「石森萬画館」第三十八回訪問記

平成十八年三月二十六日(日)

 仙石線マンガッタンライナー運行開始三周年記念行事開催、その見聞録。実は仙石線のマンガ車体には何度も乗っているが、本式のマンガッタンライナー乗車は運行開始日以来である。
 七時四十八分水沢発、八時十三分に一ノ関に降りて二十二分の新幹線はやて4号に乗車、五十分に仙台に着く。一ノ関から仙台まで三十分かからない。
 事前に萬画館に照会して、仙台駅で宣伝活動展開と言う情報を得てはいたが二階コンコースにはそれらしき連中が見当たらぬ。改札を通って仙石線ホームまで行ってみてもいない。暫くホームと改札近辺の間を徘徊しているとやがてコンコースで宣伝をする一団の姿を見る。河北新報の着ぐるみ・かほピョンや萬画館003(職員の誰かまでは確認できず)等。筆者は改札の中に入ってしまったので外に出られない。
 仙石線ホームに一団がやって来る。シージェッター海斗と楽天球団の着ぐるみ・クラッチーナではクラッチーナの方が有名なようだ。海斗を見て「変な仮面ライダー」「ゴレンジャー?」等と言う人がいる。デビューから二年経ってまだ県内でこの程度の知名度、しかし「石森ヒーロー」であることは非愛好家にも直感的に解るのか。これがウルトラマン等と言われたら目も当てられぬ。
 十時八分、快速マンガッタンライナー乗車。今回は三年前と違ってすぐに座れる、それほど混まなくて立っている人もあまりいない。車窓の景色を眺めても、沿線の野次馬等も見当たらない。
 仙石線でも東北本線でも松島を通過する度、こんな汚らしい海のどこが絶景なのだろうと思う。
 鹿妻を通過した辺りで車掌から「スペシャルサービス」の告知放送。右手を見れば県警のパトカー、そしてその前を走る軽トラックの荷台では楽天球団のMr.カラスコが投げ縄を振り回してこちらを威嚇している。その軽トラックの前にもパトカー、即ち県警の護衛を受けてのカラスコ登場である。三年前はショッカー軍団が走った区間だ。
 矢本からこれも楽天球団のクラッチ乗車、車内でチラシ配りや記念撮影。飛んだり跳ねたり、実に身軽な奴だ。
 車内の乗客の多くは前以て企画を知っているだろう、寧ろ途中の駅のホームで仙台行の列車を待つ人々がこちらの様子を見て何事かと驚いている。
 駅名を告げる車内放送は山本圭子のロボコンである。クラッチとクラッチーナはイヌワシ。「イーグルサム」を思い出す。
 十一時十一分石巻着。ホームに海斗とヒメラニアン帝国が出て人々を出迎える。ヒメラニアンを指差して「早くやっつけて」と海斗に真剣に訴える幼児、海斗はミャーガノイドをぶっ飛ばす格好をする。筆者はヒメラニアンの連中と記念撮影、筆者とクラブアビシスをミャーガノイドが囲む。暗黒大公もヒメラニアンも共にマンガランドの悪役だ。撮影の後、筆者得意の「ショッカー戦闘員の声」で答礼。
 駅前は多くの人々で大混雑。そしてまた着ぐるみ軍団が駅入り口からさくら野百貨店の辺りまで徘徊中。
 聞えて来る「シージェッター海斗」オルゴール曲。駅前広場で高さ三メートル半のからくり時計序幕、そのいただきには海斗の人形が鎮座する。一時間毎に曲が流れるがこの日は手動でずっと流している。
 正午頃に八幡家、開いている。実に五ヶ月振り。店内で筆者を出迎えるのは紀代子女将、彼女に会うのも何年振りだろう。本当に久方振りである。
 かば焼き定食で飯を何杯もお代わりし、茶わん蒸しを喰い、デザートに茶蕎麦。その間、女将と対話。デジタルカメラの、先ほどの筆者とヒメラニアンの写真を見て女将曰く「全然違和感無い」。
 ここ数年の恒例企画だが筆者は初参加の「マンガッタンライナーで食べライナー」。先刻、マンガッタンライナー内で受領済みのチラシを持って市内の参加飲食店に赴き、そこで籤を抽いて当たりが出れば飲食代割引等の特典がある。四千円分ほど喰った後でペットボトルを振って出て来た割り箸は見事「当たり」、何と今回の飲食代無料! 店員女史曰く「よく来てくれる人に当てて欲しかった」、自分自身でもそう思う。
 十三時半少し前に中瀬に入る。「みやぎのキャラクターカーニバル」萬画館北側の広場の特設舞台に着ぐるみ軍団が登場、これを審査員が審査して部門毎に賞を与えると言うもの。出番を待つクラブアビシスがバックルに番号札を着けているので「怪人が番号を着けているとベーダー怪物みたいだな」と声を掛ける。
 出場キャラクターと受賞者は下記のとおり。

