「石森萬画館」第十二回訪問記

平成十四年七月二十日(土)

 前項の続き。
 国道三百四十二号線、四十五号線を南下して石巻市に入る。松栄の駐車場に停めてからワーナー・マイカル・シネマズ石巻に赴き、十二時五十五分からの「タイムマシン」を見る。さほど面白い作品でもなかったな。図書館の案内システムの描写は秀逸。
 十五時頃退出、石巻郵便局のATMで資金調達。ここにも「ゴレンジャー」や「ロボコン」の絵が飾られている。
 ペアーレ石巻の向かい、「立町大通り商店街特設会場」にて開催中の「南久美子…ほっ! とする展覧会〜書とマンガの出会い〜」を参観する。京都在住の作者による、漢字を題材にした一こま漫画作品。擬人化された漢字が泣き、笑い、踊る。「喜」の字と「楽」の字が乾杯をしている「和気あいあい」が特に気に入る。作品集を一冊買う。八月二十五日まで。
 「虎の穴」では店主と従業員が今夜の祭の準備中。缶烏龍茶一本を貰う。二階では「マンガ・ミニお宝博覧会」開催中、ショーケースの中に昔の石森作品関連の商品を収めて見せている。「ミニ」だけにそれほどの規模ではない。これも二十五日まで。
 萬画館到着。十六時頃。
 すぐ企画に入る。開館一周年記念第8回企画展「時代を超えたヒーローたち〜がために戦う〜」九月二十三日まで。石森キャラクターの関連商品や撮影小道具、原画等の展示。また、タイの芸術家の鉄の造形も並べられている。
 確かに大変な質、量の展示だが、筆者の大好きな或る作品の展示が無い為に筆者にとっては画竜点睛を欠く展示である。何故あれが無いのだ!
 展示の中心はやはり「仮面ライダーシリーズ」「サイボーグ009」。かなり昔の品物が数多く展示されている。また、或るテレビ特撮作品の撮影用マスク、スーツもある。その筋の愛好家にはたまらない展示だろう。
 原画、セル画展示も多い。「不思議コメディー」の原作者のデザイン画は珍しい展示だろう、勿論これも石森作品である。原作「Black」の原画は「お願い、アタシを殺して!」よりによってきつい場面だ。
 「テレ東009」の展示もある。今月十三日から宮城県でも東日本放送で放送が始まったが、土曜日の早朝五時四十五分からでは誰が見る?
 しかしそれほど見応えが無い。去年の「お宝大博覧会」の方がよい。やはり筆者が事前に勝手に過大な期待をしてしまった為か。
 企画を出て公園をうろつく。「マンガ灯ろう祭」の準備中だが、なかなか知人に会わぬ。ペットボトル仮面ライダーには新たにペットボトルサイクロン号が付く。やはりバイクも付いてこそ様になる。出品灯籠とうろうは去年を上回る四千個。
 この辺りまでは実に夏らしい天気、快晴猛暑。それが十七時頃から一天にわかにかき曇ってやがて大雨。よりによって祭の時間にこれである。
 雨の止まぬ中、十七時四十分から「仮面ライダー水上ショー」。中瀬の西側の水面、ジェットスキーに乗った仮面ライダーとショッカー戦闘員の戦い。すれ違いざまに仮面ライダーがパンチを打つしぐさをすると戦闘員がもんどり打って川に落ちる、その程度でも観客は大喜び。尚、仮面ライダーのスーツ等は手作りで、ベルトのバックルは初めから割れている。出演者は地元有志。随分下っ腹の出た戦闘員達。
 続いて市内の団体によるよさこい踊り。黒地に金縁の衣装がクウガの最終形態に見える。
 祭本部のテントや萬画館で雨宿り。萬画館の公園への出口で、館職員本郷女史と会話。
筆者「ああ、私は雨男だ、この雨は私の責任だ!」
女史「解ってるなら来ないで下さいよ」
筆者「呼んだのはあなただろうが! …私はここであなたと漫才をしている暇は無い」
 常連客と館職員が漫才をするようになれば大したものである。
 十九時頃、雷で萬画館停電。客は全て外に出される。この日は十七時から有料部分も無料開放で二十一時まで営業のはずだったのに、すぐには復旧できなくて結局二十時前に閉館。ああ、天気といい停電といい、呪われた一周年。
 北上タクシーの「マンガイエローキャブ」三台が公園南端に到着。黄色い車体に石森キャラクターが描かれている。
 大雨による混乱で主宰者や市長の挨拶なんて何人が聞いていたか。テントの中にいると雨音で聞えない。
 十九時半頃、周囲の照明が落とされ、公園に灯籠の明かりが浮かび上がる。それなりに美しい。ただ、企業出品の大きな作品は壊れてしまっているものがある、八幡家のは無残に全壊。
 天気は最悪だが客足は悪くない、結構多くの人々が出ている。和田社長、黒沢女史(一年振り)、サイボーグ009ファンクラブのいずも会長一家(初対面)に会う。同会長の子息が館内のサイクロン号に乗っている時に停電になったそうな。
 屋台の食品を喰う。
 二十時半頃、和田社長と共に会場を後にする。通電が復旧した萬画館事務室で一休み、麦茶が出て来る。
 粟野蒲鉾店と萬市場で買い物の後、二十一時頃に帰途に就く。雨中、慎重に走るがやがて雨は上がり、帰りはあまり濡れずに済む。二十三時半頃の帰着。

 とにかく突然の雨でひどい目に遭った。本当に日中はかんかん照りだったのに夕方からあれだもの。
 企画展は期待外れとは言ったが、見るべきものは少なくない。見て損は無い。筆者も友人の付き合いでもう一回くらい見に行くかも知れない。

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