「石森萬画館」第百十回訪問記

平成二十九年三月五日(日)

 当日よりJRのダイヤ改正。六時五十七分水沢発、七時二十二分一ノ関着。仙台行の八時発は変わらないので待ち時間が伸びる。八時四十八分に小牛田で降りて待合室に入れば、KIOSKに三月一杯で閉店の旨の貼り紙がある。筆者がマンガランドに通い始めた頃は蕎麦屋も併設されていたのに、遂に売店まで無くなる。併せて、公衆電話とコインロッカーも撤去だと言う。小牛田は筆者利用の東北本線と石巻線の他、陸羽東線と気仙沼線も乗り入れ、この辺りとしては大きな駅である。
 九時二十七分小牛田発、十時四分石巻着。晴れ。すぐ中瀬に向かう。
 作田嶋神社参拝。
 入館。第64回特別企画展「つづく展 −石巻に根っこの生えた写真家たちの写真展−」二月二十三日(木)から三月十二日(金)まで。大地震の後に石巻市に移住した四人の写真家の作品展。二、三十代の男性達である。
 石巻市各地の風景やそこに暮らす人々。被災後のみならず、被災前或いは昭和期の古い写真も展示されている。筆者も知っている風景もあれば心当たりが無いものもある。懐かしいのは往時の作田嶋神社と、シージェッター海斗対アカシオン大佐。久方振りに大佐の写真を見た気がする。
 家族連れの客が多い。若い夫婦が幼児に「ここに行った事がある」等と噺をしている。
 館内放送に従って外に出る。十一時半の少し前位から、館前で沢田獅子風流ふり保存会の獅子舞。市内沢田地区の郷土芸能で、今年の正月に十三年振りに復活したと言う。芝生の上に置かれている獅子頭一式に演者三人が入り込み、獅子が立ち上がって舞うと、途端に見物の幼児達から恐怖の悲鳴が上がる。やがて獅子が接近して来て見物客の頭を噛んで回る。獅子に幼児の頭を差し出す親はいるが「虐待だ」等と言う親はいない。中には御祝儀の千円札を獅子に喰わせる人もいる。大いに拍手を送る。
 イービーンズ、旧エンドーチェーン仙台駅前店での古本市に向かうべく、十一時五十二分発の仙石東北ラインに乗る。

 いろいろな風景、現実に起きた大災害を見つめ、これからを見すえつつ、往時を懐かしむ。単に風景のみならず、そこに生きている人々。

目次に戻る

一覧に戻る



I use "ルビふりマクロ".