「石森萬画館」第七回訪問記

平成十四年二月二十三日(土)

 今回もまた九時十二分の水沢発、十二時三分石巻着。気が付けばここ一ケ月ばかりは隔週で三回の石巻市訪問である。
 好天の石巻市、温暖だが少し風が強いので襟巻きは外さない。
 八幡家に直行。紀代子女将在店。牛ロース網焼き定食と茶碗蒸し。
 筆者持参の都市地図を開いて女将と歓談。住吉公園の更に北の方や、旧北上川の東岸の事。
 よく話題に上ること、今までの構想の活動記録について。稗田阿禮ひえだのあれの口述を編纂した「古事記」ではないが、関係者の記憶が鮮明なうちに、各種資料が残っているうちに皆から取材をして一冊の本にまとめておくべきだろう。そもそも、そのような活動記録の本が(有)HOから刊行予定と旧「墨汁一滴」の頃から言われているが、その話はどうなったのだ。
 十三時半頃に辞去。萬画館に向かう。
 「墨汁一滴」にはバンダイのアナザーアギト人形入荷。今回はその他にロボコン地球儀、仮面ライダー名札シール入れを買う。珍しく多く買い物。
 企画展示室に入る。第5回企画展は「石森萬画館アンサー・エキシビジョン〜 ヒストリー・オブ・マンガッタン」、この日から三月三日(日)まで 。平成七年から現在に至るマンガランド構想の歴史。
 年表、行事の記録写真、郵便局の商品、信金の預金通帳、田代島で開かれた漫画教室の作品、漫画家の色紙、来館者のイラスト、関連記事掲載雑誌、等々。この訪問記によく登場する知人達の写った写真も多くある。室内のテレビでは去年八月五日のNHK仙台放送局特番のビデオを映している。生前の章太郎の写真も多数紹介、筆者は遂に当人に会えなかったことをつくづく残念に思う。
 最も筆者が注目したのはマンガロードモニュメントの検討案地図、何とことぶき町に原作版Black像の設置が考えられている。結局現場近くにはゴレンジャーのマンガベンチが設置され、Black像は萬画館からくり時計の竜の上に乗ることになったが、もし街頭に設置されていたら他のモニュメントには無い異様な存在感を示しただろう。からくり時計Black像は場所が場所だけに顔を近づけてじっくり見ることができないのが残念、恐らく全国唯一の原作版の像なのに。
 壁に貼ってあるステッカーの剥落を赤いトレーナーの係員に通報、その係員と多少歓談。係員本郷女史に「お父っつぁんは仮面ライダーですか」と訊けば「よく言われます」だと。
 更に展示室入り口近くに高く貼ってある紙袋まで落ちてくる、これはアテンダントが持ち去る。つくづくいろいろな物が落ちて来る日。
 萬画館は漫画誌や旅行誌で多く紹介されているようだ。展示してある雑誌の中に特撮誌、アニメ誌、児童誌は見当たらない。雑誌と同じガラスケースに、章太郎が紹介されている宮城県の小学校道徳副読本も並べてある。
 光あるところに必ず影あり。以前から構想については関係者への嫌がらせや、旧「墨汁一滴」、今は萬画館のウェブページ掲示板への批判、非難意見の書き込みがある。そして一度や二度ではないモニュメントの損壊発生からして、構想に対して反感を持っている人がいるのは間違いない。ひょっとしたら、構想の為に迷惑、損害を蒙っている人がいるかも知れない。そのような「影」「」の部分こそ反省材料として正直に大きく取り上げるべきだと思うのだが、今回の展示には「光」「いいところ」しか無い。せめてモニュメント損壊の写真くらいは展示すべき。これでは、ロッキード事件の展示が無いという田中角榮記念館と同じではないか。世間の批判、非難の中には誤解に基くものもあるので、それらに答えて誤解を解消するのも大事だと思う。
 一時間くらいか、企画展参観時間は。三階のブルーゾーンでココア一杯。たっぷりと生クリームが浮いている。筆者好みの甘さ。
 萬画館を出て向かいの旧石巻ハリストス教会堂を見学。最近常時公開になった。小さな建物である、一階は和室で二階が礼拝私設になっている。教会自体は別の場所で今も活動中である。
 和田社長の店に着くのは十六時少し前。
 歓談。企画展の感想等。
 店内の隅にパソコンが置いてある、これを見せてもらう。
 筆者持参のCD‐R、昨夏の須賀川市博物館での「生誕100年円谷英二展」の「特撮体感スタジオ」を再生。筆者がブルーバックの前で演技してこれをその場でスタッフがコンピュータ編集で「ウルトラセブン」#13の本編にはめ込んだもの、監督は円谷昌弘(英二の孫、浩の兄)。筆者の出演に社長も大爆笑。これと似たようなものを萬画館でも実施したら面白い、という話にもなる。
 自分のウェブページが他のパソコンではどのように表示されているか、意図したとおりに見えているかは主宰者として気になるもの。社長のパソコンでも見てみる。大丈夫のようだ。フレッツADSL、速い。
 空中戦のゲームで遊ぶ社長。社長は飛行機好きだそうな。筆者は見るだけ、旧ファミコン世代ではあるがコンピューターゲームは不得意である。
 今回もまた北上川水運の話題で盛り上がる。
 石巻日日新聞が届く、一面に「昨年の観光客入り込み数(推計)/前年比22%増の165万人/石巻市萬画館効果顕著に」という記事。去年一年間で日和山が四十五万人、川開きが四十一万人、サン・ファンパークが二十五万人、それらに伍して七月開館の萬画館が二十万人、堂々たるものだ。順調に推移すれば常設施設としてはサン・ファンを抜いて日和山に次ぐ名所になるか。
 十七時半頃に辞去、十八時十八分の小牛田行で帰途に就く。

 萬画館開館から半年、この辺りで今までの来し方を振り返るという今回の企画展の趣旨はいいだろう。ただ、「影」の部分も敢えて展示して欲しかった。
 活動記録と言えば旧「墨汁一滴」ウェブページで掲載していた写真も貴重な資料である、あれを整理するだけでも結構な分量になるのでないか。
 以前は「墨汁一滴」で買えず、近所のジャスコでも売り切れていたアナザーアギト人形が今回買えたのはよかった。地球儀はドイツの印刷で直径十センチメートル、掌に乗る大きさで、台座に親指の先ほどのロボコンが付いている。英文表記、北方四島も日本領として示している。地図帳は持っているが地球儀は持っていなかったのでこの際購入した。名札シール入れは鞄にでもくくりつけておくか。BLACKの絵、BLACKの写真、真の写真、Jの写真がはめ込まれている、多分萬画館図録からの切り抜きだろう。

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