「石森章太郎ふるさと記念館」第二十四回訪問記

平成十六年三月十日(水)

 平日訪問は石巻市には何度もしているが、中田町は今回が初めてである。
 水沢から九時十一分の上り列車に乗って石越着は十時八分。同十五分のバスに乗る。
 先の選挙で大石正光候補に代わって返り咲いた小野寺五典代議士のポスターが、バス道路沿いにやたら目に付く。少しやつれたようだな。石森出身の大石前代議士はふるさと記念館にちょくちょく顔を出していたが、気仙沼市生まれで地元事務所は迫町にある小野寺代議士はどうだろう。尚、中田町は同選挙区の気仙沼市や本吉郡よりも、寧ろ北上川でつながっている石巻圏との関係が深いとも言う。
 十時半過ぎ、記念館より手前の石森新町で下車。雪は殆ど見られず、表通りからは完全に消えている。いい天気。石森小学校の子供達が校庭で元気に遊ぶ。
 石大神社参拝。以前から触れている水沢県ネタの取材の為に境内探索、写真撮影。地元政治家・伊東眞之しんのうの記念碑「伊東君紀功碑」の題額は水沢市出身の後藤新平伯爵によるもの。通りかかった近所の男性にも聞き込みをする。
 バス通りには出ず、裏の小路を歩く。章太郎が「佐武と市捕物控」の着想を得た場所であると言う。朽ち果てた旧石森町役場跡を見つける。
 伊勢岡神明社参拝。ここでも改めて探索、撮影。
 十一時過ぎに北側からふるさと記念館の敷地に入り、蔵楽に直行する。
 いつもの人々に挨拶。そして語り合う。男性は大人になっても怪獣怪人が好きとは限らないが、女性は五、六十歳を過ぎても「かわいい物」が大好きである。
 食事はヒレかつ定食。いくつか土産物を買う。何故か岩手県安代町の「南部せんべい」も売られている。
 本館。小野寺館長に挨拶。
 パチンコメーカーの等身大仮面ライダー立て看板がエントランスに飾られている。向こうから送ってきたのだそうな。
 第3回自主企画展「高校生まんが展」当初予定は二月二十一日(土)から三月三十一日(水)までだったが四月十一日(日)まで延長。宮城県の東北高校、宮城第一女子高校(通称「一女いちじょ」)、尚絅しょうけい学院女子高校の作品展、入場無料。
 ストーリー物は数頁の物から二十頁を超える物までいろいろ。東北高校漫画部顧問の四コマ漫画が一番気に入る。
 壁に漫画が飾られている他、ガラスケースに漫画の道具等が収められている。  筆者の後に一女生徒五、六人の一団が入って来て、小野寺館長や本宮副館長の案内で見学。口々に「スゲー」と賛嘆の声をあげる。
 エントランスで小野寺館長と少し会話。
 辞去。今回は生家には行かない。  十二時四十七分のバスで石越に向かい、駅で一時間弱待ってから十四時過ぎの下り列車で帰途に就く。

 当然ながらこの自主企画展は集客力のある展示ではない、如何に無料でもわざわざ県外から素人作品目当てに来る人は少ないだろう。しかしこれこそが地域の生涯学習施設たるふるさと記念館に実にふさわしい展示だと思う。郷土の大先輩の記念館に作品を飾ってもらう、生徒達にとっては大変な栄誉に違いない。自分の記念館が後進達の励みになるなら御大も泉下で喜んでいるのではないか。ふるさと記念館は生涯学習施設、萬画館は観光施設、これで役割分担はできると思う。問題は今も両施設を混同して間違えて訪問する客が絶えないということだ。

一覧に戻る

目次に戻る

I use "ルビふりマクロ".