「石森章太郎ふるさと記念館」第九回訪問記

平成十三年七月二十二日(日)

 九時十二分水沢発、石越着は十時十分。次の石越方面バスは十一時四十分。一時間半待つよりも歩く。久方振りの駅・記念館間の徒歩である。平日ダイヤならJRとバスの接続はまあまあいいのだが、休日ダイヤは最悪である。
 この日も暑い暑い、真夏の太陽の下、県道を歩む。干からびた蛙の屍が転がっている。
 田圃からムゥームゥーと低い唸り声、牛蛙であろう。
 道すがら、何度も自販機からジュースを買って飲む。
 二時間掛けて到着。仮面ライダーモニュメントと記念碑は改めて白布が掛けられている。まず茶屋で一服。
 「生家」。やはり広々とした畳の部屋は快適で落ち着く。係の女性二人と談笑。
 以前書いた「由来不明の不気味な額」、多分何か専売の許可証、鑑札ではないかとのこと。
 館の敷地へ。庭を歩いていて後ろから館長から声を掛けられるようになれば筆者も常連常連、大常連17。
 駐車場にて十三時から「石森章太郎ふるさと記念館1周年記念式典」。開会の辞は中田町収入役、主催者挨拶は同町長、来賓祝辞は小野寺章名誉館長(章太郎の次男、「アギト」等のスーパーバイザー)、大石正光代議士(石森出身)、同町議会議長。祝電披露は大石代議士、矢口高雄、造形工房ゼペット(モニュメント製作)。矢口は本当は出席予定だったのが椎間板ヘルニア再発で欠席。閉会の辞は町教育長。
 引き続き「石森章太郎記念碑除幕式&石森章太郎キャラクター造形物除幕式」。町長、名誉館長、議長、教育長の四人で記念碑、続けて仮面ライダーモニュメントの除幕。拍手。
 十四時から「生家」にて「石森章太郎ふるさと記念館友の会結成式」。筆者も末席で傍聴。出席者が中年男性ばかりというのが少し気になる。名簿によると殆どは中田町や近隣の人々だが県外の人もいる。大石代議士の名も見える。
 館のエントランスで筆者も「友の会」入会手続き。結成式と順番が逆だ。
 十五時から駐車場でちばてつやサイン会だが、筆者は茶屋でくつろぐ。幸朗氏と歓談、「009」映画や今般設置のモニュメントについて。氏の口ぶりからも記念館に寄せる熱い思いが感じられる。
 ビデオ上映中の「009」旧作二本は筆者も好きな作品。ブラックゴースト大首領の断末魔の台詞が殆ど創世王である。今も大首領や創世王は世界のどこかで笑っているのだろうか。「超銀河伝説」はただだらだらと長いだけで中身が薄い。
 エントランスで、館長から他の常連客二名と引き合わされる。一人は山形県、もう一人は埼玉県。いろいろ語り合う。実は筆者も向こうを見覚えのある顔だとは思っていたが。
 十七時から駐車場にてシンポジウム「まんがによる地域作り」。コーディネーターは筑波大の谷川彰英教授、パネリストはちばてつや、里中満智子、秋田県増田町助役、石巻市長、中田町長。大物漫画家二名出席にも関わらず聴衆はまばらで、壇上の諸氏も「もっと町民はいるのでしょうが」と驚きを隠さない。「漫画家の発想」や三自治体を結ぶ「マンガロード」構想、章太郎の思い出、詩人・金子みすゞのこと等。谷川教授は世代不問のメディアとしての漫画を強調して「『アギト』は子供と大人は見ても老人は見ない」と言うが、字を知らない幼児は「アギト」は見ても漫画は読まない(読めない)だろう。何だか漫画を万能のメディアみたいに持ち上げているように思われる。
 シンポジウム終了は十八時二十分頃。何と館長夫人の御厚意で自動車で石越駅まで送ってもらう。いいのか、ここまでしてもらって。
 十九時少し前に駅に着き、駅前の食堂で夕食を摂ってから二十時十三分の下りで帰る。
 記念館を訪問して展示室に入らずに帰ったのは初めて。
 友の会入会。当日もらった会則によると、会員証の提示で記念館に常時入館できるという。筆者のようにちょくちょく訪れる者にとってはこれだけでも十分、元が取れる。
 館長夫人にまで世話を焼いてもらう、思いがけない厚意。館長共々、本当に来館者を大切にされているのだと思う。
 これで記念館1周年記念祭は終了である。

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