「石森萬画館」第十九回訪問記

平成十五年九月十九日(金)

 たまたま仙台行の所用があり、ついでに石巻市にも寄ることにする。たかだか二ケ月振りなのに何故かものすごく久方振りのような気がする。
 水沢市は雨模様、傘差して出る。九時十一分水沢発、十一時三十五分石巻着。いつもの路線、東北本線と石巻線での石巻入り。東北本線の一関発小牛田行ワンマンカーの車内放送テープが不具合を生じて運転士のマイク放送対応。
 先頃、石巻駅では自動改札導入に伴う駅舎改装が行われる。隣接コンビニの駅ホームに面する窓に仮面ライダーの人形が飾られているが、龍騎と対峙しているのがシャドームーンというのは狙っているのか、単に何も知らないのか。
 曇天の石巻市、蒸し暑い。早速傘が邪魔になる。
 マンガロードには入らずに一つ奥の路地に入り、石巻立町郵便局ATMで資金調達。しかし案内貼り紙を見れば駅前のさくら野百貨店石巻店にも郵貯ATMができているではないか。
 そのまま東進する。街の「アンパンマン展」ポスターには会期延長を記した紙が貼り付けてある。
 萬画神社は境内が除草されている。
 八幡家。おかみさんセット・うなぎまぶし飯と茶蕎麦。店員女史とも顔なじみである。
 虎の穴。大久保店長と三浦嬢は不在、初めて見るアルバイト嬢一人。この日の晩に訪問する予定の旧友夫妻の土産に「ドカベン」のマグカップ二つ、山田と岩鬼を買う。
 萬画館着は十二時半頃か。例によって二階から入館してBLUE ZONEに直行する。そしていつものコーヒー一杯。
 西側の窓際に「踏切マン」「めいわく星人」の写真が飾られている。
 一階に降りる、墨汁一滴には新製品大量入荷。萬画館独自商品では「キカイダー」商品が増える。暫し考え、自分用に「キカイダー」キーホルダー、先述の旧友の一歳の娘の為にドキンちゃんポシェットとタオルを買う。「キカイダー」「仮面ライダー」等の置き時計は小さすぎて見映えがしないし実用面として液晶表示が見にくい、もう二回りも大きければいいのに。
 メガハウスのチェスピースコレクション「龍騎」が入荷している。噂のバンダイS.I.C.のアナザーシャドームーンはこの「本場」でも入荷できなかったという。
 三階の研修室ではどこぞの小学校の団体が体験学習でマンガ缶バッジ作りに取り組む。講師はワークショップ担当のライオン女史。
 平日の午後だけに客の少ない館内、九月二十八日まで会期が延長された「やなせたかしとアンパンマン展」をじっくりと鑑賞する。掲示されている「キャラクター大図鑑」に圧倒される。本当に沢山の登場人物がいるものである、「みぶんの たかい いなりずし」何だこれは。記念撮影用の大きなアンパンマン人形の前に二歳くらいの娘を立たせて写真を撮る両親がいる。
 先程の小学生達が押し寄せてくるので退散する。それまでに十分鑑賞できたからよし。
 常設ではまだ「Black」原画展示中、随分長期に亙る展示である。十五周年記念だと勝手に思い込む。何度見ても凄絶だ。次は最終回を見たい。
 墨汁一滴や事務室でまた話し込む、なじみの女子職員達に或る意味熱烈な歓迎をされる。「555」劇場版はテレビシリーズを見ていない人でも楽しめるので是非見て欲しい、見てもらわないと筆者も彼女達相手にネタを披露できない。
 地震、冷夏の影響で、今夏は本来稼ぎ時の盆休み期間でも入場制限に至らなかったという。ネット上の反応を見ていると、当地をよく知らない人の中には「宮城県全体が壊滅した」と思った人が少なくない。九月下旬、宮城県では官民挙げて首都圏に於いて「元気です宮城の観光キャンペーン」を行ったほどだ。
 筆者がテレビCMで見ただけでも既に岩手県内では盛岡市、花巻市、江刺市、衣川村(北から順)で「555ショー」が催されている。映画のロードショーも終わり、テレビも九ケ月が経過しようとしているのに萬画館にはまだ一度も555一行は来ていない。勿論石森章太郎愛好家と「555」愛好家は必ずしも重ならないし、「『555』は萬画ではないから萬画館には不要」と主張する人もいるだろうが、「石森章太郎作品」には違いないのだからそれを「本場」の萬画館が呼べないというのは格好がつかないではないか。
 事務方もサイボーグ戦士の服を着ることがあるのにワークショップ担当は着たことが無いというのは不公平だ。
 十六時半頃、辞去。粟野蒲鉾店とさくら野で買い物をして、十七時一分の仙石線快速で仙台市に向かう。

 前回の訪問では落ち着いて鑑賞できなかった「アンパンマン展」、やはり再鑑賞してよかった。アニメではなく原画中心、十分大人も楽しめる企画である。子供の付き添いで嫌々ながら見ているという様子の人は全く見受けられない。
 前々から「キカイダー」商品を増やせと主張していたので、その実現は実に嬉しい。文具やストラップは相変わらず玩具じみた出来だがキーホルダーはそれなりに渋い作りだ、筆者はマシンの鍵に付けた。但し、マシンはサイドカーではない。
 さて次回の特別企画展の期間中、墨汁一滴はどのような品揃えにするのだろう。間違いなく子供受けしない企画展だから評判が楽しみだ。

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