「石森萬画館」第三十三回訪問記

平成十七年九月十一日(日)

 前日に期日前投票を済ませて、当日水沢九時十一分発の上り列車に乗る。出発時に既に天気はあまりよくないが十一時四十六分着の石巻市でも似たような曇天。倉田てつをの誕生日だが別にそれにちなんだわけではない。
 いつもの道を歩く。シャッター通りは六年前の初訪問の時からそうだがこの日は何故か妙に、いつもより人通りが無いように感じる。日曜日の真昼間、時折自動車が通っていくもアーケードの下を歩いているのは誇張でなく筆者くらいのものだ。
 ペアーレ石巻前の仮面ライダー像は修理完了で復帰済み。よく見ると触角は新たに作り直したようだ、造型がきれいになっている。
 例によって八幡家。品書きは今まで冊子だったのが紙一枚に変更されている。かば焼き定食と茶碗蒸し、三千百円。鰻の蒲焼自体は脂っこい料理である、これを飯の上に乗せるから丁度良いのだ。
 中瀬、今回もまた二階から入館してBZに直行。コーヒー一杯で暫く居座る。筆者のマンガランド常連ぶりに対して店から「章太郎に成り代わって」礼を言われるが、その一方で筆者は一部の章太郎愛好家から「先生に会ったこと無いくせに」と馬鹿にされてもいる。
 四月の合併以来、市議会議員の焼身自殺やその市議会議員選挙の開票ミスをめぐる裁判沙汰、そして今般の少年の警察襲撃と、石巻市はろくなことでニュースに出ない。それでもニュースに出るだけマシなのだろうか。
 第24回特別企画展「南久美子 ほっこり ほっ展in石巻」九月十日(土)から十月二十三日(日)まで。彼女の展覧会は三年前に立町通りでも見たことがある(第十二回訪問記参照)。
 やはり漢字を題材にした一こま作品が好きだ。「女」と言う字は実に女性の象形文字だと思う。彼女の作品は漢字を使う民族ならではの感性ならん。漢字を習う小学生以上なら楽しめるだろう。
 六、七十代の団体客が大挙入場、本来なら漫画に一番縁遠い年代である。今回の特別企画展がこれで良かった、コミックやアニメの企画展なら間違いなく対象外だ。時々、館の一階で老夫婦が「何だかよく解らない場所に迷い込んでしまったな」「一体ここは何なんだ」と言う顔をしているのを見かける。
 当日はカメラを家に置き忘れてしまうが特に撮影したい物も無し。撮るべきほどの物は撮りつ。
 今回もスタンプラリー実施、館内の各所とまんぼう壱番館をめぐって完集するとくじをひける。後で帰り際に壱番館でひいてみれば「はずれ」の「うまい棒」めんたい味。確かに現代日本を代表する駄菓子だ。
 またBZに戻ってアイスココア一杯、店の人達と雑談等して過ごす。ここで比較的長時間過ごすので事務室に行く時間が無くなってしまうが、そもそも部外者一般客が今まで事務室に出入りしていたことこそおかしいのだ。筆者は「たちばな」の安達ではない。
 一階で買うのはまたもウェットティッシュのみ。
 十四時半頃に辞去。
 作田嶋神社参拝。
 和田社長を訪ねる。話題は布施辰治と北上川水運。実に濃密な会話を行う。北上川の件は本気で取り組めば論文の題材に出来るだろうか。
 十七時少し前に辞去。
 駅のコンビニで粟野の笹蒲鉾五枚入りを買う。義理は果たしたぞ。
 十四分の小牛田行に乗車して水沢着は十九時四十四分。

 特に南作品の愛好家と言うわけではないが、大の漢字、漢文好きとしては彼女の作品は実に楽しめる。今後も機会があれば鑑賞したい。
 今回「まんぼう」は海斗を宮城県選管に貸していないが、それでも従業員に棄権者はいないよな?

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