「石森萬画館」第六回訪問記

平成十四年二月十日(日)

 九時十二分の水沢発、十二時三分石巻着。仙石線のホームに絵地図の看板が設置されているのに気付く。肌寒い、小雪のちらつく天気。
 八幡家に直行、昼食は茶碗蒸し定食。
 八幡家近辺から内海橋に抜ける道にエッちゃんの案内看板、「右折してケレ」。
 萬画館到着。丁度十三時のからくり時計起動を見る。
 今回の目的は第4回企画展「親子で絵本ファンタジー・世界の名作童話展」参観。
 日曜日の午後、館内は家族連れが多い。大変な混雑である。開館初日は別として、今まで経験の無い人出。
 往路の車中で特撮雑誌「宇宙船」を読んでいて「アギト」のアナザーアギトの人形の発売を知り、「墨汁一滴」で買おうとするも無い。未入荷なのか品切れなのかは知らないが、「本場」で買えないのは残念。中田町にはあるだろうか。
 五、六歳の少年が「ZO」のドラスの人形を欲しがるが、母親は怖いから嫌だ、父親はV3にしようと言う。この少年は見所があると思う。
 後述の平田昭吾の絵本や、「キカイダー01 THE ANIMATION」のストラップを売っている。まだ「龍騎」関連商品は見当たらない。
 自動販売機で共通券を買って企画展示室に赴く。今回の企画展は平田昭吾の絵本作品展。部屋の入り口に平田の経歴や写真が掲示してある。
 平田昭吾、筆者の父と同い年。手塚治虫に師事し、更に手塚の指示で出向して円谷英二から特撮、戦中のアニメ映画「くもとちゅうりっぷ」の政岡憲三からアニメーションを学ぶ。手塚、円谷の両神様、そして本邦アニメ映画の先駆け(手塚は少年時代に「くもとちゅうりっぷ」を見て感激したという)に師事したとはあまりにも輝かしい経歴である。映画「ゼロ戦黒雲一家」「太平洋ひとりぼっち」の特撮も担当したという。現在、絵本作家として活躍中。
 掲示してある写真は手塚や若き日の高橋英樹、吉永小百合と共に写っている物や、台湾での絵本出版百万部を記念して現地を訪問した時の物。台湾の空港での一枚、横断幕の文字は「歡迎日本動画大師平田昭吾先生訪台」。大歓迎振りが窺われる。
 展示室の壁に絵本の原画(セル画)や設定書、製品の絵本が飾られている。実は筆者は平田著にはなじみが無いが、製品自体はよく本屋の店頭の回転ラックで見かける。
 「アニメ絵本」の名のとおり、セル画を使った原画。また、設定書には色指定などが細かく書き込まれている。親に連れられた少女がセル画を指差して「これ持ってる」等と言っている。テレビアニメの絵本でもないのにどうして「アニメ絵本」なのかと思っていたがセル画を使うとは知らなかった。「セル画絵本」よりは「アニメ絵本」の方が語感は良い。
 ガラスケースの中には海外版の絵本。英語や繁体字、簡体字両方の中国語、ハングル。それこそ、海外でこれらの絵本を手にする人は日本人、東洋人の作品とは思っていないかも知れない。
 展示室の中央には敷物が敷かれ、その上にブロックや人形等が置かれ、幼児達が遊んでいる。人形の中に「ウルトラマンG」のゴーデスを見つけて喜んでしまう。しかし何故ゴーデス? 勿論、筆者まで一緒になって遊んだりはしない。
 小一時間も見てから退室。それから常設に足を運ぶ。こちらもごった返している。歴代ライダーマスク展示に津上以外の諸アギトや龍騎等は追加されるのだろうか。
 十四時半頃、退出。
粟野蒲鉾店で笹蒲鉾と野菜ボールを買い、十五時二十三分の小牛田行で帰途に就く。

 今回は寄り道せずに早目に行動した。三時間半足らずの市内滞在である。
 企画展は家族連れが多く来場して楽しんでいるのが印象的だった。実に家族向きの企画。萬画館にはこれからも幅広い層が楽しめる催し物を実施して欲しい。決して萬画館を一部愛好家だけのものにしてはならない。尤も、たまにはうんと対象を限定するような、頗る「通」「愛好家」向けの企画展を見たいとも思う。

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