「石森章太郎ふるさと記念館」第四十九回訪問記

平成二十年四月五日(土)

 七時六分水沢発。前回乗車時に気付いていたが無人駅・有壁駅前で宅地分譲が始まっている。八時二十二分石越着、そして駅内で九時十九分のバスを待つ。新年度になってもJRと市民バスの不便さは変わらない。晴天だが風が強くて肌寒い。
 駅前バス停の小さな待合室の中に人がいるのを初めて見る。バスは石越駅前着の時点で数人の客が乗っており、筆者の乗車後も石越町内で次々に他の客も乗り込んで来て、章太郎記念館前で一人で下車するまでにはほぼ満席。やはり乗客は子供と高齢者ばかりである。車内放送(録音再生)が「石越町役場」ではなく「石越総合支所」と告げる。
 下車してすぐに生家に向かう。小野寺おっかさんとの会話中、新任の登米市生涯学習課長来訪。筆者が生家内を案内する。
 十一時頃本館に向かう。すぐに新年度会費納入。
 人事異動で館長も交代するがこの時は新館長に会えず。その他、館から一度他部署に移動してまた戻って来た職員もいる。
 第26回特別企画展「NARUTO−ナルト−展」この日から七月十三日(日)まで。
 この作品も筆者は聞いた事があると言う程度。展示内容は粗筋や登場人物紹介等のパネル、ビデオ上映、記念撮影用の実物大人形、複製原画等。原作者から来場者宛の挨拶が書かれた色紙が飾られている。原作漫画よりアニメの展示が主になっている。午前中から引っ切り無しに、主に親子連れが次々に入場。初日から大盛況である。やはり連載中、放送中の作品は強い。企画の室内に作品についてのクイズが掲示されており、解答用紙に記入してエントランスに提出するとその場で答え合わせをして全問正解で賞品がもらえるようになっている。興味のある人に賞品が行き渡る方がよいので筆者はクイズには参加しない。
 常設は特筆事項無し。
 やっとエントランスに「仮面ライダーキバ」のポスターが貼られている。
 事務室で熊谷副館長達と会話。三月末にNHK・BS2で放送された「とことん!石森章太郎」も話題になる。また、棚から雑誌を取り出して目を通す。石森両館についての記事が時折載るようである。最近の筆者は特撮雑誌も購読しなくなってますます情報に疎くなっている。「ホビージャパン」の連載記事で「みうらじゅん」が彦根市の「ひこにゃん」を採り上げ、「人気が出れば次は権利、つまりカネの問題」と言っているのは実にそのとおり。蛇足ながら、シージェッター海斗は問題になるほどの人気が無いのだ。
 旧蔵楽の建物の中で特別企画展関連商品を販売している。水嶋ヒロのオロナミンCのポスターがまだ貼ってある。関係者によると、以前の運営会社・(有)石ノ森は解散して、新たな事業主体によって店舗を再開する予定だと言う。カウンターで出されたコーヒーを飲みつつ、居合わせた友の会関係者と今後の展望等を語り合う。
 エントランスにデアゴスティーニの「週刊仮面ライダー」のチラシが置いてある。この手の「週刊百科」の類は筆者は手を出したことが無い。
 昼食は「はっと亭」、今回もはっと定食一つ。品目は基本的に「はっと」と牛丼の二種類で、更に単品か或いは漬け物等との組み合わせの「定食」かで数種類に分かれる。他に鯛焼きをその場で焼いて売っている。飲み物の有料メニューは無い。
 午後も何度も事務室、展示室に出入りする。渡邉・元館長、佐藤・前友の会会長来訪。熊谷副館長に「BLACK」#37の冒頭を見せて「市長が石森ヒーローに関与するのは不吉」と説く。喫煙したい人達は事務室から出て外で吸っている。近所の常連と思しき父娘が事務室に立ち寄って行く。娘は前述のクイズで時計を当てて喜んでいる。
 十四時四十分頃、手配の自動車で帰途に就く。下り列車の時刻・十五時には間に合うが強風の為に上下共に運行に乱れが出ている。十四時十一分の便が一時間の遅れで石越着、十五時の便は運休。一ノ関の手前辺りで緊急停止、線路を横断する歩行者あり。本来は十五時二十二分に一ノ関着で二十七分の盛岡行きに接続するのだが十五時半を過ぎての一ノ関着。但し、盛岡行が発車を七分ほど遅らせるのでそれに乗り込み、十六時頃の水沢着。一ノ関での一時間待ちは免れる。

 今回も特別企画展についての論評は控えておくが、原作者がこの展示会場の為に色紙を描き下ろしたのはいいことである。手書きの色紙からは原作者のふるさと記念館に対する敬意が窺われる。
 昨年後半、蔵楽は閉店の危機、続行、そして本当に閉店と混乱が窺えたが、今は再出発に向けて始動している。本館敷地内の憩いの場の復活に期待しよう。本館エントランスは飲食には向かない。
 現在筆者が利用している市民バスのダイヤは「バスで石越駅に来てそこから上り列車に乗る」には便利だが、その逆が最悪である。バス運行についてまた思うところがあるので、もう少し考えて意見をまとめてみようとは思う。

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