「石森章太郎ふるさと記念館」第七十九回訪問記

平成二十四年七月十五日(日)

 早目の出発を考えていたが朝から大雨。暫し様子を見て、雨が上がったところを見計らって十時半過ぎにマシンで出発する。前沢町内吉田石油で給油後、平泉町内で雨脚が強くなり、雨具を着込む。前田公園の脇を通って石森郵便局に着く頃にはまたやんでいる。ATMで資金調達、伊勢岡神明社参拝の後、本館南側駐車場にマシンを置く。この時点で正午頃。
 生家には地元ボランティアガイドの男性二人と女性一人が詰めている。筆者の前後にも少なくない参観者がある。この日の筆者は内部案内をしない。ガイドの人達と会話をする。
 本館に入る。関係者に挨拶をする。また人事があったようで、今回初めて会う人もいる。熊谷館長不在。
 第41回特別企画展「永井豪 マンガの軌跡」七月十四日(土)から十月二十一日(日)まで。章太郎門下出身の出世頭、満を持しての登場である。
 巨大ロボット作品の大家たいかか、お色気作品の巨匠か。本人の言うとおり、いずれも永井豪である。乗り込み操縦式巨大ロボット兵器の元祖であるマジンガーZ、その後世への影響は測り知れず、また主題歌は水木一郎の代表曲にしてアニソン分野自体の象徴的な存在でもある。筆者も幼時からマジンガーシリーズや「デビルマン」の再放送で永井に親しんで来たが、再放送ではなく本放送で見たのは「ゴッドマジンガー」と「ゲッターロボ號」だけだと思う、手持ちの映像ソフトは「ゴッドマジンガー」LD‐BOXのみ。家に「UFOロボグレンダイザー」のジグソーパズルがあったが本放送を見ていたかどうかは定かではない。「號」は実にマジンガー風味の作品だと思いつつ見ていて、最終回には絶体絶命のゲッター號を助けにグレートゲッターロボが出て来るのではないかと予想していた。OVA等の類は全く見ていない。漫画については「コロコロコミック」か「小学三年生」のいずれかはっきりしないが「ドジラセンセー」は記憶にある。
 山形常連氏が来るので暫く行動を共にする。
 エントランスには記念撮影用の等身大パネル、人形等は特に置かれていない。企画に入ると先頭に展示されているのが「ハレンチ学園」の複製原画。更に「あばしり一家」「魔王ダンテ」と続く。一作品につき一、二枚ずつの展示が多いが、「デビルマン」はラスト、「マジンガーZ」「キューティーハニー」はZやハニーの初起動場面の数ページが展示されている。奥の一角には今回のポスター原画の執筆風景。一番奥に置かれたガラスケースには、マジンガーシリーズの超合金や、ヒロイン作品等の人形等が納められている。筆者には「ゴッドマジンガー」の原画が嬉しいが印象はテレビアニメとは全く異なる、寧ろ「マジンサーガ」の絵が筆者の「ゴッド」の印象に重なる。自伝的作品「激マン!」「ヴィンテージ漫画館」や歴史物「伊達政宗」もある。大きな年表は作品年表と略歴が別々に設けられている。室内の壁を一周して最後に「永井豪といえば?」と言う一枚物。その下のガラスケースには海外出版の漫画本。台湾版と思われる「デビルマン」は向こうでは十八禁のようである。いつもの特別企画展では企画の室内に何枚も仕切り板を立ててそこにも作品を展示しているものだが今回はそれが無く、入り口から一番奥までがら空きである。
 親に連れられて来たのであろう女子小学生達が「ハレンチ学園」や「けっこう仮面」に見入っている。複製原画や人形類の裸の女性達も特に一部を隠したりもせずにそのまま展示してある。
 前回の聖闘士星矢Ω展が映像作品の資料のみだったのに対して、今回は専ら漫画の展示で、実写作品のスチールやアニメのセル画等の類は無い。
 展示その他についていろいろ気の付いた点を山形常連氏と共に記念館側に伝える。これぞ友の会会員の務め。熊谷館長以下、ふるさと記念館には「御意見をありがたく拝聴する」と言う姿勢がある。
 十二時半頃、単独行動に出る。マシンで迫町に向かう。迫町飲食店探訪の続き、まず入店するのは十字路のそば、一番手前にある「紺のれん」。割りと大きな明るい店舗である。塩ラーメンと半チャーハンのセット、七百八十円。
 登米市歴史博物館で調べ物。「宮城縣史」と「登米町史」を参照し、また館職員氏に尋ねてみるが手掛かり無し。水沢市や一関市は「仙台市から見れば岩手県」且つ「盛岡市から見れば伊達」。
 十四時半過ぎに辞去。そこで今度は、「プッペ」と「紺のれん」の間にある「かゞ野」に立ち寄ってしまう。昔ながらの食堂と言う趣。「五目はっとセット」七百円。とろみのある汁に野菜や茸がどっさり入った「はっと」と飯、小鉢。
 十五時半頃にふるさと記念館に戻り、企画に出入りしたり、事務室で会話をしたりして過ごす。初日には団体客が来たそうだが、この日も客の入りは上々。家族連れが多い。
 ふるさと記念館第2回特別企画展は先日亡くなった畑中純であり、即ち畑中は章太郎以外でふるさと記念館で個展を開いた第一号である。エントランスの畑中商品販売の場所には追悼の文言が掲示されている。
 職員達との会話でやはり出る、トヨタのCMの件。「石巻は章太郎の故郷ふるさと」について、萬画館のウェブには感激の、ふるさと記念館には非難の書き込みが集まる。そもそも「故郷」等、どうにでも定義できると言うのが筆者の考えだが、よそが何を言おうと章太郎の生誕地が現在の登米市なのは絶対動かない事実である事、その石巻市も勝手にマンガランド構想を推進しているのではなく、生前の章太郎本人の許諾の下に構想が始まっている事は押さえておかなければならぬ。
 庭で、十年程前に生家の案内係をしていた女性と会う。暫し会話。
 十七時過ぎ、辞去。帰りは雨に当たらずに十九時前に帰着。

 以前から筆者は永井展の開催を要望していたのでまさに夢の実現だが、不満も多々ある。既に館の側に伝えたのでここでは省略する。あと数回は見に行くと思う、いろいろ館の側にも事情はあろうが改善して欲しい。
 嘗てはPTAから糾弾を受けたと言う永井豪が、市立教育施設にして師匠の故郷であるふるさと記念館で個展を開く。時代は変わるものである。
 明らかに父親世代向けの特別企画展である。特に第一期ライダー世代人にとっては必見であろう。仮面ライダーもマジンガーも同時期に一世を風靡した。
 今回、永井豪展でマジンガーシリーズを見られた。「ふるさと記念館に於けるロボット」を考えると、章太郎自身にキカイダーシリーズ、「ロボット刑事」や「がんばれロボコン」があり、過去の特別企画展では順不同で「鉄腕アトム」手塚治虫、「ドラえもん」藤子・F・不二雄、「機動戦士ガンダム」、「新世紀エヴァンゲリオン」が実施済みである。こうなるとやはり、「鉄人28号」横山光輝や「Dr.スランプ」鳥山明も見たくなる。

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