「石森萬画館」第十一回訪問記

平成十四年七月七日(日)

(石森章太郎ふるさと記念館友の会のにわ会員が関東から宮城県を訪問。にわ会員の旧知の友人で宮城県在住の阿部会員が出迎える。その両会員の石巻市マンガランド見物に筆者も誘われ、少しは案内の役に立つかとて参加する。両会員は昨夏に石森萬画館を見学したものの、混雑の為にあまり落ち着いて見ていないという。)

 六時過ぎに起床して、降り出しそうな空の下、五十分頃にマシンで出発。国道四号線に入って間もなく本降りになり、持参の雨具を着て再出発。
 前沢町の宇佐美で給油する時点ではまだ雨だが、一関市内を通過する辺りで雨は上がる。泥はねを考慮して暫くは雨具を着たまま走るも登米町に至って完全に晴れ、路面も乾くので脱ぐ。雨具を着ていると蒸れていけない。
 噺が前後するが登米町の手前、中田町で「光明寺」という寺を見つける。後で調べると、災害時の避難所になっている。「人造人間キカイダー」の博士との関係は知らぬ。尤も、「光明寺」という寺自体は全国にいくつもあるようではある。
 国道三百四十二号線で河北町に入る辺りに「動物注意」という看板が見える。そのすぐ下に狸の屍が転がる。
 国道を南下してやがて石巻市に入る。旧北上川西岸の松栄の駐車場に停める。九時半前。
 集合場所の石巻駅前003モニュメントに徒歩で向かう。筆者が一番乗り。皆の到着を待っている間に酔漢にからまれそうになる、こちらは何もしていないのに。
 十時十五分過ぎに全員揃う。
 スタンプラリー開始。まずロマン海遊21でスタンプ帳を買わせる。筆者は既に経験済みなので案内役。ついでに駅前交番の「ロボット刑事」の絵も教えておく。
 筆者は慣れ切って知り尽くしている道、すたすたと歩く。次々にスタンプ設置場所やモニュメント等の位置を扇子で指し示す。今にして思えば案内が過ぎて両会員を筆者が振り回し過ぎたかと反省している。
 橋通りの「いたばし」まで来てもまだ十一時前である。向かいの旧「墨汁一滴」・現「サイバーカフェ虎の穴」が丁度開店時刻なのでそこに入る。
 大久保直樹店長と三浦ゆかり店員が我々を丁重にもてなす。先日の筆者の訪問の後で誰かから聞いたのだろう、やはり筆者が何者かを知れば丁重にもてなさざるを得まい。カウンターで歓談。特撮や漫画、プロレスの話題で盛り上がる。例によって店内に流れる音楽に合わせて歌う筆者。思いの外、時間を過ごせる。
 十二時頃、萬画館に着く。
 「千人の力」のペットボトル仮面ライダーがガラス壁のスカルマンの近くに飾られている。見れば見るほどよく出来ている。永久保存して欲しい。
 にわ会員が館職員に我々の到着を告げる。館長室に通される。今回の我々の訪問を前以て関係各方面に伝えていた同会員。
 館長室とは雖も館長は名誉職、普段は不在だから、館長執務室ではなく実質的には応接室だろう。(株)街づくりまんぼうの板橋社長や市役所のマンガランド構想担当氏と歓談。
 筆者が石森プロジェクトを楽しんでいるのは、自分の住所より或る程度遠くの事だからだと思う。これがもし筆者が石巻市在住だったら構想に反対しているかも知れない。実際、歴史好きの筆者でも水沢市のアテルイ顕彰活動は妨害こそしていないが大反対である。
 本棚には石森関連書籍や小松崎茂作品集等。小松崎の本に見入る。
 にわ会員が八幡家に注文していた弁当到着。煮込みかつ弁当とおにぎり弁当。先の「“生”テレビ」の際のスタッフ弁当。板橋社長達退室後、そのまま館長室で昼食。
 館内見学。今日は落ち着いて見学できる。次の企画展は準備中で、企画展の無い時期の見学は筆者は初めてである。
 前夜のキッズステーション「キカイダー01 THE ANIMATION」が話題に上る。あの救いの無い悲惨な結末。
 相変わらず「墨汁一滴」に「人造人間キカイダー」独自商品が皆無なのが不思議だ。旧特撮シリーズと原作萬画三十周年、近年のアニメ化等、「キカイダー」は十分旬のネタだと思うのだが、石森プロジェクト商品では「イナズマン」「ロボット刑事」「宇宙鉄人キョーダイン」共々、前々から待遇が悪い(「変身忍者嵐」は高価なシルバーリングが出ている)。もうそろそろ「仮面ライダー」「009」「ロボコン」「エッちゃん」四作品偏重はやめたらどうか。「ボイスラッガー」商品を作ったらほめてやる。
 一階で粟野若旦那にばったりと出会う。若旦那や和田社長、紀代子女将等、旧「墨汁一滴」スタッフの人達自体こそ、萬画館最強の隠し展示だと思う。
 アニメ「龍神沼」を久方振りに見る。嘗て中田町の石大神社近くにあった沼が物語の舞台のモデルになったという。当時あの近辺には悪徳神主や因業いんごう首長がいて、石森地区の女性は皆色が黒くてほっぺたが赤くて美人は一人もいなかった、ということは多分あるまい。章太郎の姉・由恵女史は近所で評判の美人だったという。
 三階のライブラリーのパソコンで我が「帝國」を見せる。書架の萬画本についていろいろ検討する両会員。筆者は相変わらず萬画にはうとい。
 帰り際、一階で再び館職員達に挨拶。本郷女史に、今度の企画展も是非見に来てくれと強くせがまれる。参ったな、中田町は暫く顔出さないと心配されるし、石巻市でもこの調子だし。営業スマイルでも若い女性に懇願されれば悪い気はしない。
 十六時頃退出。向かいの教会堂を見学して、中瀬の南端まで歩く。
 粟野蒲鉾店と萬市場で買い物。筆者が萬市場で買うクッキーはまたも水沢市の(有)岩手県産の商品。
 にわ会員は十七時二分の仙石線で帰途に就く。残る二人もやがて解散。筆者は二十時半頃に帰着、帰路は雨に当たらずに済む。往路で見かけた国道の狸の屍は帰りにもまだ転がっている。

 萬画館でもふるさと記念館でもすっかり有名人の筆者。これでふるさと記念館館長とまんぼう社長、両方の責任者と面識を持った格好だ。結局、筆者はプロジェクトのいいカモになっているということだ。
 八幡家の新弁当はいつでも喰えるわけではない、定例献立ではないので要予約。詳細は八幡家に照会のこと。煮込みかつ弁当、美味。おにぎり弁当は喰いそびれる、またの機会の楽しみだ。

一覧に戻る

目次に戻る

I use "ルビふりマクロ".