「石森章太郎ふるさと記念館」第五十九回訪問記

平成二十一年十一月十九日(木)

 七時六分水沢発上りに乗って、一ノ関での待ち時間が三十分。そして八時二十二分に石越に着いてからバスが来るまで一時間弱。たかが五十キロメートルの移動に三時間かかる。半分は待ち時間である。気が付けば石越駅前のバス停にバス会社の詰め所が出来ている。
 記念館の一つか二つ手前で下車。石大神社に向かう。境内に立つ記念碑の一つ、仙台藩の儒者・新井雨窓の記念碑の文章の撰者が何と「史記會注考證」の瀧川資言。瀧川は東北帝大講師であったからその縁か。記念碑の写真を撮影し、後日筆者の漢学の恩師に見せるとやはり関心を示す。人気ひとけの無い境内、温暖な日。
 裏道を歩いて記念館敷地に入り、まず「めだか」で弘幸氏に挨拶。
 生家。幸子おっかさんに挨拶。
 そして本館へ。
 第32回特別企画展「工藤稜の世界展」十一月一日(日)から十二月十三日(日)まで。先日の安彦良和トーク&サイン会のトーク進行役である。筆者にとってはNHK「名将の采配」の画家。ちょくちょく石森両館を訪れてライブアートを見せたり等している。
 特に工藤作品を読んだ事は無いが、歴史人物の絵等は元ネタが解るので見ていて楽しい。「名将の采配」で使われた絵も展示してあるが、説明文の間違いを職員に指摘しておく。晋の文公は長耳ではなく重耳。また、人体スケッチについての本もある。ビデオセットではフジのCS「デジ絵の文法」が上映されている。
 館の人々と会話。
 本当に何年振りかで「小川のメダカ」を見る。風だけは変わらない。
 「めだか」ではハンバーグカレーと新作なめこおろしそば。筆者の好物ばかりで言う事無し。
 十四時半頃辞去。手配の自動車で石越駅まで。十五時発の下り、一ノ関の乗り換えは五分で水沢には五十分に着く。鉄道乗車時間は実質四十五分なのである、本当は。

 筆者は今まで殆ど知らぬ画家であったがなかなか楽しめたのであった。
 最近気になっている事。ネット上の反応を見ていると時折、石森両館の特別企画展に対する疑問の声があがる。どうして石森記念館でウルトラマンなのか、何故ガンダムなのか、等。疑問視する人に逆に尋ねたいのは、仙台市博物館や岩手県民会館に、宮城県や岩手県とは無関係の古代中国やオリエントの巡回展が来るのは疑問に思わないのか、と言う事。そんなに石森両館で他のヒーローの展覧会を開くのはおかしな事だろうか。

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