「石森章太郎ふるさと記念館」第五十六回訪問記

平成二十一年六月十三日(土)

 十三時頃にマシンで出発、七、八十分で現地に着く。館の北側から近付くと北側駐車場満車の表示、即ちこの日と翌日は南側駐車場で高市たかいち開催。互市たがいちとは日用雑貨や農産品等を持ち寄って販売する市で、祭のような露店も多数出る。ここ石森では高市と言う。宮城県各地や岩手県花泉町で行われているところを見ると旧仙台藩の名称のようである。
 マシンに乗ったまま館の南側に出て、石森局ATMで資金調達。続いて伊勢岡神明社参拝。門前で遊ぶ小学生達が筆者に「今日は」と挨拶するので答礼する、挨拶の出来る子に悪い子はいない(「ゲゲゲの鬼太郎」第五部#1)。再び北側駐車場に接近し、駐車場整理の人に駐輪可を確認していつもの場所に駐輪する。自動二輪は道路を走る時は自動車と同格だが停める場所は自転車と同列。
 本館エントランスで入場券を入手するもまだ展示は見ぬ。提示する友の会会員証の更新シールは今年度分までで九枚まで貼られており、来年度で欄が全て埋まる。
 「めだか」には小野寺弘幸氏と西條女史。前回の訪問から三ヶ月半空けているので、関係者達は口々に心配していたと言う。まずはカレーライス一皿。
 弘幸氏が「うちのも心配していた」と言うので生家にも顔を出す。「うちの」小野寺おっかさんと、やはりなじみの係の女性。定例どおり茶を飲みつつ暫く会話。筆者は「おっかさん」と呼んでいるが、近所の人達からは「ゆきちゃん」と呼ばれている。
 南側駐車場の高市の様子も見ておく。苗木、刃物、玩具、軽食が売られているが何も買わぬ。駐車場奥には舞台が設置され、地元の社中が大正琴を演奏している。
 やっと本館、企画に入る。第30回特別企画展「プリティーワールド yes!プリキュア5GOGO展」四月四日(土)から七月十二日(日)まで。言うまでも無く筆者の興味の対象外。初めから後述の友の会総会のついでに見るつもりでいたのですぐには来なかったのである。展示を一通り見ておく。最新作「フレッシュプリキュア!」の展示もある。よくよく考えれば、姉も妹もいない筆者は子供の頃に女の子番組を見た記憶があまり無い。「赤毛のアン」「ペリーヌ」「フローネ」は少女が主人公だが所謂名作劇場は男の子番組、女の子番組と分けられるものでもないだろう(少年が主人公だから「母をたずねて」や「トム・ソーヤー」が男の子番組と言うわけでもない)。各種魔法少女作品は全く見た事が無い。石森不思議コメディの少女作品も見ていない。明確に自らの意思で見ていた女の子番組は、自分がとうに大人になってからの実写版「セーラームーン」くらいだと思う。
 夕刻、夫婦と幼い娘の三人連れが来る。エントランスで貸し出しているプリキュア衣装を娘が着て、母と共に父が写真撮影。更に館職員がカメラを持って親子三人で写真に収まる。何となくその様子を眺めるがあまり凝視すると怪しまれる。職員に尋ねれば、面白がって男児にこれを着せる親や、自ら着たがる男児もあると言う。
 本館は十七時で閉館。館を出て、マシンで石森ふれあいセンターに向かう。
 友の会総会は十九時から。二年振りの出席。廊下で読書をして開会までの二時間を過ごす。新年度は職員の異動があり、廊下で熊谷副館長から新任者の紹介をされる。
 定刻どおり開会。所用で新館長欠席と言うが、館長にとって友の会への挨拶より大事な用事とは一体何だったのか。民主党上院議員大石正光からの祝辞が披露されるが当人の出席は無し。出席者から友の会や本館に対して多少要望が出るが特に紛糾せず、議案は全て可決。地元の若者数名が入会と同時に役員就任。
 懇親会で筆者が着く席はいつもと同じ。飲んで喰って騒ぐ。
 二十一時半頃辞去。二十三時頃帰宅。

 例によって特別企画展の感想等は差し控える。
 今回の総会の特筆事項は若い新入会者である。高齢者ばかりで後継者が入って来ない組織は当然いずれ滅亡してしまう、以前筆者も総会で若者対策を質した事がある。今後の活躍に期待しよう。
 既に掲示板で話題にした「国営巨大マンガ喫茶」。この議論が飛び火して、全国各地の既にある施設が叩かれないか、筆者は心配している。ふるさと記念館は決して市営マンガ喫茶ではない。本館、生家、旧幼稚園が単なる展示施設ではなく、また単に章太郎の顕彰に留まらず、生涯学習施設として様々な地元行事、人々の交流に有機的に機能している。高市もその一つである。もし国政がふるさと記念館を叩こう、潰そうとするなら筆者はふるさと記念館の味方だ。
 ただ。度々触れているとおり、「BLACK」が関わった夕張市はあのような事になり、萬画館開館以来石巻市長は二代続けて非業の最期を遂げている。「石森ヒーローと市長」の組み合わせは不吉と言うジンクスが現実味を帯びている今、登米市までもがそのジンクスに該当しないように祈るのみ。

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