「石森萬画館」第二十一回訪問記

平成十六年一月一日(木)

 二年連続の元旦萬画館遠征。深い意味は無い。
 午前九時、相棒ゴーグルグリーンと水沢駅で待ち合わせ。十一分の下りに乗り、石巻着は十一時三十五分。道中、車内は空いている。
 晴れだが風の強い石巻市。石巻行は久方振りの彼に駅ホームモニュメントや駅前交番等を案内しながらいつもの道を歩く。まだ多くの店はシャッターを降ろしており、人通りも少ない。
 港町の石巻市にこの日も雪は無いが、やはり暖冬なのか岩手県南部でも殆ど積雪は無い。
 萬画神社の境内から幟、鳥居、絵馬が撤去され、萬画館を模した本殿だけの丸坊主状態になっているのに驚く。地味ではあるが各種モニュメント群の先輩に当たる施設だけに、その無残な姿は衝撃的だ。後日関係者から訊いたところでは、同神社は中瀬に移転が予定されており、鳥居は萬画館で保管しているとのこと。
 中瀬ではまず作田嶋神社参拝。普段は人気ひとけの無い神社でも今日は飾り立てられているところを見ると、やはり正月なのだと思う。
 中瀬の道を歩いていると萬画館の方から「男の名は仮面ライダー」が聞える。勿論拳を振り上げて歌ってしまう我々。そういう場所だ、中瀬と石森は。
 二階から萬画館入館、BLUE ZONEで昼食。「目に言うめにゅー」に「仮面ライダーBLACKコーヒー」の文字が見える。筆者はエビピラフとBLACKコーヒー。
 BLUE ZONE店員達は勿論、筆者の姿に気づいた事務職員達が我々に挨拶して行く。
 一度一階まで降りて墨汁一滴を見てみる。そして何も買わず。元旦から客の入りはいい館内。
 二階。第14回特別企画展「第2弾・宮本武蔵展」十二月十八日(木)から二月一日(日)まで。先般の「武蔵展」の内容の一部を入れ替えての延長である。
 石森萬画はそのままで、他の漫画家の作品が外され、映画関連や毛利コレクションが追加展示されている。毛利コレクションとは、市内の収集家で石巻町議会・市議会議員だった故・毛利総七郎の古物や古文書等のコレクション。
 映画関連ではやはり東映の錦之介五部作が大々的に紹介され、ダイジェストのビデオも上映されている。小次郎役の高倉健が若い!
 毛利コレクションからは江戸時代の武具。刀の鍔や鎖鎌、矢等。「武蔵の遺品」というわけではない。
 場内放送、十三時半から餅き。入り口前に向かう。既に多くの人々が参集していて、餅搗きといえばこの人、和田社長の姿も見える。きなこ餅を喰う。
 a1と会う。彼と我々水沢組が石巻市で会するのは平成十一年八月二十一日、旧「墨汁一滴」の頃以来。皆で再会を喜ぶ。
 手形レリーフ第二弾設置協賛者名は今も木の板の仮設置のまま。不況風やまぬ中、鋳造は果たしていつの日か。
 再びBLUE ZONE。互いの近況や時局等、話し込む。ここでa1から宰相の靖國参拝を聞いて驚く。
 先にa1が辞去し、やがて我々も帰ることにする。十四時四十五分頃辞去。
 「未来戦隊タイムレンジャー」#44でシオンがクリスマスツリーに「願い事の短冊」をくくりつけ、それを見た竜也が笑いながら「七夕じゃねえんだぞ」と言う場面があるが、それと全く同じ趣旨の物を石巻駅で見る。我ら日本民族にとって「クリスマス」とは一体何なのだろう、恐らく大多数の人にとっては「イエスの生誕」を祝う日ではあるまい。尤も、祭儀の変貌はクリスマスに限ったことでもない。
 十五時十九分の小牛田行に乗り、水沢帰着は十八時半頃。

 元旦遠征、来年もするかどうかは判らない。
 特別企画展についての印象は前回と特に変わらない。毛利コレクションは展示全体から浮いてはいなかったが、もう少し説明文があってもよかったかとも思う。

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