十一時頃にマシンで出発。肌寒い晴天の下、国道四号線、三百四十二号線を南下する。平泉町の歩道橋近辺は大抵混雑している。
十二時半頃現地着。まずは食事、蔵楽に直行。また品目が増えている、今度は
いつもの人々に挨拶。関係者によると、今年開催の特別企画展では結果として「アトム展」よりも「009展」の方がお客は入ったという。そして「アトム展」同士では原画展示のふるさと記念館よりアニメ展示の増田町まんが美術館の方が入ったらしい。
店内に於いて十、十一月は「鉄道写真展」開催中。宮城県岩沼市在住の北村裕行氏撮影の、昭和五十年代の鉄道写真。各地の蒸気機関車や特急電車、廃止された仙台市路面電車等。また、千田廣見氏撮影の、平成十三年みやぎ国体の際の御召列車の大きな写真が
木工製品の砂時計(三分計)を買う。
入館。エントランスには今までの全特別企画展のポスターを飾ってある。どれも欠かさず見ているのだ筆者は。
第十七回訪問記で触れた、水沢市内駒形神社境内の絵馬の写真を幸朗氏や小野寺館長に見せると両氏とも高い関心を示す。絵馬の寄贈者は「陸前石森町崇敬講支部長/湯澤(平)藏」「陸前
(吉)田村崇敬講支部長/榊原 享」の二名。両氏によると、石森町支部長は名字から察して現在の中田町加賀野地区の人ではないかという。
(吉)田村は現在の宮城県米山町。改めて水沢市と登米郡の関係に思いを致す。
第13回特別企画展「101人の美女たち小島
美人画、河童、週刊誌への長期連載、テレビ出演等で活躍する大ベテラン、(社)日本漫画家協会会長。実は翌二十六日が彼を迎えてのサイン会なのだが、筆者は都合でこの日に参観する。
今回は間違いなく大人向けの企画展である。冒頭は週刊誌連載の「仙人部落」原画。漫画原画の他、特別企画展の題名が示すとおり、彩色の美人画百一点が会場内を埋め尽くす。
夫人とのツーショット、漫画家仲間との野球風景や、大橋巨泉と写っているテレビ出演の様子の写真パネルがある。
何やら奥の方から歌声が聞える。「かっぱの小道」と題された一角、河童の絵の特集。故・清水崑から引き継いだ河童、「黄桜」のCMキャラクターとして大変有名である。絵画作品の他、テレビセットで同社のCM集のビデオを上映している。楠トシエの歌声と故・芥川隆行のナレーションが実に懐かしい。昭和三十年代、白黒時代から今に至るCMの数々、昭和五十年代のは筆者も記憶にある。ガラスケースの中に、同社の資料等が収められている。
美人画は和装、洋装、水着、裸体、さまざまな趣向。背景に「長恨歌」の一節が書かれているのは楊貴妃だ。踊り子の元祖・
企業等のポスター類。警察の防犯ポスターに採用されていたのは意外。
観覧客は多くない。全体として艶っぽい作品が多い、中高年の夫婦連れが見るのにはいいかも知れない。
常設の色紙展示が模様替えしている。
小野寺電気と生家の間にあった旧洗濯屋が食堂に模様替えして「はっと」を供している。
生家では児童の美術作品展「石ノ森章太郎ヒーロー作品展」を十八日から二十六日まで開催。一点だけ非石ノ森作品の絵がある、多分その出品者の親は「スーパー戦隊シリーズ」の事を「ゴレンジャー物」と呼んでいるだろう。駐在の案内係・大坂氏と会話。先程の絵馬から、水沢市と当地の関連に話が及ぶ。やはり伊達藩なのである。
再び蔵楽。ケーキセットとポケットピザで一服。鉄道写真の撮影者・北村氏来店。この日の朝に「くりでん」も撮影してきたという、早く撮らないといつ廃止されるか分からない。
企画をもう一巡する。どこぞの女子小学生二人入室、この企画展にいちばん似つかわしくない。彼女達はすぐ出て行く。
萬画館の女子職員達は割りとよくテレビに出ているのにふるさと記念館はそうではない。ここの女子職員達もテレビに出すべしと小野寺館長に要望する。美貌と上品さではこちらが勝っているだろう。
十六時前後に辞去。
マシンで石越駅前まで走ってみる。それからまた引き返し、十八時前には帰着する。帰路の途中、花泉町内で何と「龍騎」のクリスマスケーキの予約を受け付けている店を見つける。去年の在庫がまだがあるのか?
子供連れには決して勧められない特別企画展。展示自体は上品でユーモア溢れる世界なのだが、ひょっとしたら二十代独身男の筆者もまだ早いかも知れない。黄桜CM集は大変懐かしい趣向だと思う、四十年も前からあの歌が使われていたとは知らなかった。
遂に蕎麦まで登場して、蔵楽の品目の充実振りには目を見張るものがある。開業当初はおやつ程度しか無かったのに、今や丼物、定食、お子様ランチ、麺類まで揃った。立地条件やふるさと記念館自体の規模を考えれば立派な物だ。個人的には御飯物や麺類は大好きなのでその方面の拡充は大歓迎だ。
筆者は特に鉄道趣味は無いが、鉄道はよく利用して親近感を持っている。鉄道写真展も大変楽しく、興味深く見た。丁度国鉄の蒸気機関車が廃止される頃の生まれなので、現役の蒸気機関車は見たことが無く、公園等に置いてあるのを見るだけ。平成五年、東北本線を特別列車の蒸気機関車が走った時、その汽笛が我が下宿にも聞えてきて、思わず「メーテル!」と叫んで走り出したくなった。
蔵楽には食堂、売店の他に作品展示の場として今後もいろいろな物を見せて欲しい。筆者自身には出品できるような代物が無いのが残念だ。
次の訪問はまた少し間を空けて来年一月のメモリアルデー辺りか。
I use "ルビふりマクロ".