「石森萬画館」第百二回訪問記

平成二十八年四月二十四日(日)

 実に半年振りの萬画館。単に専門外の特別企画展が半年続いたからと言うだけである。
 東北本線七時四分水沢発、いつもの経路で石巻着は十時四分。好天。中瀬直行。
 立町や旧北上川西岸で大きな建物の工事が行われている。
 萬画館北隣の水辺の復興・みらい館に左近士諒の川村孫兵衛伝記漫画のパネルが展示されている。台詞の語尾に「ッ!」が多い。
 作田嶋神社参拝。
 萬画館東側の道路に面した、ロボコンとガンツ先生がある芝生の辺りをアプローチスペースと呼ぶのは今回初めて知る。そこを会場にしての「レジェンドヒーロー90’s チームレジェンドヒーローin石巻」第一部。西暦千九百九十年代にスーパー戦隊シリーズに出演していた俳優達がやって来る。当初発表の出演者は年代順にファイブブルー・信達谷圭、ブラックコンドル・若松俊秀、リュウレンジャー・和田圭市、テンマレンジャー・羽村英、キリンレンジャー・土屋圭輔、オーレッド・宍戸マサル(当時は宍戸勝)、ゴーグリーン・原田篤。そして後日、偽テンマレンジャー・土屋大輔も発表される。総勢八人。原田は仮面ライダーデルタでもある。
 筆者は南側、側面から鑑賞する。観客は百人位だと思う。当然ながらその筋の愛好家大集合で、親に連れられた乳幼児はいるが小中高生は全く見掛けない。司会の讀賣新聞鈴木美潮が「おねえさん」を強調するので野次ってやろうかとも思うがやめておく。
 まず宍戸、信達谷、和田、圭輔登場。宍戸がチームの隊長だと言う。この四人でオリジナル曲「レジェンドヒーロー」「青い星は輝くだろう」と、ムード歌謡メドレー「射手座の女」「よせばいいのに」「わたし祈ってます」「星降る街角」。宍戸は敏いとうとハッピー&ブルーにいた事がある。萬画館、爽やかな青空の下で聴くムード歌謡。鈴木の言うとおり、事情を知らずに通りかかった人は何事かと思うだろう。
 続いて若松、原田、羽村、大輔登場。ここで特撮主題歌に移り、若松「鳥人戦隊ジェットマン」、原田「救急戦隊ゴーゴーファイブ」、宍戸「オーレ! オーレンジャー」、信達谷「地球戦隊ファイブマン」、羽村「五星戦隊ダイレンジャー」、土屋兄弟「重甲ビーファイター」。当日の出演者全員揃う。半年前の「特撮ソング三昧」で石原慎一が来ているので、「救急戦隊」と「重甲」は中瀬でオリジナル歌手と番組出演者それぞれが歌ったわけである。
 約二十年前、人によっては四半世紀前のヒーロー、相応に年を取ってはいるが皆、老け込んではいない。特に羽村は将児がそのまま年齢を重ねたようだ。
 出演者それぞれが変身ポーズを取り、その度に観客達から盛大な歓声と拍手が起きる。大輔はビーコマンダー持参で観客達を喜ばせる。和田、羽村、圭輔は三人で「天に輝く五つ星、五星戦隊ダイレンジャー」まで演じる。本当に黄色い声が上がる。
 筆者のすぐ目の前で「まんぼう」の西條社長挨拶。
 原田が「ドラゴンボールZ」主題歌を歌う。
 全員でチーム・レジェンドヒーローの被災地応援ソング「いつかあなたに逢える日まで」を歌う。曲の途中のナレーションはオーピンク・さとう珠緒。彼女も本当は来たかったが都合がつかなかったと言う。
 世代人と思われるその筋の愛好家達大喜びの一方、例によって幼児達は退屈して、耳を塞ぎながら親に手を引かれて立ち去って行く。しかし最後に全員が「レッツ! ジュウオウダンス」を踊ると幼児達の反応が途端に良くなる。一度踊った後、会場の幼児達も舞台に招き入れてもう一度。
 熊本地震の募金活動。
 「いつかあなたに逢える日まで」のCD配布。
 一時間程で第一部終了。
 第60回特別企画展「東村アキコ原画展」前日から七月三日(日)まで。全く知らない漫画家。一巡見ておく。
 常設では「サイボーグ009VSデビルマン」の登場人物の元ネタの展示。当該アニメはまだ見ていない。
 八幡家はこれも例によって貸し切り。橋通りCOMMONの鉄板ですWHITEの生姜焼き定食を喰らう。どうもここは以前の復興マルシェと比較して店舗の配置が雑然としていて歩きにくく、好きではない。
 フードコートで食事をしているとまたその筋の愛好家達が集まって来る。店舗に囲まれて狭い会場。十四時から第二部。
 今度は正面から鑑賞する。内容、曲目は第一部と同じ。羽村が眉毛を剃り整えて現れる。萬画館内で剃刀を調達したのだと言う。
 サーモンピンクとしてレジェンドヒーローの一員だと言う鈴木。他の出演者達から足首を繰り返し絶賛されて曰く「他に褒めるところ無いの?」
 出演者達が路上を歩いて萬画館に戻って行く。愛好家達が群がって握手を求める。筆者は和田に「レスキューフォース見てました」。
 ニューゼに立ち寄って武内館長にいろいろ話を聞く。
 十六時二十九分の小牛田行に乗る。石巻線にて、多色の水玉模様のような派手な車体の列車とすれ違う。その正体は次の石巻市訪問時に確認する。十九時四分水沢着。

 戦隊ヒーローは感動と爆笑の連続。各人が往時と変わらぬ雰囲気で若々しく演じて実に楽しめた。変わり果てた姿に失望、と言う事は無かった。
 ふるさと記念館にアオレンジャーとビッグ1の宮内洋が来ているが、メタルヒーローと、脇役とは雖もテレ朝ライダーが公式に来たのは初めてだと思う。これからも石森両館には特撮催し物を多く開催して欲しい。まだウルトラシリーズ主演は来ていないはず。藤岡弘、は「ウルトラマンG」初代ナレーター。
 特別企画展については例によって論評を差し控える。

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