石巻「墨汁一滴」第二回訪問記

平成十一年八月二十一日(土)

 実は前々から、我が「帝國」のアクセス五万達成記念オフラインミーティングとして「墨汁一滴」を友人達と共に訪問しようと思っていたのだが、その数字を達成した七月中はなかなか各人の都合がつかず、ようやく訪問が実現したのがアクセスがそろそろ五万三千に達しようかという八月二十一日(土)。
 筆者と近所の同好の友人・ゴーグルグリーンが東北本線の下り列車に水沢駅から乗り込んだのが八時二十八分。一関駅と小牛田駅、二回の乗り換えを経て、十一時十五分頃に石巻駅に降り立つ。残暑厳しくギラギラと太陽が照りつける石巻市。そこで同市在住の我々の友人・a1の出迎えを受ける。三人で駅前の食堂で軽く食事を摂った後、昨年のスタンプラリーと同じ道程を歩み出す。
 駅正面の通りを直進すると間もなく左手に見えてくる009像。七月に建立されたばかりの代物である。既に写真で知ってはいたが、実物を見るとやはり巨大である。その周囲には他のサイボーグ戦士の姿が刻まれた石の腰掛け。この一角を名付けてマンガポケットパークという。如何にパークと雖も、通行量の多い通りに面していてしかも四阿あずまやも無いようではとても憩いの場たりえぬとは思うが、ちょっとした名所くらいにはなろう。尤も、その時は記念写真を撮る観光客とかの姿は見受けられなかったが。
 「去年はここで焼いた牡蛎を喰った」とか言いつつ歩み、やがて「墨汁一滴」に到着。筆者以外の二人は初めて。名所等は地元の人ほど「何時でも行ける」と思ってなかなか行かないもので、この四月から石巻市に在住しているa1も「墨汁一滴」初訪問である。
 二階に上がり、筆者が室内を案内する。著名漫画家達のサイン色紙や写真パネル等。去年とそう大きく変わっている様子は無い。本棚には何故か「キン肉マン」が揃えてある。スタンプラリーの時には漫画家志望という学生達が部屋の一角に陣取っていたが、彼らの姿も見えず。
 再び一階へ。陳列された商品等を見てみるがどうにも間がもたぬ。席が空いたので三人で腰掛け、コーヒーを飲みつつ歓談。
 カウンターの店員達が我々を見て何やら筆者の噂をしている。実は筆者、事前に「墨汁一滴」スタッフの和田氏に電子メールで訪問を予告していたのである。店員達は我々の様子に気づいたのであろう、しかし「こちらから訊くわけにはいかないだろうし」とか言っているのが耳に入ったので、遂に筆者名乗る。店員はすぐに和田氏に電話連絡。
 和田氏到着、挨拶を交わす。筆者は友人達を氏に紹介。氏からは我々に対していろいろ贈り物、ポスター等。
 氏を交えて歓談。いろいろ興味深い話を聞く。やはり「仮面ライダー」と「009」が最も人気があってよく愛好家から照会が来るとか、キャラクター使用についての苦労とか。筆者もまた、「構想」についての期待や希望を述べる。
 中田町に建設中の「ふるさと記念館」も話題に上る。「ふるさと記念館」最寄り駅の石越駅は水沢市からは一時間ほど。
 もらった地図を見ながらマンガアイランド・田代島の話もする。別名猫島、何だか「ゲゲゲの鬼太郎」にでも出て来そうな名前。地図の「史跡 鹿島神社」の脇の仮面ライダーの絵、その色合いからスカイライダーに見えないこともない。いろいろ史跡や伝説が豊富なようで、歴史好きの筆者としては是非ここも訪問したい。石巻市から船で四十分だそうな。
 また、インターネットのことについても話し合う。ゴーグルグリーンとa1もインターネット利用者。尤も、八月半ば頃に筆者のパソコンは調子がおかしくなってしまい、石巻訪問時は修理に出していたのだけれど。本稿もまずワープロ「書院」で執筆した後でhtmlファイルに変換したものである。
 「広げる会」「墨汁一滴」「ふるさと記念館」いずれもウェブページ開設済み。石森作品愛好家による個人ページも少なからずあるし、石森章太郎ファンクラブや「マンガジャパン」もページを開設した。東映グループもページを持っている。こうなるとやはり、石森関連ページの中心として、石森プロの公式ページも欲しいところである(追記 石森プロのページは平成十五年一月二十五日公開)。
 暫くしてから和田氏は退出。
 その後、「墨汁一滴」ウェブページ管理人であるawano氏も来店。同氏はすぐ帰られる。
 余談。筆者が考えていた趣向、それは我々三人のうち、誰が暗黒大公かというのを「墨汁一滴」スタッフに当てさせるというもの。和田、awano両氏に「さて暗黒大公は誰でしょう?」とやってみたが、両氏とも正解。当日の筆者の服装は帽子、シャツ、ズボン、靴、鞄は黒、ネクタイとネクタイピンは青と、全身黒を基調とした寒色系であった。やはり「BLACK」「暗黒」だから一目瞭然なのだろうか。
 書籍「石森萬画館」を買い、その場で一通り目を通してみる。
 筆者とゴーグルグリーンは二階の自由帳に記帳。筆者は孫悟空に倣って「暗黒大公一遊石巻」と記す。
 店を退出したのは十五時頃だったと思う。外はまだ暑い。他に特に行くところも無く、川岸を少し歩き、しばし川面を見つめてから駅に向かう。河口に近いというよりも河口そのものである。
 それにしても立町商店街、確かに空き店舗が多い。やたら閉じたシャッターが目に付く。ここも駅前商店街の「地盤沈下」が顕著のようだ。
 駅で筆者とゴーグルグリーンはa1に別れを告げ、仙台に向かうべく仙石線に乗り込む。その後、更に我々二人は別行動を取る。筆者は仙台駅前のアエルのインターネット無料体験コーナーから「邪悪の神殿」と「墨汁一滴掲示板」に書き込みをして、当日は仙台に一泊して翌朝に帰途に就く。
 九ケ月振りに石巻市を訪問しての印象。やはりまだ「墨汁一滴」と009像だけでは集客力に欠けると思う。特に今回、何の行事も無い時にただ「墨汁一滴」目がけて石巻市を訪問してみて実感した。そこは当地の関係者各位も承知のことだろう。関連行事の定例化、発展や関連施設の竣工が待たれるところである。
 それと、まだ「構想」が町並みに浸透していないような印象も受けた。駅と「墨汁一滴」を往復しただけの人間が言うのも何だが、「構想」を感じさせるものがその「墨汁一滴」近辺と009像だけだった。尤も、あまり「マンガランド構想」で盛り上がり過ぎて「石巻市から『マンガランド』を取ったら何も残らない」と言われるのも問題だろうが。
 次は何か催し物の時に再訪したい。

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