「石森章太郎ふるさと記念館」第七十五回訪問記

平成二十三年十二月三日(土)

 水沢から十二時十一分の上り列車に乗り、石越には十三時八分着。三月以来の石越駅は改装工事を終えて、アニメ「小川のメダカ」とは全く異なる様相を呈している。しかし駅前の静けさは従前どおりである。
 市民バスは十三時四十八分。筆者の前に乗客は一人だけ、そしてその後誰も乗降せず、記念館前で筆者一人下車。十四時過ぎ。現地は雨である。
 記念館敷地内に入る。エントランスで早速いつもの知人達に会う。
 今回の催し物・「山田ゴロ・すがやみつるトーク&サイン会」は十五時から。比較的遅い時刻からの開始なので筆者もそれに合わせて来るが、到着時の館内はまださほど混んでいない。エントランスに設置された客席もまだ埋まっておらず、余裕を持って着席する。やがて満席になる。
 開会。記念館粕谷女史が開会の辞を述べる。続いて山田と「すがや」が入場。熊谷館長が両者の経歴を紹介する。今回の特別企画展開催について記念館は山田に相談し、山田が各漫画家に声を掛けたと言う。「すがや」については再来年四月から京都精華大で教壇に立つ事が報告される。
 打ち合わせ無しの対談方式で話が進む。若い頃の思い出、章太郎の温厚さと強靭さ、両者の結婚にまつわる噺、デビューは狭き門且つ後が続かない漫画界、晩年の章太郎、等々。
 最後に熊谷館長が両者にとって章太郎とはどのような存在かと尋ね、両者とも父親のような存在と言う事で一致する。
 十六時前にトークショー終了。続いて、両者による漫画執筆の実演。色紙に作品を描き、その様子を会場に設置のテレビ画面に映し出す。描き上げられた色紙は会場のじゃんけん大会勝者に贈られる。
 ゲストの二人は企画も見て回る。自らの作品を背に記念撮影をする「すがや」。筆者は山田と少し対話する。
 来場者も一緒になって会場の椅子を片付けてからサイン会。本の購入者のみが対象。筆者は不参加、様子を見守るのみ。
 十七時、恒例光のページェント点灯式。山田夫妻と「すがや」がボタンを押し、中庭に設置された電飾が点灯する。熊谷館長によると、当初は中止も考えたが、省電力型のLEDで実施したと言う。
 十七時半頃に辞去。友人の自動車で石越駅まで送ってもらい、十八時二分の下りに乗る。十八時五十五分水沢着。

 大地震の後、ふるさと記念館では初めての、大物ゲストを招いての催し物。盛況で何よりであった。
 今回もまた章太郎の弟子筋から興味深い噺、章太郎の超人振りを聴いた。本当に異口同音にどの人も、章太郎が怒る様子を見た事が無いと言う。

一覧に戻る

目次に戻る