「石森章太郎ふるさと記念館」第七十八回訪問記

平成二十四年四月十三日(木)

 前の晩にも地震。
 春の日。多少風は強いが晴天、温暖である。十一時四十五分頃、キックスターターでマシンを目覚めさせて出発する。
 いつもの道を南下、渋滞も無く快走する。ただ砂塵が口の中に入って来るのでヘルメットのゴーグルを下げる。前沢町の吉田石油で給油。
 花泉駅前の手前に新しい道路が出来ていたのか、迷い込んでしまうもすぐ気付いて国道三百四十二号線に戻る。路面の亀裂は大分修復されてはいるが、まだ工事中で交互通行の場所もある。
 十三時頃、伊勢岡神明社に到着。参拝。本殿に宮城縣神社廰の真新しい幟が飾られている、「伝えていきたい日本があります」。狛犬は縄を張られて近付けなくなっている。
 北側駐車場にマシンを置き、本館に入ってエントランス受付の武田女史に顔を見せる。新年度に人事があったそうだが新任者はこの日たまたま休み。
 すぐ本館を出て生家に向かう。地震以来閉鎖中だったが三月二十日に再開。平日なれば中は無人。綺麗に修復されているが、多少品物の配置が変わっている。
 再び本館。第40回特別企画展「聖闘士星矢Ω 新世代の聖闘士達」四月七日(土)から七月八日(日)まで。四月一日(日)から放映開始の新番組の特集である。この企画展は番組のウェブでも紹介されている。
 筆者はずっと「まんが日本昔ばなし」を見ていたので、今までコスモを感じた事は無い。OVA等も全く未見で、今回のΩも事前には特に注目はしていなかったが、特別企画展をきっかけに初回から見ている。車田正美作品では「男坂」は記憶にある。「B’T X」はテレビもOVA「NEO」も見た。
 常設入り口の脇、過去にミッフィーやエヴァンゲリオン初号機が置かれていた場所には聖矢と光牙の大きなパネルが立っている。
 企画は「展示室内撮影可能」。まず新番組のストーリー解説文が掲示され、キャラクター設定画が続く。この時点でテレビ未登場人物についての資料も少なくない。台本の展示もある。後半に美術設定画。キャラクターも美術も、説明文は無い。総じて徹底した新番組宣伝であり、旧作アニメ関連は冥王ハーデスエリシオン編のセル画数点のみ。特に原作者紹介や原作者からの言葉等も無い。テレビセットではノンクレジットオープニングと番組CMを上映中。
 常設の奥の色紙展示が差し替えられている。上から順に藤岡弘、、佐々木剛、宮内洋、倉田てつを四人の色紙が並ぶ。
 十四時半頃に本館を出る。マシンで南下、昼食は後回し。登米市歴史博物館の企画展「佐沼目薬 開明香〜海を渡った妙薬〜」二月二十五日(土)から五月六日(日)まで。当地で江戸時代から昭和五十一年まで製造されていたと言う薬品と、その業者の歴史。実に地方の博物館ならではの企画展である。
 昔の軽便鉄道・仙北鉄道についてのビデオ上映を見る。この仙北鉄道も廃止後にはバス専用道だったが今は一般道や農地等に姿を変えている。当地の路線バスの不便さは何度も実感、指摘している。ツイッターで頻繁に取り上げているとおり、被災運休中の岩手、宮城両県の路線について、手っ取り早くバス専用道で再開したいJR東日本と、あくまでも鉄道での復旧を求める地元自治体の対立が続いているが、一度やめてしまった鉄道はそう簡単に復活するものではない。もしバス専用道になったら、そのバス廃止もすぐであろう。
 先に昼食を済ませるべきだったのである。一時間程してから博物館を出て、その界隈の飲食店探訪の続きをしようとするも、いずれの店も十五時までで一度閉店して「準備中」。昼食の為に夕食時を待つのも本末転倒なので、一度ふるさと記念館まで戻り、マシンを置いてから「たけちゃんラーメン」利用、こちらは休み時間は無いようだ。味噌チャーシュー麺六百八十円にはチャーシューと野菜がどっさりと乗っている。当座の空腹を満たす。
 以後、本館の展示室を出たり入ったり。平日の午後、筆者以外には親子連れ二人を見るのみ。
 事務室で粕谷女史や木村氏と会話。棚の雑誌ホビージャパンを開き、海斗の連載漫画を初めて読む。東映特撮の女性悪役特集のページを女子職員に示して「私が求めているのはこれだ」と叫ぶ。
 以前筆者が勝手に作ったふるさと記念館標語を推敲して「たどり着くまでアドベンチャー、一日過ごせばサバイバル」。略して「アドベンチャー&サバイバル」。これを言うと記念館関係者は大変嫌がるが、向こうが反論できないのもまた事実である。
 エントランスに置いてある無料誌を手に取る。企画展にちなむ商品の販売もしている。
 暗くなる前に早目に出発するつもりがやはり話し込んで閉館時刻の十七時近くになってから辞去。十八時半頃に帰着。

 世界一早いΩ展。展示資料は「もうここまで見せていいのか」と思いつつ見た。但し、ふるさと記念館ではいつもの事だが説明文が不足している。始まったばかりの番組なのだから、番組ウェブの文章の流用でも、登場人物の説明ぐらい表示してもよかろう。
 繰り返すがあくまでもΩ展であり、原作漫画や最初のテレビアニメについては全く触れられていないので、「新作なんか認めない」と言うような人には勧めない。
 番組ウェブのΩ展告知には「※その他、順次追加予定」とある。友の会総会の時にでももう一度見ようか。
 我等の憩いの場・生家の再開は実にめでたい。次は「めだか」を待つばかりだが、その再開までに筆者は何軒の登米市内飲食店を探訪する事になろうか。歴史博物館の周辺は市街地なので、更に足を延ばせば飲食店はいくつもある。ふるさと記念館の近くに無さ過ぎるのだ。この調子だと水沢市や石巻市よりも登米市の飲食店に詳しくなってしまいそうだ。
 ところで、作業服姿の女性の働く姿は大好きだ。

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