「石森萬画館」第四十二回訪問記

平成十八年九月九日(土)

 平成十年十一月二十一日のオイスタンプラリー以来、今回で石巻マンガランド訪問通算五十回。そして萬画館で宮内タカユキのライブ開催。その記念すべき日が最低最悪の訪問になってしまった。
 九時十一分水沢発。乗り換え駅の一関の到着予定時刻は三十五分。しかし一関の一つ手前の山目を出てあと二分ほどで到着という時に異常音感知で緊急停車。運転手が線路に下りて点検等をするがこれに時間が掛かり、一関には二十八分遅れの到着、既に十時を過ぎている。次の一関発小牛田行は十時五十六分、五十分待ち。一度改札を出て一関駅前局のATMで資金調達してからまたホームに入り、五十六分発に乗る。小牛田着が十一時四十八分で次の石巻線女川行が何と十三時十四分発、約一時間半の待ち時間! やっと石巻線に乗り込んで石巻着は十三時五十二分、目当ての催し物は十四時からなのでタクシーに飛び乗る、六百円。石巻駅から萬画館までタクシーを使ったのは初めて。その車内から、立町のポストのスカルマンの修復を確認。
 何とか十四時には間に合うものの映像ホールから一階まで延びる長蛇の列。木村課長に問えばもう入室は無理という。当日配布の整理券は既に終了。列の前の方が入室するも筆者はホールの手前の廊下で聞き耳を立てる羽目になる。以上、当日の「最低最悪」の全容。
 司会はショッカーO野。宮内は廊下の立ち聴き組の一人ずつと握手してから入室。ホールの扉は開放されている。以下、室内での出演者の様子は筆者は一切見ていない。
 宮内タカユキ、石森作品では言うまでもなく「RX」の歌手である。「RX」の作品自体については当時から根強い「こんなの仮面ライダーではない」論があるが、こと主題歌と歌手についての非難は寡聞にして知らず。現時点では宮内の仮面ライダーシリーズへの参加は「RX」だけだが、その「RX」だけでシリーズ上に大金字塔を打ち立てたと言ってよい。速度感と力強さを兼ね備えた主題歌「仮面ライダーBLACK RX」。孤独と絶望に対する激励、明日への希望を切々と歌い上げた副主題歌「誰かが君を愛してる」、どちらも不朽の名曲。メタルヒーローでは何と言っても救急警察三部作、その一作目「特警ウインスペクター」のサビで我々の度肝を抜く。スーパー戦隊の「超電子バイオマン」が特撮歌謡のデビュー作、その後も数多くの挿入歌を歌って「轟轟戦隊ボウケンジャー」にも参加。実に枚挙に暇が無い。
 今回も曲目列挙。

 何しろいきなり「SRS」である、見物客は森の木児童合唱団と化す。戦隊ロボットの歌では皆で拳を振り上げる。実に「RX」から四曲! 「すべては君を」では一同静まり返ってしみじみと聴き入る。「激進」を歌うのはレコーディング以来、公開の場所では初めてだという。「神戸」は前川清とクールファイブの歌。
 宮内は時々室内から廊下に顔を出して立ち聴き組にも配慮を見せる。また、途中でMoJoから電話が掛かってきて通話。
 室内と廊下で盛り上がる愛好家、その様子を見て通りすがりの他の客が何事かと近寄って来て、また去って行く。「宮内タカユキって誰?」と言う声も聞える。
 今回も一時間半ほどで終了。宮内は自販機近くにたむろする愛好家達に握手を求め、筆者はこの日三回も握手してもらう。
 BLUE ZONE。やはり筆者が姿を見せないので気にしていたという。訪問五十回を記念して鯨カレー、食後にBLACKコーヒー。
 そして二階、引き続き「映像世界展」開催中。受付に立つのがアイザワ氏なれば最早年間パスポートの番号すら告げないで入室。常設の原画展示一部入れ替え。
 十八時に辞去。
 和田社長の店、新装成る。
 十九時頃に辞去、駅に向かう。立町を歩いていて板橋社長に会う。三十六分、ホームで地震を感じる。五十五分の小牛田行に乗り、水沢帰着は二十二時四十分頃、またも何故か定刻より三分遅れ。  

 普段から鉄道を利用して数分程度の遅れはたまにはあるし、北国だけに冬場は氷雪で遅れがちである。多少の遅れは我慢してはいる。しかしながら今回はよりによって「マンガランド訪問五十回」の日に「乗り換え駅到着目前での緊急停車」「強いられた待ち時間の長さ」「宮内の生の歌唱を廊下で立ち聴き」という目に遭ってしまい、精神的打撃があまりにも大きい。宮内ライブで得られるべき感動がかなり減殺されてしまった。これを越えるようなひどい目は今後もそうそうあるまいし、あって欲しくない。

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