「石森萬画館」第九十四回訪問記

平成二十七年五月四日(火)

 今まで九時台は前半に便があったが、今回から五十分の水沢発。三十分遅くなる。そして一ノ関着も十時二十六分だから水沢・一ノ関間の所要時間も十分も増えている。四十二分一ノ関発で十一時二十八分小牛田着。待ち時間五分で三十三分小牛田発。先頃の石巻線全線復旧で、列車の行き先は終点女川。石巻線の車内は妙に混雑していて、四人掛けの座席をいつもは独り占めできるのにこの日は隣や向かいに他の客も座る。石巻着は十二時十二分。水沢出発と石巻到着時刻は遅くなるが所要時間、待ち時間は短い方。
 連休中好天続き、この日もまた。ただ石巻市は少し風がある。
 マンガロードで、後述のスタンプラリーカードを持った人々を何組も見掛ける。
 八幡家直行、食事。女将と少し会話。食後はすぐ中瀬に向かう。
 春のマンガッタン祭り2015、三日(月)から五日(五)まで。この日の海斗ショーは館の向かい、教会堂跡地の北側の空き地で開催。館の南隣の公園は工事で立ち入り禁止である。十三時過ぎ頃に中瀬入りすると、丁度司会の口上が終わるところ。ショーの脚本は去年三月以降の「父親」編。筆者のようにしょっちゅう見物して熟知している人の方が珍しいのだろう、この日もファリンクスの告白に観客からエーッと驚きの声が上がる。舞台の周囲には屋台が立ち並び、多くの人々が繰り出している。従業員と少し立ち話。
 館の正面に最新映画「仮面ライダー3号」に登場したトライサイクロンが置かれている。二階常設の変身ゲームには去年の鎧武に続いて先月にドライブが登場しており、改装前に比べて今は東映は萬画館に協力的なように見える。
 正面から入館、一階大混雑。まず受付で年間パスポートの更新手続き。墨汁一滴はレジの前に長い列が出来て、「最後尾」のプラカードを持った人が立つ程。まず特別企画展の図録でもある「仮面ライダー画帖」と、絵葉書セット二組を買う。レジに立つ顔なじみは後で筆者が声を掛けるまで筆者の来店に気が付かない程、忙しい。
 三階BZも満席のようなので入店断念。隣の研修室が開放されてはいる。
 二階に降りて企画に入る。第57回特別企画展「怪獣絵師 開田裕治原画展 〜仮面と光のヒーローたち〜」四月二十五日(土)から六月二十一日(日)まで。実は会期初日はこちらを後回しにして青森県立美術館の成田亨展を見に行っていた。
 開田裕治とは旧パソコン通信ニフティ以来二十年近い交流はあるが、特に個人的な付き合いや面識は無い。筆者にはバンダイの怪獣プラモデルの箱、雑誌「宇宙船」の表紙、映画「宇宙怪獣ガメラ」の劇中画、そして何より「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」LD−BOXの箱、ジャケットでなじみ深い。十年以上前、岩手県岩手郡岩手町の石神の丘美術館に個展を見に行った事がある。また、一昨年は仙台駅前Loftに来ている。その仙台駅前が今回の萬画館での開催のきっかけだと言う。
 冒頭は仮面ライダーシリーズ、昭和からクウガまで。BLACKのは放送当時のプラモデルの箱だと言うが、筆者は当該商品を手にしていない。これらの絵は先程購入の絵葉書にもなっている。マシンで走っている様子の絵も、筆者には昆虫図鑑の絵のような、動きや生気の感じられない物に見える。
 作品制作の様子の映像上映。彼もまたパソコン使用である。
 後半はウルトラシリーズ。こちらも昭和寄りか。やはり「セブン」「帰」には特になじみがある。躍動感は欠けていても、ウルトラ戦士や怪獣が見得を切っているような形式美はある。
 萬画館と言う場所柄、客は親子連れが多い。勿論、筆者のようなその筋の愛好家も多くいる。ウルトラ、仮面ライダー両シリーズ共に新作テレビや映画にも頻繁に出て来るからか、幼児達が昭和作品の絵を見て「何これ知らない」と言うような様子は無い。土曜日早朝だが「新ウルトラマン列伝」は東北放送で放送している。ただ、成田展で少なからず見掛けた若い女性単独、或いは若い女性同士の客はこちらでは見当たらない。逆に、成田展では幼児の姿を全く見掛けず。あくまでも筆者参観時の周囲の観察である。
 館を出て南下、そして作田嶋神社参拝。稲荷像の足下に硬貨が数枚置いてある、筆者も賽銭を置く。しかし本当は賽銭箱を設置して欲しい。
 そしてまた館内に戻り、いつもどおりの徘徊。企画は誤記を一ヶ所指摘しておくが、開田の原稿の誤りなのか、それとも萬画館の不手際か、まず疑うべきは後者。他にも誤記と言えない事も無い箇所があるが解釈の違いかも知れない。
 十五時過ぎ、本日三回目の海斗ショーを右手に見つつ辞去する。特別企画展連動企画スタンプラリー「怪獣捕獲大作戦」の台紙を持ち、既に館内で一つ押印済みなので残る五ヶ所を目指して歩く。これの開催期間中は従来のマンガロードスタンプラリーは休止。立町マンガロードの一本北の通りも歩くが特に迷う事も無い。
 その途次でまんがる堂にも立ち寄る。店番に本館の賑わいを話すと、こちらは暇だと言う。絵葉書を一組買うのは決して憐憫ではない。ツイッターで斬り結んだ事のある業者の商品は買わない。
 橋通りコモンは素通り。
 立町復興ふれあい商店街のパナックけいていで達成。景品缶バッジはゴモラを選ぶ。
 近所に近頃開店したこけしの店を覗いてみる。
 石巻駅に着いてもまだ十六時頃なのでロマン海遊21に入り、魚の加工品、震災記録DVD等、約六千円分を買う。これで所持金が六百円程になってしまい、NEWDAYSで粟野を購入不能になってしまう。
 駅舎内は三十日の石巻線全線開通と仙石東北ライン開業の祝賀一色。「あと26日」と表示されている。
 十六時二十九分発の小牛田行は意図せずしてレッド&ブルーのマンガッタンライナー。五月末での運行終了が発表されているので、これが最後の乗車。十七時七分小牛田着、三十七分発。十八時二十四分一ノ関着、四十分発。水沢着は十九時四分。

 萬画館大盛況を目の当たりにして、下品な言葉遣いは承知の上で敢えて叫ぶ「ざまあみろ反対派」。しかし萬画館反対を煽っていたブログ等は一年近く更新されていなかったり、その関係者のツイッターアカウントが他人の手に渡ったりしているようだが、一体どうしたのだろう。結局、応援であれ攻撃であれ、石巻マンガランドの様子を伝えるウェブで一番長く続いているのは我が「帝國」である。
 二大ヒーローシリーズを一度に見られる企画。ふるさと記念館では以前ウルトラマン展があったが萬画館で本格的なウルトラシリーズ展示は初めてだろうか。何かと比較してしまうが成田展程難しくはないので、年齢不問で楽しめるだろう。余程知識の無い人でもない限り、何の絵か判らないと言う事は多分無い。

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