賞は新鮮である。例のギネス認定証も展示してある。常設の原画も入れ替えてある。
 閑散とした館内。墨汁一滴には多少人影を見掛けるも展示室内では他の客はおらず、全く一人での参観。
 BZもまた暇そうにしている。コーヒー一杯。当日館内で筆者とまともに会話をしたのは木村店長ただ一人。店内の壁に近隣官公庁のポスターが飾ってある。県警の「みんなの笑顔を守るため…」は丁度「仮面ライダークウガ」の頃の物、実に懐かしい。当時「1号対五代雄介」として話題にしたものだ。
 十七時に館を出て駅まで疾走、十四分の小牛田行に乗る。ぎりぎりまでBZ店内にいたいが走るのは大の苦手、余裕を持って十七時少し前に出る方がいいのか。帰りの車内でもまたよく眠る。十九時四十四分水沢着。

 多分今までの萬画館訪問で一番人がいなかったと思う。その分静かに参観できたとは言える。理論や過程等、完成作品の向こう側の部分について詳しく見られたのは良かった。
 これで石森両館とも生誕七十年記念企画が始まった。昨今のテレ朝ライダー人気は必ずしも章太郎人気ではない、だからこそ世間が章太郎その人にに注目する企画を展開して欲しい。

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