「石森章太郎ふるさと記念館」第三回訪問記

平成十二年七月二十三日(日)

 日曜日の朝、十時過ぎにもそもそと布団から這い出る。普段ならここで「タイムレンジャー」「クウガ」のビデオを見始めるのだが、二十日に記念館から持ち帰った「オープニング・イベント一覧表」をふと見ると、午後二時からの「仮面ライダーショー サイン・握手会」にはまだ間に合う。急ぎ身支度をして水澤から十一時六分の上り列車に飛び乗る。思いつきの単独行動。
 石越着は十一時五十九分。バスは午後二時。例によって徒歩である。
 快晴、炎天下。一日に数回しかバスの通らぬバス道をすたすたと歩く。真夏の太陽に肌をかれつつ進む黒き旅人。
 石越駅から記念館までの往路を歩き通すのは今回が初めて。二十日の帰りに迷った箇所も確認。どうも石越町役場から石森の市街地に抜ける辺り、バス道以外に近道がありそうな気がするのだがさすがにそこまで踏査するつもりはない。
 道中、与野党を問わずやたら政党、政治家のポスターが多いのに気付く。保守党のだけは見当たらないが。昨秋に通った時は「いっちゃん」小野寺五典いつのり衆議院議員(当時)のが多かったがさすがに今は一枚も残っていない。「佐々木たけし」という看板があるが一文字隼人とは無関係だろう。
 一時間四十分ほどで到着。
 門前に石森いしのもり郵便局が臨時出張所を出している。
 今回の入場券は赤を選ぶ。仕事場の石森。これで筆者もレッド&ブルー、二種を揃える。流れている音楽は「ドラゴン・ロード」。好きだ、串田アキラ。
 すぐ駐車場へ。最後部の座席に腰掛ける。
 「仮面ライダークウガ」ショー。出演は司会のお姉さん、マイティフォーム、ドラゴンフォーム、ズ・ゴオマ・グ、メ・バヂス・バ、グロンギ戦闘員三人、グロンギに追われる青年。
 司会が観客に帽子の着用、或いはハンカチ等を頭に乗せることを呼びかけるほどの照り付けである。筆者は外出時はいつも帽子をかぶっている。
 この手のショーの冒頭で司会が「こんにちは!」と叫ぶと右手を挙げて「オイッス!」と答える筆者は大のドリフ愛好家。
 クウガは「仮面ライダークウガ!」を名乗り、掛け声は「トウ!」、そして「マイティパンチ!」如何に「クウガ」と雖もヒーローショーの「塗り替え」はできないようだ。また、未確認生命体とは一切言わず、グロンギ怪人と呼んでいる。ゴオマ大活躍、バヂスと内紛の末これを斃してしまい、そして自らクウガに挑むという猛者振り。それにしても炎天下に活躍するゴオマ、妙だ。ショー自体はそれなりに面白いし、盛り上がりはする。
 ショーの最後、「仮面ライダークウガのお歌」は場内から子供の歌声全く聞えず、やはり子供向きの歌に非ず。筆者は勿論きちんと歌う。
 握手会とサイン色紙、変身セット即売会。ここで石巻のawano氏にばったり会う。
 握手の列の最後尾につく。筆者もマイティフォームと握手。「暑い中御苦労さん!」と声を掛けると彼は左腕で小さくガッツポーズを取って答える。
 それにしてもヒーローショー会場のすぐ隣が墓場(安永寺)というのが或る意味凄い。
 館内。かなり混雑している。
 二十日はあまり見なかった原画展示を今回はじっくり見る。企画展示室には「小川のメダカ」や「二級天使」、常設展示室には「二級天使」第一回。「小川のメダカ」息子達の反応にいちいちずっこける原作者がよい。「二級天使」の中に戦争孤児が登場するのが時代を感じさせる。
 三時過ぎに退出。
 門前の石森局臨時出張所で絵入り葉書を買い、小型印押印。係の人達と少し談笑。小型印を使った記念品等は特に作っていないそうだ。
 また「生家」を見てみる。今も人の住んでいる民家なればあまりじろじろ見るのも失礼だろう。その向かい、記念館前というバス停が出来ている。
 少し歩いて石森仲町から若柳行に乗車、三時三十三分の便。記念館からの帰りにバスを利用するのは初めて。
 乗車時には乗客無し。そして石越駅までの十数分、全く乗降無し。これでは旧立花小学校跡もびっくりだな。実際、記念館に行くのに宮交登米バスを使う人はどれくらいいるのだろうか。
 三時五十九分の下りに乗り、水澤着は五時二十三分。
 実に暑い一日であった。すっかり日焼けして左手首に腕時計の跡がくっきり出る。いつかは「石越駅から記念館まで往復とも徒歩」にでも挑戦してみるか。
 あまり間を置かずに記念館を二度訪問した。別にこれから毎週、毎月のように訪問しようとは思わないが、企画展、催し物があれば積極的に見学、見物しようとは思う。岩手県滝沢村のアピオよりも宮城県中田町の記念館の方が近いくらいだ。

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