「石森章太郎ふるさと記念館」第五十五回訪問記

平成二十一年二月二十八日(月)

 定例の七時六分上り。時々荒れるも今冬は雪は少ない。この日も天気はいい。
 いつもの行程、八時二十二分石越着。こちらも好天、風は穏やか。駅前の異変に気付く、旧くりはら田園鉄道石越駅舎が取り壊されて更地になっている。路線の廃止からそろそろ二年。
 石越郵便局ATMで資金調達。駅前にしても記念館にしてもすぐ近くにATMがあるのが便利ではある。
 駅前停留所で市民バスを待つのは筆者ともう一人のみ。九時十九分のバスには既に十人以上乗っているがここで降りる人はいない。やはり筆者以外の乗客は老人と子供ばかりである。その後も次々に客が乗り込んで満席。百円ならば乗ってもいい、百円でなければ乗らないのであろう。記念館前で筆者一人下車。
 生家。係の近所の女性が一人駐在している。既に顔なじみだが、彼女が岩手県前沢町出身で、胆江地区や盛岡市近辺の噺をいろいろ聞く。往時の郷土の様子、出来事について人生の先輩から聞くのは大好きである。
 九十分ほど対話してから辞去。「めだか」に入れば西條女史一人在店。この日は小野寺夫妻には会っていない。
 本館。人影はまばら。
 年度末のお楽しみ、第10回自主企画展「高校生マンガ展」この日から三月二十九日(日)まで。自主企画展としては節目の回数だがこの中には他の人の二回の個展を含み、高校生展としては八回目。入場無料。
 参加校は下記のとおり。

 今回は大学生や小学生の出品は無い。ヒューマンアカデミー仙台校と東北高のそれぞれ一名は更にクリアファイルに長編が収められて閲覧に供されている。また、東北高漫画部顧問山下氏と同部の作品は雑誌に連載されたもので、原稿と掲載誌の両方と掲載依頼の経緯を展示。作品の出来は精粗いろいろだが、丁寧に仕上げられた作品のある一方で吹き出しの中の文字が清書されずに鉛筆のままのもある。専門学校生の作品にかなり卑猥なのもあるが果たしてあの内容をどこでどのように取材したのだろうか。そして毎回、若い女性の妄想には見ているこちらが困惑する。これを読んでいる女性の方々、日々妄想していますか。
 「めだか」で食事。カレーと油麩そば。
 好天が続く。敷地を出て伊勢岡神明社参拝。東側から境内を出て館に戻る。
 館の事務室の棚に何かの雑誌の別冊付録「仮面ライダー検定2007」がある。筆者も挑み、「BLACK」は全問正解、「RX」は最後の一問を間違える。筆者なら石森両館についての検定問題を作れる、初級から超難問まで。
 「めだか」の蔵の部分に並べてある売り物の駄菓子類がまるで「昭和タチバナ湯ものがたり」に出て来る駄菓子屋の世界。今でもあるのかいたずら玩具のパンチガム、LOTTEを模した「LOTTG」。フラボノやキシリトール、大きさや印刷はなかなか精巧である。
 企画の客は少ないが決して無人ではなく、中には熱心に見入っている少年もいる。
 「めだか」でトマトジュースと花そば。
 十六時半頃に辞去。敢えて久方振りに駅に向かって歩き始める。途中、人と行き交うのは犬の散歩中の男性一人のみ、本当に人通りが少ない。十七時四十分頃、駅から三キロメートル手前の石越総合支所前でタクシーを呼び、八百七十円で済む。十八時二分に乗って五十三分水沢着。鉄道は好きだが途中の待ち時間は短い方が精神的負担が少ない。

 自主企画展については特に言うこと無し。これからも続けて欲しい、それだけである。
 毎回、石越駅で様子を観察してみても、電車に乗る為にバスで来る人はまずいない。しかし電車を降りてからバスに乗る人は少なくともここに一人いる。どうせ老人と子供しか乗らないバスなのだから、わざわざ県外から来てくれるありがたい客の為に十分か二十分くらい運行時刻をずらして記念館行の利便性を図ってもバチは当たるまいとも思う。

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