「石森章太郎ふるさと記念館」第三十一回訪問記

平成十七年四月二日(土)

 うっかり水沢から九時十一分の上りに乗車して石越に十時九分に着いてもバスが無い。一本早い電車に乗るべきだったのに勘違いした。歩くべきか否か考えているうちにタクシーが来るのでこれを利用する。車内で「どこから来たの」と言う運転手氏の問いからふるさと記念館談議。彼は七十歳くらいに見えるが「今の仮面ライダーは子供に解るのか」等、或る程度は知っているらしい。また、この辺りのタクシー運転手は岩手県南の話題にも詳しい。水沢市や一関市のこともよく知っている。
 館に到着、蔵楽で挨拶。西條女史、千葉夫妻、いつもの人々。「響鬼」のディスクアニマルは蟹と蛇も入荷。雑談をしてから本館に向かう。
 自治体合併により四月一日付けで登米郡中田町は登米市に移行、ふるさと記念館も登米市立となる。また、今まで副館長を務めていた本宮秀年氏が三代目館長に就任。各人から挨拶を受ける。
 エントランスで友の会の新年度会費を納める。その頭上には「555」「剣」のライダー人形十七種が飾られている。十七種でもたった二作品、実にテレ朝ライダーである。職員に向かって「全部言えるかな?」と問うてみるが斯く言う筆者も分からぬ。「クウガ」の四種のフォームまでは言えるが「金の力」だの「アメイジング」だのとなるともう駄目。
 登米市誕生記念第17回特別企画展「みんな大好き!ドラえもん展」この日から七月十日(日)まで。
 「ドラえもん」自体には説明を要すまい。周知のとおり主役五人の声優交代は国民的関心事となった。丁度世間の注目を集めた「ドラえもん」が新市を祝う、いい趣向である。
 展示内容は「ドラえもん」を中心に「パーマン」「ウメ星デンカ」「21エモン」「モジャ公」「エスパー魔美」等、F作品の特集。「ドラえもん」は原画、映画ポスター、アニメのセル画、人形等多岐に亙るが他の作品は原画のみ。原画の選択は萬画館でのF展とは変えてある。映画ポスターやドラぬいぐるみ軍団は萬画館でも見た物。新配役についての展示は特に無い。
 「ドラえもん」原画のうち「未来の国からはるばると」と「天の川鉄道の夜」の二本は全部展示。その他は一頁乃至数頁ずつ。「おばあちゃんの思い出」は祖母が「ランドセル姿を見たい」と願う場面の頁で筆者それだけで涙。
 「ドラえもん」以外は数頁ずつの展示で一本丸ごとは無い。
 原画には解説や原作者の言葉が付されているがセル画には説明らしい説明が無い。この辺りがちぐはぐである。
 展示室奥の壁にFの巨大な肖像写真、その隣にテレビセット。ドキュメンタリー番組や「ドラえもん」「天地版オバQ」のビデオを見る。
 てんとう虫コミックス四十五冊と大長編が立ち読みできる。
 十一時、十三時、十五時の一日三回、エントランスにドラえもんの着ぐるみ登場。身長は百五十センチメートルくらいはあるから設定より大きい。何より巨大な頭の威圧感! 一人では満足に動けず、介添えを受けてよたよたと歩く。そしてただ突っ立って手を振る程度でも幼児達は大喜び、写真を撮って行く。場内は「アンパンマン」ほどではないがそこそこ盛況、多くは親子連れである。
 一度館を出て出て生家。弘幸氏夫人(今後「小野寺おっかさん」と呼称)は丁度掃除を終えたところだと言う。雑談。今般の「ドラえもん」声優人事についてはいろいろ言われているが「なかにし礼」がいいことを言った、「今日から見る子供もいるんだ」。
 昼時。蔵楽で油麩丼とデザートに「ぶっかけうどん」。本当に蔵楽での筆者は大食漢である。
 また特別展示室を見る。何巡も見ても飽きない。
 十三時、再びドラえもん着ぐるみ。どこぞの二、三歳児が喜んでドラえもんにしがみ付き、母親が写真を撮るべく「こっち向いて」と言っても意に介さない。また、ドラえもんのポケットに手を突っ込んで何か取り出そうとする幼児もいる。
 辞去、石森仲町十三時三十七分のバスに乗る。旧石越町役場の建物には真新しい「登米市石越総合支所」の看板が掲げられているが、バス停は「町営住宅」「石越町役場前」のまま。そうすぐには変わるまい。尚、石森仲町から石越駅前まで、乗客は筆者一人である。
 十四時一分の下りがまた数分遅れる。水沢着は十五時二十分。

 特別企画展は立ち読みコーナー等を設けるより少しでも多くの原画を展示して欲しかった。セル画の展示方法が杜撰。素材自体は素晴らしい。
 登米市誕生で、昨年訪問した登米町「みやぎの明治村」も同じ市になった。市内には史跡、文化施設がいくつもあるようなので、今後、連携しての各種施策が期待される。

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