「石森萬画館」第四十回訪問記

平成十八年七月十五日(土)

 七時六分水沢で乗車、乗り換えを経て九時三十四分仙台着。水沢出発時は曇天だが仙台到着時には本降り。徒歩で仙台市博物館に向かい、特別展「ポンペイの輝き ―古代ローマ都市 最後の日―」参観。十一時半前に退出して十二時八分発の仙石線快速・マンガッタンライナー乗車。催し物以外での正規のマンガッタンライナー乗車は初めてである。
 十三時十一分到着。萬画館の狩野氏、伊澤女史、そしてシージェッター海斗が乗客を出迎える。氏は停車中の車内に乗り込んで何か作業をする。
 石巻市もあまり天気は良くない。中瀬直行、萬画館玄関前に板橋社長。社長に挨拶して共に入館。玄関からの入館とは何年振りだろうか。館内では十三時半からの握手・撮影会で海斗登場。
 受け付けに年間パスポートを提示して更新手続。既に料金は送金済み、パスポート裏面の有効期限を書き換え。
 映像ホール入場、十四時からMoJoのスーパーヒーロー・スペシャルLIVE開催。五十人ほどは入る室内だがすぐに満員、入り切れぬ客は廊下で中の様子を窺う。
 MoJo。後述の名曲群で筆者の世代には馴染み深い。最近またスーパー戦隊の挿入歌も歌っている。そして、富田伊知郎名義で歌ったり作ったりしているCMソングがまた数多い。
 司会はショッカーO野。以下、煩を厭わずに当日の曲目を列挙する。「セガタ三四郎」「アースジェット」以外のCMソングはCD演奏。CMソングについては、曲名ではなく商品名、通称等を書いている場合がある。

 MoJoゾーンについては昭和五十年代の名曲連発、幼児児童はついて行けずにむずかりだして親共々途中退室者続出。二、三十年も前の歌ばかりならば当然の現象だろう。O野自身が「普段は大きなお友達相手なので今日のように小さなお友達相手は珍しい」「小さい子は置いてっちゃうぞ」「前の子がポカーンとしてます」等と発言。幼児児童の反応が良かったのはCMゾーンの「ちゃれんじ一年生」くらいか。愛好家と幼児児童の反応ははっきり分かれる。愛好家は「あれは!」「フィーバーJ! フィーバーJ!」等と合いの手入れて大喜び。
 「サイレンビルダー」は「轟轟戦隊ボウケンジャー」のこの時点では未発表挿入歌、MoJo自身まだ歌詞を憶えていなくて譜面を見ながら歌う。「一般に聴かせるのは今日が初めて」「未発表曲なのでここで歌ったことはまだ秘密」「二十三日の放送で流れるからそうしたら『萬画館で先に聴いた』と友達に自慢して欲しい」ということだったが、実際は翌十六日の番組で流れる。朗々とした歌声と脚韻が心地良い。
 歌の途中で何回もO野の携帯電話に宮内タカユキから着信、しかし歌の合間にこちらから架け直すと出ない。一体、何の用だったのだ。
 一時間の予定が二時間近く。最後まで幼児児童は殆どわけがわからず、愛好家は大いに盛り上がってお開き。
 三階、やっとBZ。アイスコーヒー。
 廊下の人権啓発漫画の数枚が差し替えられている。「足入れ婚」はこの週のNHK「その時歴史が動いた」でも言及があった。この漫画はよく見ると隅の方に染み、焼けがあるが内容自体は古びていない。「暴力行為が露見して高野連から処分」という報道を聞く度、「我々の時はばれずに済んだ」と胸をなでおろしているOBがいそうな気がしてならない。
 二階企画展示室、第29回特別企画展「石森章太郎 映像世界展」七月八日(土)から九月二十四日(日)まで。「快傑ハリマオ」から「仮面ライダーカブト」まで、石森実写作品大集合。
 会期は長いのでまだ詳細の記述は避ける。ただ「網羅」「空前絶後」この二言だけ言っておこう。客はそこそこ入っている。
 常設の原画も入れ替え、「Black」あり。
 例によって展示室に出たり入ったり、一階と二階を徘徊。墨汁一滴に「かもめーる」のポスターが貼ってある。
 また企画を見ているとO野とMoJoに出くわす、MoJoと少し歓談して握手。今回の展示の説明文はO野執筆、本人がその展示を点検して回る。さすがにそつの無い説明文である。ビデオ上映コーナーで「BFJ」が流れているのでO野が「(MoJoライブがあったので)今日はいいけどこれは石森ではない」と指摘。
 BZ。空いた店内でライスカレーを食す。ここで飲み物やおやつ程度ではなく、まともな食事を採るのも久方振り。
 十八時で辞去。
 作田嶋神社参拝。
 粟野で知人の土産物に笹蒲鉾と揚げ物を買う。
 和田社長の店は改装工事中で社長の姿も見えず。儲かっているな。
 八幡家。女将在店。BZでのライスカレーの直後なので丼物や定食は無理、茶蕎麦と茶わん蒸しと鮭茶漬け、二千円だけ。BZに先に行った為に八幡家の売上が落ちる、これを「BZの逆襲」と言う。
 二十時頃辞去、同五十六分の仙石線に乗って仙台市に向かう。

 企画展示にしろ今回のライブにしろ、改めて、「幅広い世代に受け入れられる催し物」は難しい、なかなか無いとは思う。とは雖も、ライブの途中で退出して行った親子連れはそもそも何が目当てで入場したのだ、如何に無料でも出演者に失礼だし他の客にも迷惑だ。萬画館もふるさと記念館も、展示や催し物をよく理解しないまま入場して困惑して帰る客が少なくない。
 特撮、アニメの主題歌や歌手の、現在と二、三十年前の優劣を論じるつもりは無い。ただ、果たして現在のavex modeの歌手がこれから二、三十年後にまた「懐かしのアニソン」としてこのように歌ってくれるだろうか。「初代メカゴジラと同い年」の筆者は嘗て、「もう五年早く自分が生まれていたら第二期ウルトラや第一期ライダーを生で楽しめたのに」と思っていたが、今はそうは思わない。今回のMoJo、九月の宮内と串田、子供時代に彼等の歌声を聴けた事を、そして今も彼等が歌っている事を大変嬉しく、誇りに思う。

一覧に戻る

目次に戻る