「石森章太郎ふるさと記念館」第六十六回訪問記

平成二十二年八月二十一日(土)

 ここのところ早朝出発が続いたが今回は日中の行事、普通の出発。
 晴天の下マシンで出発、国道四号線の一関市のマクドナルド近くまで南下するが市内で所用がありそこで左折して寄り道。用事を済ませた後に世嬉の一酒造や一関学院高校のそばを通って三百四十二号線に入る。そして花泉町永井で右折して初めての道、県道百九十号線に入る。信号機の無い道路を南下し、四キロメートル程走って宮城県に入る。岩手県道から宮城県道に切り替わるが番号は百九十号線のまま。やがてV3像の前田公園に差し掛かり、あの丘に数人の人影を認める。県道四号線に出る前に左折して裏道を通り、十三時過ぎ頃に北側駐車場に到着。いつもの場所にマシンを置く。
 記念館10周年記念夏祭り。南側駐車場に舞台が設けられ、多く屋台が並ぶ。行列ではないが案の定多くの人出で賑わっている。「めだか」前で既に到着の友人知人に会う。また、萬画館関係者数人を見掛ける。
 とにかく暑い。盛岡友人と生家に入る。小野寺おっかさんはこの日不在。土間の応接セットに腰掛けていると十人くらいの男女の集団が中の様子を窺うので、例によって「無料なので入って」と誘い、中を案内する。そして二階の章太郎勉強部屋では一同感激のあまりか仏像でも見るような神妙な態度になるので、促して勉強机に着席させ、また記念撮影をさせる。
 生家を出て南側駐車場に向かう。十四時から今回の目玉、アニメ&ヒーローソングコンサート。出演は串田アキラ、☆MoJo(記念館ウェブ表記に従う)、宮内タカユキ、構成・司会はショッカーO野。既にビニールシート席は満席、筆者達は立ち見。
 先に曲目を列挙する。

 O野によれば元々この「魂の三兄弟」の結成は五年前、石森萬画館での開催がきっかけだと言う。その時は筆者はどうしても外せない用事で見物に行けず。
 公演は一時間半の予定が二時間近くになってしまう。O野の言うとおり「本邦初公開」か、各人が持ち歌以外の石森歌曲をも歌い、弾く。その際は各人堂々と譜面を見る。宮内の「BLACK」「L L A,」で筆者泣く。O野曰く「『BLACK』の主題歌はこんなに格好いい曲だったんですね、他意は無い」。例によって筆者を含むその筋の愛好家大集合の観客達は拳を振り上げ、合いの手を入れて熱狂する。その間を、つまらなさそうな幼児が徘徊する。
 知人達と「めだか」に入り、各人飲食物を注文して一服。筆者は串田にちなんで牛丼で腹ごしらえ。その他、随時「めだか」や屋台、自販機で飲み物を買う。「めだか」の階段そばの席にいるとコンサート出演者達が上がって行くのでその都度我々も挨拶する。ホントにクッシーなのである。
 郷土芸能等、他の出し物も進行が遅れてお楽しみ抽選会のくじ引きは後回し。空いている本部来賓席テントで石巻市の獅子舞を鑑賞する。獅子舞が舞台から客席に降りて行くと幼児は悲鳴をあげる。
 宮内は単独で先に館を出て行く。串田、☆MoJo、O野と関係者と思しき人達は「めだか」と本館の間の屋外席で缶ビールでくつろぎ、また愛好家達と交流する。
 十七時頃までには盛岡友人や石巻知人は帰途に就く。筆者と山形常連氏は残る。
 くじ引きは十八時近くまでずれ込んだろうか。今回は筆者当たり、(有)カーショップサトー提供の包み。開封しないで持ち帰る。
 本館事務室で休憩し、時折外に出て様子を見る。よさこい。
 熊谷副館長と只野氏は終日、外を走り回り、また熊谷氏は無線で指示を出す。山形常連氏が資材運びに使われている、やはり筆者同様最上級常連である。
 屋台から好物のフライドポテト箱入り五百円を買って来る。事務室の女子職員達に勧めて、彼女達がつまんで喰ったのを見るとすかさず「芋姉ちゃんが芋喰った」と叫ぶ、以前萬画館で使った手。会話をしてみると彼女達三人は特に石森作品が以前から好き、詳しいというわけではなさそうである。一人は不思議コメディーや「燃えろ! ロボコン」を見ていたと言う。
 事務室を訪れた近所の人から、岩手宮城両県の政財界についての裏話を聞く。確かに、筆者は宮城県で「宮城県から岩手県に入ると道路が格段に良くなる」「岩手県の道路は立派、さすが小澤先生の地元」とはよく言われる。
 エントランスに、記念写真用に顔の部分が切り抜かれたロビンちゃんパネルが置いてある。これが大好評だと言う。
 二十一時半頃に辞去、また前田公園の脇を通る。帰途は寄り道せずに帰着し、所要時間やキロ数を見れば一時間強、約六十キロメートルで今までの宮石運輸経由と殆ど変わらない。
 当てた賞品は日本茶とインスタントコーヒーの詰め合わせ。

 夏の日の、とにかく暑く、熱い午後。三人の競演がやっと見られた。串田の「サンバルカン」、宮内の「バイオマン」が聴けなかったのは多少残念だが、ふるさと記念館ならではの実に珍しい代物を聴けた。これが無料だったのである。これからも彼等の歌を聴きたい。
 O野も述べたとおり来年は仮面ライダー四十周年。果たしてどのような企画が進行しているか、楽しみに待とう。
 今まで、記念館ウェブの道案内のとおりに宮石運輸経由の道を走って来た。水沢市からなら高速道路を使うに及ばない。今までの経路と今回の経路、気分で使い分けようと思う。
 もらって困らぬ賞品が当たってよかった。
 六月から八月まで、差し当たりふるさと記念館の夏の催し物は雨男を発動させずに楽しむ事が出来た。遠来の友人を常連への道に誘ったり、新たな知人を得たり、有意義な夏ではあった。

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