「石森萬画館」第九十七回訪問記

平成二十七年七月十九日(日)

 いつも書いているがなるべく鉄道を利用したい、できればマシンでの遠出はしたくない。石巻駅からいつもの小牛田駅経由での日帰り可能な最終便は十九時五十分。後述の催し物の終了予定時刻は十九時半。やはり念の為にマシンで行く事にする。尚、仙石線経由で途中に徒歩移動を挟めば二十時半頃の便で帰れない事も無い。
 八時半頃に自宅を出発。給油せぬまま走り続け、中瀬には十時半頃着。既に暑く、且つ大勢の人が出ている。十時から二十時まで、「仙石線・仙石東北ライン開通記念事業/繋がる思い/いしのまき出発祭」開催。舞台が設置され、多くの屋台が出ている。
 トライサイクロンは萬画館事務室の通用口前に出されている。
 筆者の到着時には公園の舞台で「よさこいチーム舞綺瓔」の演舞中。
 十一時から海斗ショー。司会は「まんぼう」の佐藤奈津美女史。脚本は父発覚編。一年以上上演しているからか、発覚場面でのエーッと言う驚きの声は小さくなっている。何故か今回は幼児観客の怖がり方が尋常ではなく、途中の戦闘員養成コーナーでも一度登壇した幼児が泣き止まなくて親に引き渡し。客席からの悲鳴と「帰る!」の声が絶えない。進行役のミャーガノイド曰く「俺の方が泣きたい」。
 海斗ショーの途中で、「スター・ウォーズ」の帝国軍の一団が登壇。以前も街中で遭遇している501st軍団。ダース・ベイダーとトルーパー達。ヒメラニアン帝国との交流。ショー終了後に再び登壇して挨拶。会場ではライトセーバーを模したビニール風船が配られ、或る「まんぼう」女子従業員が子供達から袋叩きにされている。
 正午頃、一度中瀬を出て八幡家に向かい、いつものかば焼き定食と茶わん蒸し。例によって朝から何も喰っていないので飯もお代わり。
 また中瀬に戻る。十三時から大室南部神楽保存会。石巻市北上町十三浜大室の郷土芸能。津波で大きな被害を受けたが、関係者の努力や各方面からの支援で復活したと言う。鉦や太鼓の音と共に勇壮に舞う。
 同二十分から石巻無形文化財渡波獅子風流塾。男達が太鼓や笛を奏でる。太鼓は少年達が何人も参加していて、それぞれにソロパートがある。獅子は三頭登場、二頭は大人が二人ずつ入って演じるが、一頭は子供が一人で演じている。大人の獅子は客席に降りて行って観客の頭を噛む。瑞獣だが、ここでも怖がって泣く幼児多し。
 十四時前、入館。この日は海斗特別編を見ない。目当ての海斗新作CD、水木一郎サインカード入りを買う。
 第58回特別企画展「メアリー・ブレアの世界展」六月二十九日(月)から九月二十三日(水)まで。戦中戦後にかけてディズニー・スタジオで働き、四十年ほど前に亡くなっている米国のデザイナー。一巡だけ見る。
 常設はヒーロー作品の悪役特集。
 十五時頃にまた外に出ると、舞台では後刻のアニソンライブのリハーサル中。化粧をしていない堀江美都子が杖をついて登場、最近転倒で剥離骨折をして完治していないのだと言う。
 十五時半頃から石巻焼きそば早食い大会。ガンダム芸人・若井おさむ登場。はやぶさ、仙石線と言うモビルアーマーに乗ってやって来たと言う。進行の他に自ら早食いにも挑戦。終始アムロ・レイで喋るが観客にガンダムを知らない人が少なくなく、何を言ってもすべりっ放し。そこに筆者は親しみを感じる。大会の後、地元アイドルと思しき三人が石巻焼きそばの歌を歌う。
 暫し中瀬を歩き回る。作田嶋神社参拝。周辺はまた草がかなり高く生い茂っている。そろそろ手入れが必要だとは思うが、何より神社自体の再建と言う話が全く聞えて来ない。
 屋台は石巻焼きそばの他、遠くは中国地方からの全国各地の御当地グルメ。数軒から購入して飲食する。浪江焼きそばは太くて辛い。そのキャラクター・焼きそば太王に、大地震の前にも中瀬で浪江を喰っている事を話す(第六十五回訪問記)。この太王が実に格好いい。
 CDの屋台も出ているので、「東北合身ミライガー」と「ヒーローは Never ネバ Give Up!」を買い、水木と堀江のサイン色紙を貰う。
 十八時から水木一郎、堀江美都子、遠藤正明のアニメソングライブ。

 懐かしの名曲や噂の最新曲。堀江の石巻市は初めて。
 堀江に対して客席からカワイーと言う声が飛ぶが、堀江曰く「トシ聞いたらびっくりするよ」。そもそも遠藤が子供の頃、既に水木や堀江を聴いていたのである。
 水木が「永遠とわのために君のために」を「スーパー1」と言ってしまって、すぐ「BLACK」と「訂正」するが、「RX」の挿入歌である。この曲は「青春ラジメニア」では複数回「永遠えいえんのために」と読まれてしまっている。
 水木と堀江が石森施設に来るのなら「ストロンガー」は歌うだろうと予想していた。しかし本来「ささきいさお」の「ゴレンジャー」まで歌うと言う大サービス。
 ライブ開演前に撮影録音禁止が告げられるが、それでも撮影機材を操作していてスタッフに制止される人が絶えない。屋外での無料開催で、知らずに来て途中から見物する人もあろうから周知し切れないのだろう。
 萬画館でのアニソンライブが予定より早く終わると言う事は無い。今回の終了は十九時五十五分。やはり鉄道では間に合わない。
 帰途に就く。登米町の北上川沿いを北上している時に燃料切れ。一リットルの予備タンクで恐る恐る走り、なるべく市街地を通って営業中の給油所を探すもなかなか無い。知っている二十四時間営業の店は国道四号線。自動車保険のロードサービス利用も覚悟し始める頃、花泉町内の二十二時までの店に滑り込む。予備で三、四十キロメートル走ったか。
 二十三時頃の帰宅。

 大地震の後は特にそうだが、中瀬が大勢の人々で賑わうのは良い事である。街中に、多くの人々が集う場所がある。
 今回の特別企画展については論評を差し控える。関係者によれば好評だと言う。
 二、三年前に岩手県江刺市で「ささき」、水木、堀江の公演があり、筆者が堀江を鑑賞するには二回目。本当にいつまでも若々しい。今まで女性歌手はあまり来ていない、他は石川智晶くらいしか見ていないので、堀江以外にも女性歌手に来て欲しい。そして「ささき」が石森両館未到なのが不思議なくらい。戦時中は中田町の隣の登米町に疎開していたのである。

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