「石森章太郎ふるさと記念館」第十回訪問記

平成十三年九月二十二日(土)

(当日は石巻市と中田町の両方を訪問したが、石巻市訪問の目的は岡田劇場での映画鑑賞であり、同劇場は石森プロジェクト施設ではないので、岡田劇場入場については中田町訪問の前記として付す。)

 水沢江刺発六時三十三分、朝一番の新幹線に乗りまず仙台に出る、七時二十一分着。そこから同四十三分発の仙石線に乗って石巻着は八時五十七分。晴れ。これが水沢市から石巻市への鉄道利用での最も朝早い便。
 何故斯くも早く石巻市を訪問するか、それは当日初日公開の映画「仮面ライダーアギト」を中瀬の岡田劇場で見る為。前述のとおり、少年時代の石森章太郎が中田町から映画鑑賞の為に岡田劇場に通ったとのことで、石森と石巻市の縁はここから始まる。原作・石森章太郎の映画を見るならここほどふさわしい劇場はあるまい。
 またもアンテナを取り去られてしまった立町ロボコン、未修復でつるっぱげのまま。
 まずカットサロンワダに和田社長を訪ねる。丁度社長も筆者に用があるそうで、いろいろ承る。
 (有)高橋市郎商店の新商品「マンガ畳縁」を見せて貰う。畳のへりが「がんばれロボコン」になっている。縁だけでも販売するので手芸にも使える。
 地図やパンフレットを貰い、水沢市、中田町、石巻市を結ぶ北上川を話題に会話が弾む。
 二、三十分ほどで辞去。
 岡田劇場。入り口やロビーは狭い、天井も低く、親子連れでごった返している。岡田会長自ら陣頭に立つ。会長に「NHKのテレビ見ましたよ」と声を掛ける。
 大人もひける三角くじ、筆者の当てたのは宮城県涌谷町の温泉施設の入浴券だが、水沢市在住では使う機会が無いだろうとの会長の配慮で袋菓子を貰う。
 売店でパンフレットと菓子を買う。
 まち&元気おこし団体・21せき会発行の「石巻圏元気新聞」創刊号を読む。岡田劇場についての記事が載っている。日付は「2000.夏」。  客席は案外広くてゆったりとしている。後方の席に座る。
 上映は十時から、まず「百獣戦隊ガオレンジャー」、続いて「仮面ライダーアギト」。
 十一時半過ぎに終わる。
 粟野蒲鉾店と萬市場で買い物。粟野では「サイボール・ゴボウレンジャー」、萬市場ではパイ「イカしたタコの気持ち」と「ひじきふりかけ」。
 十二時四分石巻発、石越着は十三時十二分。途中、小牛田の接続待ちが三分だから上々である。

