「石森萬画館」第三十五回訪問記

平成十七年十一月十三日(日)

 去る四月二十九日、仙台市の輪王寺にて「みちのくプロレスの試合と植樹祭」というわけのわからない組み合わせの催し物が挙行され、その際にみちプロの選手として環境保護ヒーロー・植樹マン、その敵役の環境破壊帝国の破壊デビル、マネージャーの破壊女王アナベラがデビューした。同様の催し物が今般中瀬公園でも開催の運びとなり、輪王寺に続いて今回も筆者は駆けつけた次第である。
 十二日はMOVIX仙台で「仮面ライダー THE FIRST」を鑑賞して市内で一泊、翌日は仙台九時発の仙石線快速に乗って十時十二分に石巻着。晴天。
 破壊された立町のポストのスカルマンは修理済み。
 この日は中瀬直行。既に公園にはリングや露店が設営されている。
 「本部」テント近くに、服装は普通だが見覚えのある髪形の若い女性がいる。もしやと思い声をかければ破壊女王アナベラ、彼女こそ筆者にとっては今回の主人公である。
 一連の催し物の開始までまだ間がある。BZで例によってコーヒー一杯。筆者は元々色白だ。
 企画展示室にも顔を出しておく、入り口の職員と会話。やはり今回の特別企画展は地元民には大受け、若年層に好評らしい。
 十一時四十分から開催、司会は萬画館本郷女史。
 海斗やみちプロ選手達は館の北側出入り口のそばで出番まで控えている。選手の遮那王に、今年四月に輪王寺でも観戦した旨を告げる。袖の長い和服を着た遮那王だが試合中に着物が邪魔になったりはしないそうだ、寧ろ寒くなくて良いと。海斗に「あなたの兄弟だ」と言って「THE FIRST」のパンフを見せると彼はパンフの写真に最敬礼。礼儀正しいヒーローだ。
 順次みちプロ選手達、海斗、ぐりり、シーアイタウン利府葉山のドンちゃん・グリちゃんがリング前に集結、握手・撮影会。結構な行列が出来る。グリちゃんの巨大な頭を見て「Dr.スランプ」の登場人物(確か学校の教員)を思い出す。
 再びBZ。ピラフ。軽く平らげる。
 十二時半からちびっこプロレス教室。児童数名をリングに上げて基本動作の指導。花相撲の「豆力士の稽古」のように選手が児童相手に直接胸を出すわけではない。「8時だョ! 全員集合」の体操コーナーのような雰囲気。気仙沼二郎は「ゆとり教育」が気に入らないらしい。
 同五十分、気仙沼二郎ライブ。リング上で歌う。  新たに仙台市に誕生した女子プロレス団体「仙台ガールズ・プロレスリング」代表の挨拶。みちプロの女子プロ版らしい。
 いよいよ十三時から試合。カードは「ラッセVS景虎」「新崎人生・遮那王VSマンゴー福田・パイナップル華井」そして「植樹マンVS破壊デビル」。第一、第二試合とも派手な空中戦、実に動きが激しい。ふと周囲を見れば観客は家族連れ、若者、女性ファンの組等が多い。紙テープが飛ぶ。
 そして本日のメインイベント。本郷女史が口上を述べていると会場を切り裂く高笑い。遂に登場、破壊デビルと破壊女王アナベラ! 破壊デビルは「恐竜戦隊ジュウレンジャー」のドーラモンスター風の姿の着ぐるみ覆面レスラー。その相方の破壊女王は隈取りを施した顔に「電子戦隊デンジマン」のヘドリアン女王風の衣装。実に妖艶な姿と上品な笑い声、「ウルトラマンゼアス2」の神田うのなんか問題ではないぞ。女王登場に筆者は思わず「待ってました!」と叫ぶ。
 環境破壊を呼びかける破壊デビルと女王、会場に危機迫る。そこに颯爽と登場、正義の味方植樹マン。全体的に緑色、木の葉をまとったような姿の覆面レスラー。少し出ている腹には「木」と書いてある。
 プロレスの試合の形式を取った一種のヒーローショーだろう。両者早速リング外に飛び出して場外乱闘を繰り広げる。そのBGMに聴き覚えがあると思ったら「8人ライダーVS銀河王」! たまたま萬画館が持っていた音盤を使っただけらしいが、筆者が腹を抱えて爆笑するのは言うまでも無い。
 盛り上がる観客、会場の興奮も最高潮。植樹マンの危機に「ショークージュ! ショークージュ!」と観客が連呼を始めるが、筆者は当然「ハーカーイ!」である。試合は勿論植樹マンの勝ち。敗戦の環境破壊帝国はリング上で「改心」、これが悪者として筆者は気に入らないのだ。
 両陣営の和解から植樹祭へ。リングの南側、公園の草地部分と舗装部分の中間に植樹場所が設けられている。輪王寺の副住職や石巻市長の挨拶等の後、植樹。配られる木の苗を参集者達皆で植えて行く。主催者側が「子供優先」と言うので初めは後ろに控えて見ているが、筆者も勧められて一本植樹。植樹にはみちプロ選手や先述の着ぐるみ連中も参加。海の海斗と森の植樹マン、海陸の二大ヒーローの夢の共演。
 今回は二百本が植えられたが、主催者側によれば全ての苗が木に育つわけではない、育てなかった苗は他の苗の養分になるのだという。
 十四時半頃には植樹祭終了、人々は去って行くも着ぐるみ連中がまだ居残って子供達の相手や写真撮影をしている。両手を広げてウォーと少年達を追い回す破壊デビル。筆者はひたすら破壊女王を撮りまくる。もう最高だもの、萬画館の女子職員総掛かりでも彼女の魅力にはかなわない。記念に一枚取らせてくれと申し出て、ポーズを取ってもらって大サイズ高画質で全身像を一枚撮影。これは筆者一人で楽しむ秘蔵写真にする。しかしマントを足に巻きつけたりして、素足でなくても寒かったのか。
 リング撤去。
 またまた館内。BZでココアフロート。しかしこの日もBZでの飲食は二千円に達していない。つくづく申し訳なく思う。
 企画も見る。今回も館の内外でスタンプラリー。
 墨汁一滴も見る。ウェットティッシュを買う。また「石ノ森萬画大全集」強く勧められるが買わないよ。
 十六時頃辞去。
 粟野。野菜揚げ五枚。
 まんぼう壱番店でスタンプラリー完集、籤をひいて残念賞「うまい棒」。またこれか。
 先日、永巖寺門前に萬画神社が正式移転。
 久方振りに和田社長を訪ねる。定例どおり濃い会話。「萬がったん」を運営している以上、彼が部外者ということは無いぞ。筆者は辛うじて部外者の位置を保っているつもりだが、「構想」側はどう思っているか。
 十七時十四分の小牛田行きに乗って帰着は十九時四十四分。

 破壊女王アナベラ最高、今回はこれに尽きる。間近で見てすっかりその魅力の虜になってしまった。女性悪役でこれだけ興奮したのは大神官ビシュム以来、たまりませんな。本当にもう大好きだ、あの笑い声と足! そして黒髪というのがまたよい、筆者は茶髪は大嫌いだ。しかし朝から午後までカメラを持って半日も彼女を付け回していた筆者、後から冷静に考えれば不審者そのものだな。
 ところで、植樹マンは「改心」した環境破壊帝国と共に植樹をしたが、もしヒメラニアン帝国が全面降伏したら、主題歌で「悪の徹底撃滅」を叫ぶ海斗はこれを赦すのだろうか。クラブアビシスとミャーガノイドが海岸のごみ拾いなんてヤだぞ。

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