「石森萬画館」第二十四回訪問記

平成十六年七月三日(土)

 「みちのくマンガロード共同企画展第3弾」として、石森プロジェクト両館で「仮面ライダー展」開催。萬画館は全シリーズ網羅の「新世紀展」、ふるさと記念館は「1号2号」と「V3」の「創世紀展」。共に初日は七月三日(土)で、どのような日程、順序で訪問すべきか迷うものの、まず萬画館を訪問してからふるさと記念館に移動、そこで休憩を取ってから帰途に就くことにする。
 当日四時半に目が覚めるが目覚まし時計の鳴る五時半まで寝ておく。六時にマシン(余談ながら翌日「シャドーホッパー」と命名)で出発。
 雲一つ無い快晴。道中、特に渋滞も無く実に快適に走る。石巻市内に入って中里辺りに来るとやはり混んでくる。
 いつもの駐車場到着は八時二十分頃。徒歩ですぐ中瀬に赴く、しかし萬画館開館は九時である。作田嶋神社に参拝し、隣や向かいの公園を徘徊して過ごす。筆者の他には開館を待つ人は見当たらぬ。
 次々出勤の職員達が筆者の姿を見つけて挨拶をしていく。
 九時と同時に正面入り口から入館。受付で「年間パスポート」を申し込む。年会費二千円で萬画館入館随時自由。申し込み書の住所氏名等記入の他に身分証の提示を求められる。帰りまでに本式パスポートを作っておくとて、厚紙製の仮パスポートを手渡される。
 二階。先程の仮パスポートを提示して常設に入る。原画展示、今まで長らく「Black」第一回だったのが最終回に差し替えられている。どう考えても「永遠の正義」「正義は必ず勝つ」には結び付かない最終回である。
 そして企画へ。第17回特別企画展「仮面ライダー新世紀展」まずPart1が九月五日(日)まで、続いてPart2は九月十日(金)から十二月十二日(日)まで。
 「1号2号」から「剣」までの各作品の紹介。壁一杯の大きな紙に歴代戦士やマシンがカラーで印刷されている。また、村枝賢一「仮面ライダーSPIRITS」の原画も各作品に合わせて配置されている。「剣」の次に、雑誌連載中だという「仮面ライダーEVE」。一番最後に、「シージェッター海斗」のかなり詳しい設定、物語の紹介がある。
 今回は村枝原画が展示されるというので、平山ライダーとテレ朝ライダーに挟まれて、「BLACK」二部作はともかく普段から影の薄い「真」「ZO」「J」がなおざりにされるのではないかと心配していたがそれは杞憂。他の作品と同じようにしっかり展示されている。また、テレ朝ライダーの各フォームや「龍騎」の十三人ライダーも揃っているようだ。「スカイ」や「BLACK」二部作の原稿類も実に嬉しい。「章太郎本人の萬画が存在しない作品」を貶めるような構成ではない。
 ただ、二台ばかり紹介の無いマシンに気づく。そのうちの一つ、まさか四輪車だからと意図的に外したわけでもあるまいな? RXの不滅の蔑称「仮面ドライバー」。
 「BLACK」の展示で、「スパークリングアタック」がバトルホッパーの説明として表示されているのは職員に通報してすぐ直させる。やはりこれは看過できない。
 上記の誤表示指摘の他、なじみの職員相手にまた講釈を垂れる。「J」は「仮面ライダー巨大化の是非」という企画面ばかり問題になって作品自体の出来、演出面はあまり話題にならないので、未見の人にはこれを機会に是非見て欲しいものだ。
 一角に玩具、雑誌類を並べた場所がある。手に取ることは出来ないが、手を伸ばせば届きそうだ。受け狙いで有刺鉄線に電気を流したらどうだ。
 全体的に写真や絵画資料が大多数なので立体感が無い。撮影資材等は見当たらない。また、敵側にはあまり着目されていない。
 共同開催にちなんでスタンプラリー実施。両館でそれぞれ三つずつスタンプを集めて六つ揃うと福引が出来る。萬画館では受付、BZ、墨汁一滴で押印。BZでアイスコーヒーとエビピラフを食してスタンプを受ける。
 墨汁一滴では相変わらず欲しいものがあまり無くて悩むが「シージェッター海斗ふりかけ」の「鮭」でスタンプを受ける。海斗商品は海産物や缶バッジ等で、本命とも言うべき人形類は未登場である。
 二階を三巡する。筆者以外に愛好家らしき人の姿は見当たらず、閑散とした室内。初日にしてこの静けさ、大丈夫だろうか。やがてどこぞの年配者の団体がやって来る。
 十一時半頃か、受付に仮パスポートを返し、本パスポートを受け取る。樹脂製でローマ字で氏名が打ち込まれた、キャッシュカードのような立派な出来の代物である。これに対してふるさと記念館友の会会員証はパウチに毎年シールを貼り付けて十年間使おうというのだから実に貧乏臭い。但し、特別企画展毎の入場券はふるさと記念館の方が豪華だ。
 辞去。
 虎の穴。何と閉店、搬出作業の最中。大久保店長、三浦嬢とawano若旦那。がらんと空いてしまった店内を見渡して「BLACK」最終回のような気分になる。暫し談笑してからシャッターを降ろし、別れる。
 正午頃から和田社長の店でまた話し込んで、十二時半頃に中田町に向かう。

 初日だから「熱心なファン」が大勢駆けつけるかと思ったらに非ず、行列も出来ずに筆者が一番乗り。意外であった。やはり地元は無関心、夏休み時期になれば遠来客で賑わうか。
 シリーズ全作品について偏りの無い展示。「仮面ライダー」は世間一般には萬画よりもテレビ番組として知られているのだから(何より藤岡や宮内は萬画の人物ではない)、原作萬画だけ重視しては却ってシリーズの存在を見失う、否定することにもなりかねない。原作者没後作品たるテレ朝ライダーに対してはいろいろ複雑な議論も存在するが、「石森章太郎」を冠する以上、生前のでも没後のでも、映像作品を石森プロジェクトから排除する理由は無いと思う。
 年間パスポート入手で入場券購入の手間が省けるし、入場料も安く済む。わざわざ身分証明書の提示まで求めて住所氏名を書かせたのだから、当然、ふるさと記念館友の会のように各種催し物等の案内状をよこすのだろうな。
 旧墨汁一滴、二度目の閉店。「虎の穴」は二年余で撤退。店の人々と交流するにつれてまた親しみを持ったものだが、本当に残念だ。建物の内部には漫画家達のサイン色紙や壁に直接描かれたサイン等、貴重な物が沢山残っているので、何とかまた建物を活用して欲しい。筆者から「虎の穴」に惜別の辞を贈ろう、政宗一成の声で読むべし。

「虎の穴」はく。
「虎の穴」は負けない。
この地球に漫画とプロレスがある限り、戦い続けるのだ。
頑張れ、「虎の穴」!
君がいる限り、僕達も戦い続ける。
戦え、「虎の穴」!
また会おう、「虎の穴」!

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