「石森萬画館」第三十一回訪問記

平成十七年六月二十五日(土)

 九時十一分、水沢から東北本線乗車、一ノ関乗り換えを経て小牛田で石巻線に乗り換える。東北本線と異なって未電化の石巻線は窓が開くので、カーテンを下ろして窓を開けて風を入れる。やはり自然の風に勝る冷房は無い。風を顔に受けて両足を向かいの空席に乗せて読書、これが夏のローカル線の楽しみだ。
 十一時四十六分、石巻着。六月の石巻市訪問は初めて。日差し強く実に暑い。駅前のダルマ薬局が閉店している。さくら野百貨店のATMで資金調達してからマンガロードを歩みだす。
 旧石巻市は四月一日の自治体合併で新設石巻市となり、同時に法令の定めで市の全域が「過疎地域」に指定された。人口十七万人、県下第二位の人口を持つ過疎地域。以下、会う人ごとに「過疎地域指定おめでとう」と述べる。
 ペアーレ石巻前の仮面ライダー像は先日またも損壊が発見され、当日は入院中。これも珍しい光景だろうと、主のいない台座を撮影する。事情説明の貼り紙は無い。
 八幡家。うな丼と茶わん蒸しセット、二千九百円。やはり鰻と茶碗蒸しは八幡家に限る。分量が多いから時間をかけて食す、これを楽しむ為にいつも朝食抜きで来るのだ。
 風が強い、いつもよりも潮の香りを強く感じる。十三時半頃に中瀬に入る。恒例の作田嶋神社参拝。西岸を歩いて一階のジュース自販機の近くから入館。
 カウンターに年間パスポートを提示して更新手続き。先日案内状と振替用紙が送付されて、既に年会費は納付済み。パスポートの有効期限表示を書き換えて、更新特典のBZサービス券を受け取る。
 BZ。サービス券行使でアイスコーヒー一杯。駅から八幡家経由で中瀬まで歩いただけなのに当日は何故か妙に暑さに参ってしまって暫時休息。暑いのは本当に苦手だ、しかし今まで炎天下の宮城県徘徊は何度も経験しているのにどうして今回ばかり斯くも疲労を感じたのか。
 二階。第22回特別企画展「高砂淳二写真展 僕の出会った世界の海」六月二十五日(土)から七月十日(日)まで。当市出身の写真家の作品展。
 写真家の名前自体は知らないが、氷上のアザラシ等、その作品は今までどこかで目にしたことがあるような気がする。海中を中心に自然の風景を扱った作品が多い。全体的に紺碧の海が基調となっている。海洋生物、鮮やかな花々。
 この日は高砂本人来場の故か、参観客多し。老若男女問わず、小さな子供でも作品に見入っている。漫画展示の場合は世代によって受け取り方が違う、例えば矢口高雄作品は親は熱心に見入っても子供は嫌がると言う光景をしばしば見てきたが、漫画よりも寧ろ風景や動植物、とりわけ「かわいい動物」の写真の方が対象を選ばないのかも知れない。
 常設の原画展示入れ替え、今度は「人造人間キカイダー」「星の子チョビン」「凸凹コンビ藤子不二雄伝」「宇宙鉄人キョーダイン」。筆者にとっての注目作品は無論「キカイダー」である、「THE ANIMATION」の原作だ。実は「キョーダイン」は全く未見である。
 墨汁一滴でまだ売っているぞマックスオージャ。「マジレンジャー」もそろそろ半年と言うのに、わざわざ前々作の玩具を萬画館で誰が買う?
 サービス券行使だけでは申し訳ない、BZで食券を買ってアイスココア一杯。食券自販機が新機種になっている。
 墨汁一滴でウェットティッシュ二本を買う。前回買った物を丁度使い切ったので補充である。
 十六時頃辞去。
 和田社長の店の近所、寺の門前に萬画神社が移転している。本殿のみの設置で、鳥居や幟は復活していない。
 そして店でまた暫し話し込む。以前も我が「帝國」で提案した「海斗の証券化」を強く主張する。もし儲けが出たら出資者に還元、これが本当のシージェッター配当。
 十七時少し前に辞去、久方振りに向かいの粟野蒲鉾店本店に立ち寄って揚げ物十枚購入。
 同十四分の小牛田行に乗車。石巻線の途中で「危険信号を受信」で数分停車したが一体何があったのか。昨年末以来、宮城県に出掛ける際の鉄道では毎回何かしら不具合が発生する。十九時四十四分水沢着。

 写真展は清涼感に満ちた紺碧が印象的ではあった。
 モニュメント類損壊は石巻市の恥。以前から指摘していることだが、斯くも損壊事件が何度も発生しているところを見ると、酔漢のいたずら程度のことではなく、やはり「構想」に対して本格的な反感を持つ人、「構想」の為に迷惑をしている人の犯行と言う気がしてならない。なまじ「構想」反対運動が起こされたり、「構想」が市政選挙の争点になったりすれば問題点も判りやすいが、過去の一連の事件はいずれも未解決の破壊活動だけに対応のしようが無い。

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