  1. かほピョン
  2. カッペイとその妹(色麻町)
  3. 旬太(全国農業協同組合連合会宮城県本部)
  4. スモちゃん(スモリの家)
  5. シカボー、モシカ(みちのく杜の湖畔公園)
  6. すずりん(雄勝硯伝統産業会館)
  7. マカプゥ(東北電力)
  8. ドンちゃん、グリちゃん「ベストカップル賞」(シーアイタウン利府葉山)
  9. てとりん(仙台市選管)
  10. クラッチ「パフォーマンス賞」
  11. 石巻ロボコン「セクシー賞」
  12. 海斗「ヒーロー賞」
  13. クラブアビシス「ベストドレッサー賞」とミャーガノイド

 2の出囃子は「黄桜」、4は「ぞうさん」。3は間抜け面で決して利口そうには見えない。数名の着ぐるみは足元がおぼつかず、萬画館職員の介添えで歩く。特に危なっかしいのは9。2の妹には名前が無い、まるで「スノークのおじょうさん」だが、「カツコちゃん」と呼ぶ人もいる。6は低予算製作との噂、出来は着ぐるみというより手作り工作。10はここでも派手に飛び回る、川の手すりの外に身を乗り出したり見物の子供に飛び掛かったりして、やり過ぎという感じがしないでもない。筆者は最近妙に11に対する憎しみが湧いていて、奴に「引っ込め」と野次る。堂々たる悪者軍団たるべき13が舞台上で愛嬌を振りまくのは実にみっともない。どうせならプラカードと太鼓持って「ヒメラニアンのお化け大会」でも開きやがれ(キノコモルグ)。
 表彰式の後、「海斗」以外の多くの着ぐるみ達は着替えテントの外で頭を外してしまう。テントの入り口脇に無造作に積み重ねられた「かほピョン」達の頭。脱ぎ捨てられてまるで「ドロボンに倒された帰マン」のようになってしまったマカプゥ。
 十四時半頃BZ、いつものBLACKコーヒー。既に八幡家で満腹しているので食事は出来ない。
 第27回特別企画展「がんばれ!楽天イーグルス展」三月十八日(土)から四月十六日(日)まで、入場無料。一応見ておくが野球競技自体に関心が無いので殆ど理解できない。ただ、試合に海斗が試合の応援に行く等、楽天球団とマンガランドは以前からつながりがあるのは知っている。
 またBZ、ココアと紅茶。大した金額を注文しないのに長居する、悪い客に逆戻り。
 いつものウェットティッシュ、店頭の残り一本を買う。
 列車の時刻の都合で十七時には館を出なければならぬ、自称「マンガランドの男シンデレラ」。
 作田嶋神社参拝。
 十七時十四分の小牛田行に乗り、五十二分小牛田着。十八時二十七分に一ノ関行に乗ると、何と石森章太郎ふるさと記念館友の会の佐藤壽昭会長と会う。石越までの間、この日の出来事やふるさと記念館の噺をする。水沢着は十九時四十四分。

 仙台駅から中瀬までの着ぐるみ軍団総進撃は、萬画館特別企画展最高傑作「みやぎキャラクター大図鑑」の続編のような趣で、実に楽しめた。そして帰りの東北本線まで、実に石森尽くしの一日。しかも贅沢な飲み喰いをして無料と来れば言う事無い。ああ、今後八幡家はなるべく筆者に利幅の厚い物を喰わせて本を取らねばならぬ。
 今回のヒメラニアンの媚態には苦言を呈する。駅ホームでの到着客歓迎はともかく、カーニバル出場は悪役の本来から外れている。しかもクラブアビシスがおとなしく賞状まで受け取ったりして、実に情けない。ヒメラニアンがカーニバルに乱入するも海斗とクラッチ率いる正義の着ぐるみ軍団が撃退、という方が良かった。尤も、「海斗」が他の着ぐるみと同じ土俵に立ったこと自体にも違和感はある。それと着ぐるみの脱ぎ方も気を付けよ、テントの外に出しっぱなしとはあまりにもだらしない。さすがに「海斗」はそんなことしていない。
 当日現地関係者にも言った事だが、最近の海斗の活動報告は幼稚園訪問ばかりが目立つ。水上ショーの脚本は毎年更新しているが、最近はこれと言って大きな動きが無いのが気に懸かる。天下の石森ヒーローでも、現在の状態は「運用方法が『ゆるキャラ』」だ。
 サイボーグ戦士の服は男性が着ると人によって見た目が009になったり006その他になったりするが、女性が着れば一応誰でも003になれる。どう頑張っても石巻市の芋姉ちゃんがフランス人バレリーナになれるわけないのだから、地毛かかつらか知らぬがわざわざ金髪にまでなる必要は無いと思う。はっきり言って萬画館に金髪の似合う女性はいない。それよりも黒髪を大事にしてもっと和服を着てくれ。

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