石巻「墨汁一滴」第五回訪問記

平成十二年十二月二十五日(月)

 九時十二分水沢発、十一時十二分石巻着は前回同様。久方振りに月曜日に休暇を取れたので今年最後の石巻市訪問を単身決行。
 石巻駅到着時は温暖。009像の角を左に曲がってシャッター通りを進み、旧北上川河畔に出るところでまた左に曲がる。やがて見えてくる石巻信用金庫本店。
 前々回、六月の訪問時は持参した職員証が本人確認書類とは認められず、入手に失敗した「仮面ライダー総合口座通帳」。今回は運転免許証を持参しての再申込みである。所定の手続きをして待つこと暫し。
 六月に見た「仮面ライダー」や「ロボコン」の張り子細工は今も展示中。
 そして窓口に呼ばれる、以前の失敗から半年にしてやっと入手。表紙に描かれているのは「仮面ライダー」萬画の絵。著作権表示は(C)ISHINOMORI SHOTARO。裏表紙には来年七月二十三日(月)に開館予定の「石森萬画館」のロゴ。なかなか美麗な出来である。同時申し込みのキャッシュカードは後日郵送、三十日に配達される。同じがらである。
 通帳入手後、すぐ「墨汁一滴」に向かう。平成十二年最後の営業日。正午頃の到着。
 和田社長、黒沢女史、女子店員一人が筆者を出迎える。「イナズマン」LD上映中。筆者から岩手名物南部煎餅を店に進呈。その煎餅の会社は一関市、即ち旧仙臺藩領なのに「南部」煎餅である。
 何度も男子小学生が出入りする。
 「BLACK」のDX変身ベルトを持参。「東映テレビヒーロー図鑑VOL.1」LDを上映させ、その変身場面等で作動させる。画面の閃光を受けて鳴り、光り、回る。そのテレビの上には大きなクウガ人形。
 程なくawano氏も来店。
 今度は「BLACK」ビデオ第九巻で変身ベルトの実演。テレビに反応して作動するベルトに喜ぶ和田、awano両氏と筆者、いい年こいた男三人。
 歓談、「構想」の進展や地元の話題等。「BLACK」LDやビデオの画面に合わせて筆者が解説をする。#51、雨の中で川岸に立ち尽くし、サタンサーベルを空に投げ捨てる光太郎。番組中屈指の名場面である。
 平山ライダーの怪人は「異形の人間」だが、大幹部、侍女以外のゴルゴム怪人は「人間の姿をした動植物」といった趣。即ち、ゴルゴム怪人には普通の人間のようにすたすたと歩いたりせず、常に両手をくねらせ、体をかがめて周囲を伺うように頭を動かしている者が多い。ここがゴルゴム怪人のものまねの要点である。
 今回の買い物は絵地図「ISHINOMAKI MAN画まっぷ2000」と「仮面ライダー」「ロボコン」シール。毎度毎度、大した額ではない。
 十四時過ぎ、「墨汁一滴」ウェブページの石森萬画館取材に同行。和田、awano両氏と共に建設現場に赴く。カメラマンはawano氏。現場工事事務所で和田社長が取材を申し込み、我々三人共ヘルメットを借りる。工事現場の担当者氏の案内で建物内部に入る。
 建物の外部は錆止めを塗ったところ。内部は壁も天井も剥き出しで照明設備等もまだ。
 スロープで二階、三階まで上がる。他にエレベーター、非常用螺旋階段がある。
 窓から川、市街地を望む。
 本当に内装はこれからの状態。注意喚起の絵看板は(C)TEZUKA PRODUCTION。工事中からして既に漫画がある。
 螺旋階段で下まで降りる。少々急な階段、「二日酔いの時はここを通らない方がいい」とは担当者氏の言。
 四十分ほどいる。工事事務所にヘルメットを返し、挨拶をして辞去。
 一天俄かにかき曇り、ぽつぽつと雨。小走りに「墨汁一滴」に戻る。買い物、手荷物を急ぎ取りまとめて辞去。
 awano氏の自動車に乗せてもらって粟野蒲鉾店へ。石巻市訪問の際はここに寄るのも既に恒例。一箱買う。蒲鉾の他、揚げ物も美味なり。
 更に駅まで送ってもらう。途中で目に入る巨大な伽藍、永巖寺。(有)HOの作業場にもなっている寺である。
 駅に着く頃は本降り。awano氏に礼を述べて自動車を下り、十五時二十一分発の小牛田行に乗車。十八時二十六分、水沢帰着時は大雪。往路は二時間丁度だったのに帰りは三時間余り、ここが田舎の交通機関の接続の妙である。
 ああ、平成十二年は石巻市を三回訪問した。その都度「墨汁一滴」スタッフ諸氏にはいろいろお世話頂いた、厚く御礼申し上げる次第である。特に今回は石森萬画館建設現場取材に同行できたのが嬉しかった。ただ、この年は友人達の都合がつかず、いずれも単独行動となったのは少々残念。
 次はやはり田代島を訪問しよう。冬は海が荒れるそうなので来春以降か。
 「まっぷ」大変楽しい地図である。009像から中瀬に至る辺りの地図。各企業等の一口説明やマンガジャパン参加漫画家達の絵がちりばめられている。掲載地域は広くはないが、都市地図には無いいろいろな情報が盛り込まれている魅力的な地図。いずれ009像以外のモニュメント等が設置されたら改訂版を出して貰おう。この地図を携えて市内を歩くのも楽しいだろう。
 ここでこの文章を読んでいる諸氏に改めて注意。目次にも書いてあるとおり、筆者はただの一愛好家である。石巻「墨汁一滴」を含めてあらゆる関連事業、団体とは無関係の部外者だし、客として意見要望は述べても企画運営等にまで参画するつもりは無い。今回の建設現場視察も「墨汁一滴」の取材への同行であって、筆者個人が「出入り自由」というわけではない。最近、筆者を「関係者」か何かと勘違いしているような輩がいないわけでもないので念の為、再表明しておく。

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