「石森萬画館」第二回訪問記

平成十三年九月六日(木)

 前稿からの続き。
 十六時半頃に下船、そのまま川沿いの道を北上する。ふと右手を見ると「あかつき」という大きな船が中瀬につながれているのを見つける。結構汚れていて新しくはなさそうだ。中瀬に「あかつき」、出来過ぎている。
 後ろからマーメイド号が追いかけて来る。やがて筆者を追い越し、西内海橋に近い辺りで停まる。
 橋通りの粟野蒲鉾店で久方振りに「サイボール・ゴボウレンジャー」を買う。蒲鉾店は数あれど、「クウガ」の人形を置いている蒲鉾店はここだけだろう。店員の女性に「若旦那に世話になっている者です」と言えば彼女は筆者の名を問うので筆者答えて曰く「岩手の黒い服の人と言えば解る」。何を気取っている、本名言えばいいのに。
 萬画館へ。船着き場からは十五分ほど。ここの玄関前にも駅前と同じ本のような案内板設置。もう十七時近く、館内は人影もまばら。静かにゆっくり見学したいところだが閉館時刻が十八時だからあまり時間も取れない。
 「墨汁一滴」の商品をじっくりと見てみるがやはり欲しい物が無い。文具類はどれも子供のファンシー文具の延長のような出来でとてもとても大人の使う代物ではない。また、題材も「009」「1号ライダー」「エッちゃん」ばかり、特に「009」偏重のように思う。せっかく原作萬画が存在して図録でも大きく取り上げているなら「Black」の商品も何か作ればいいのに。「キカイダー」等、もっと変身ヒーローを題材に取り上げて欲しい。「ゴレンジャー」の菓子があるがこれも当然、原作萬画の丸っこいキャラクター使用なので宮内洋愛好家には勧められない。
 まっすぐ企画展示室に向かう、そしてまた「ライダーブレイクの図」に見入る。本当に素晴らしいぞ、この絵は。先日、近所のジャスコでのアートコレクションハウスの展覧会に行った際に、この絵を商品化せよと口頭で要望はした。
 改めて常設展示室を見学、やはり前回見落として今回初めて見る展示がいくつもある。そして、この日も気付かない展示はまだあるだろう。
 仮面ライダーのマスク展示、ストロンガーとクウガとアギトが一つにまとめられているのが妙と言えば妙だ。クウガとアギトならテレ朝ライダー、ストロンガーとクウガなら甲虫ライダーという括りができるが、三つ合わせてとなると考えてしまう。ひょっとしてチャージアップのストロンガーとフォームチェンジのテレ朝ライダー、随時変色ライダーでまとめたのだろうか。
 成人男性が002に乗っている、他の客が少ない時だから堂々と乗るべし。
 キカイダー誕生の展示は作りも声の出演も「THE ANIMATION」だが、ギルの笛の音は特撮版になっている。  三階のカフェ「BLUE ZONE」は十七時半まで。何も喰わず。
 十七時半からオリジナルアニメ「消えた赤ずきんちゃん」。他愛もない内容のギャグアニメ。声の出演は山寺宏一と松本梨香。山寺はふるさと記念館の「小川のメダカ」にも出演しているし、萬画館開館初日のオープニングフェスティバルで流された音響でも石森の声を演じていて、萬画館オリジナルムービー上映開始前の案内口上の石森役も彼。石森プロジェクトの常連声優である。
 一階の柱に「協力者」の名を記した金属板がはめ込んであり、特撮作品出演者では藤岡弘一人が載っている。最近、石森プロジェクトにおいて「仮面ライダー」のみならず石森特撮作品全体の代表のような顔をしている藤岡。しかし「仮面ライダー」を演じた年数なら「BLACK」「RX」で丸二年の倉田てつをの方が長いし、石森特撮作品全体で見るなら「V3」「ゴレンジャー」「ズバット」「ジャッカー」の宮内洋の方が長い。如何に「初代」でも「仮面ライダー」だけの藤岡を少々大きく扱い過ぎではないかと考えている。
 十八時になる前に退出。
 橋通りの萬市場で買い物。サブレ「三陸マリン物語」、「和風わかめスープ」、「しそ入りわかめ茶漬け」。
 そしてすぐ駅に向かい、コンビニで夕食代わりの弁当を買い込んで十八時十七分の列車で帰る。

 萬市場で買った品物。「和風わかめスープ」はわかめの入ったすまし汁のようなもの、だしが効いていて筆者好みの味、大変おいしい。茶漬けの味もまずまず。「三陸マリン物語」は少々甘すぎる。
 それでそのサブレ、販売元は岩手県水沢市の(有)岩手物産。何だ、我が市内の会社ではないか。水沢市民が石巻市に出掛けて水沢市の会社の品物を買ったわけだ。きっと石巻市のみならず三陸沿岸各地で売っているのだろう、包装には一切「石巻市」の文字は無いから。

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