 下り列車で石越入りしたのは初めてである。駅前待機の若柳中央タクシーでふるさと記念館に向かう。
 例によってまず茶屋。すっかりなじみの店員諸氏と談笑。「石巻市で買った菓子が水沢市の会社の製品だった」と話すと一同大爆笑。
 茶屋や売店二階に、既に終了したちばてつや展で飾られていたちばキャラ人形が置かれている。暫く預かっているそうな。
 サイン会の券を買う。
 「THE モンキー・パンチ展」九月十四日から十二月十六日まで。エントランスで記念館友の会会費領収証を提示して入場。会員証を提示すれば入場随時自由なのだが、会員証製作が遅れているのである。
 御存じモンキー・パンチ、「ルパン三世」の御大。今回の展示内容はモンキー・パンチというより「ルパン三世展」である、「ルパン三世」以外の作品は展示されていないから。手書きの原画、CG、アニメのセル画、テレビスペシャルや映画のポスター、ビデオカセット、LD、人形等。「念力珍作戦」関連は無い。漫画での台詞、ルパンは不二子に惚れてはいるが信用はしていないというのはなるほどと思う。
 女性客が多い。
 また常設も見る。「サイボーグ009 その世界…展」も引き続き開催中。かの有名な「君はどこに落ちたい?」の原画もある。
 ライブラリーで島本和彦「仮面ライダーZO」に収録の「仮面ライダーBLACK」「仮面ライダーZO」を読む。前者はテレビシリーズが基で、ゴルゴムから脱出して来た世紀王戦闘訓練用改造人間が主人公。後者は映画の内容を更に肉付けしたもの、ZOの特訓場面等がある。アニメ「キカイダー01 THE ANIMATION」が完結したら「人造人間キカイダー」を読むか。
 「生家」にも顔を出してみる。展示されている幼児服に軍歌「戦友」の歌詞が書いてあるのに今頃気付く。
 茶屋と館の間にある自販機に石森萬画館限定のはずのKIRIN FIREが入っている。まあいいか、こちらが地元だし。
 十六時より館のエントランスでモンキー・パンチサイン会。特別企画展のポスターに為書き入りでサイン。書いて貰っている間に会話。筆者は夏の日テレ「金曜ロードショー」スペシャルアニメについての苦情を言う、五エ門の扱いが変だとか、毎回オチはルパンの女性関係というのはもうやめて欲しいとか。まあアニメについての苦情をアニメ製作側ではなく原作者に言っても仕方ないかとも思うが、御大の耳に入れておくのもあながち無意味でもあるまい。アニメに苦情が多数寄せられていることは彼も知っているそうだ。
 この日のサイン会は五十人限定、やはり一時間くらい掛かる。サイン会終了後、モンキー・パンチは一度退出。
 エントランスではサイン会の後のトーク&マジックショーの会場の設営が始まる。十七時過ぎ頃か、西尾舞生まうが現れて係の人達と何か話をしてまた出て行く。
 ショーの料金を払う。モンキー・パンチ作品「透明紳士」文庫本を貰う。それにしても「モンキー・パンチ」という筆名、どちらが姓とも名ともつかぬから「モンキー」とも「パンチ」とも呼びづらい。小野寺館長はモンキー先生と呼んでいる。
 館内、茶屋をうろうろする。ポケットピザを喰う。
 今回の買い物は「梅!!ッちゃんと」と「れんこんうどん」。後者は新たにつゆもセットになっている。
 十八時半よりトーク&マジックショー。出演はモンキー・パンチと西尾。西尾は高校一年生の手品師、小学生の頃から国の内外で活動しているという。筆者は全く知らず。
 まず館の職員氏の口上、ずっと西尾のことを「まい」と間違って呼ぶ。館長の挨拶に続いてトークショーが二十分ほど。手品のこと、漫画のこと。石森の話題は全く出ぬ。西尾によると手品には仕掛けを使うイリュージョン系とテクニックによるものに分かれ、彼女は後者だそうな。
 トークショーの後、手品。カードを使うものなど。観客にも手伝わせていろいろ披露。テクニックによるものだけに手元が狂うこともあるらしい、少ししくじるのが却って生々しい。
 ショー終了後、館長に少年時代の石森は岩手県に行ったことはあるのかと尋ねる。一関市には映画を見に行ったそうだ。また、花泉町(岩手県の南端で一関市の南隣り)や平泉町(一関市の北隣り)に遊びに行ったという。やはり一関市にも来ていたのだ、映画を見るならどう考えても石巻市より一関市の方が近い。
 十九時半頃、辞去。若柳中央タクシーを呼んで石越駅へ。館の門前でのタクシー待ちの間、広島県の「たか」氏と少し会話。筆者が「どちらから?」と問いかけて会話を始め、氏が「ファンの方ですか」と問えば筆者は「『仮面ライダーBLACK』の研究家です」と答え、これで氏は筆者が何者か見当つくらしい。もっと早く気付いていればいろいろ語り合えたのに。二十時十三分の下り列車で帰る。

 一日で石巻市、中田町の両方を回ったのは初めてである。そして「構想」取材開始以来、石巻市を訪問して「墨汁一滴」に寄らなかったのも初めて。
 ふるさと記念館の特別企画展、「ルパン」以外のモンキー・パンチ作品についても見たかった。展示自体は見応えはある。
 萬市場で買った「イカしたタコの気持ち」もまたすごい名前の菓子、(有)岩手物産の製品。烏賊いかたこの形をしたパイ。少し甘みが足りない、「三陸マリン物語」の方が筆者好み。「ひじきふりかけ」はちりめんも入った物、商品名は「ふりかけ」だが飯に混ぜて混ぜ御飯にすると大変美味である。ひじきの風味が実に飯に合う。

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