「石森章太郎ふるさと記念館」第十三回訪問記

平成十四年五月十一日(土)

 去る四月二十日、我が「帝國」のアクセスが二十万を突破した。今回はその記念としての中田町訪問である。
 いつもの九時十二分水沢発の下りに近所の同好の友人ゴーグルグリーンと共に乗り込み、石越駅前からバスに乗る。水沢から現地までずっと小雨。
 石越町の県道四号線沿いに「記念館まで3km」の看板が新たに設置されている。中田町外にもどんどん案内を設置して欲しいものだ。
 車内から相棒に左手のロボコンモニュメント、右手のエッちゃんモニュメントを教える。
 石森仲町で下車。
 まず生家に入る。館長夫人の出迎えを受ける、彼女によると「うちのお父さん」は所用で不在だそうな。我々が当日の生家来訪者第一号。寒いのでストーブ点火。
 生家内部は初めての相棒に対して筆者がいろいろ説明。筆者はもう慣れたものである。
 十二日まで生家で「ネパール写真展」開催。二十五年間の保母生活の後、ネパール王国サチコール村という所で現地住民の支援活動をしている桜井ひろ子なる人物の写真展示。石森とは無関係。尚、彼女は江戸川由利子でもフジ隊員でもない。
 ネパール王国、ヒマラヤ山脈の麓の小国。ここ数年は官軍と共匪きょうひの死闘が繰り広げられ、昨年は奇怪な王室銃殺事件が発生する等、ろくなニュースが入って来ない。今回展示の写真には、貧しいが平和な村の様子が描かれている。
 写真と共に、村の習俗の説明文や子供達の描いた絵も展示されている。三歳の幼児でも一歳二歳の弟妹の面倒を見ているという、子供の頃に全然弟の面倒を見ないと両親から非難された筆者は耳が痛い。
 館長夫人のれるコーヒー、日本茶でくつろぐ。
 我々の後に初老の一団が見学していく、館長夫人が案内する。章太郎の父・康太郎氏は町の教育行政に携わった人物で、息子の萬画家志望には大反対したが、晩年は病床にあって息子の活躍を楽しみにしていたという。今でこそ漫画家がお上から栄典を授かったり、各種要職に着いたりしているが、五十年前はヤクザな商売だったのだ。
 生家で小一時間ほど過ごしてから記念館敷地に入る。まず茶屋。四月に蔵部分を食堂に改装し、ライスカレー等の軽食を提供している。土産物等販売は館エントランスに移る。
 沼倉女史と幸朗氏に挨拶、「お久し振り」と。筆者が暫く姿を見せぬ、黄金週間にも来ないので心配していたのだという。ああ、確かに常連だが「体調でも悪いのではないか」(幸朗氏)とまで思われれば大したものだ。勿論、体調を崩したりはしていない。たまたま間が空いただけだ。
 沼倉女史と岩手県の観光、名産についての談義。
 記念館エントランスでも館職員と「お久し振り」という話になる。いよいよ筆者が「顔」なのを相棒も実感した様子。館職員は暖炉に薪をくべている、寒い日なのである。
 筆者は記念館友の会新年度会費を納入して更新、その場で新会員証を受け取る。新会員証はカラー印刷で記念館の門の写真と原作萬画の仮面ライダーがあしらわれた物、ぐっと豪華になる。相棒は新規入会、会員証は後日郵送と告げられる。友よ、せっかく二千円払ったのだから年に三回以上訪れて本を取ろうぜ。
 企画に入る。第7回特別企画展「THE EXHIBITION 化粧師」七月十四日(日)まで。先般公開の東映映画にちなむ展示。
 原作萬画の原画六話分、登場人物を描いた大きな染め物、映画の紹介文パネルやスチール、映画の小道具(自転車等)、「ギミア・ぶれいく」の頃の原作萬画本等。テレビセットからは映画予告編がエンドレスで流れていて、映画との提携色が強い。尤も、その映画は未見だし、アニメもまた然り。
 単なるメイクアップアーティストではなく、広告宣伝や業務展開のプロデューサー業も務め、時の為政者と戦う「化粧師」。原画展示では「梅干し」が強く印象に残る。品物自体は変えていないのに、その扱い方で売価、売れ方を自在に操作してしまう。恐ろしい噺である。映画のスチールはどうも色使いが筆者の好みではない。
 相棒が空腹を訴えるので茶屋へ向かう。
 筆者はハヤシライスと焼きそば、相棒はカレー。ハヤシとカレーはスープが付く。蔵の食堂で昼食。こうしてレジや商品棚を取っ払った蔵内部は多少くすんだ感じがする。一階は椅子席だが、二階は座敷になっている。幼児を含む家族連れが二階に上がって行く。
 筆者はれんこんうどんとサブレと新入りのブルーベリーソースを、相棒はれんこんうどんを買う。二人共、麺好きである。
 再びエントランス、中年女性が「アトムだ」というのでそんなのあったかと思いつつそちらを見れば「009」ストラップ。「鉄腕アトム」といえば我が国を代表する世界的な漫画・アニメキャラクターだと思うのだが、彼女にはきっとパーマンやキン肉マンでもアトムに見えるのだろう。筆者は「小川のメダカ」のビデオを、相棒は「009」ストラップを買う。
 常設入り口の左手にテレ朝ライダー三作のポスターとクウガ、アギトのマスクが飾られているが相変わらず龍騎のマスクが無い。やはりマスクも三代揃っていないと格好悪いだろう。エントランスの南側入り口近くには「キカイダー01 THE ANIMATION」のポスターが貼られている。今年は「人造人間キカイダー」三十周年。
 ライブラリーで暫し萬画を読む、筆者は「快傑ハリマオ」、相棒は「宇宙鉄人キョーダイン」等。
 帰り際、相棒は館職員から友の会会員証を受け取る。見学している間に出来たようだ。十四時二十分頃辞去。表には「燃えろ! 仮面ライダー」が流れている、「オウオウ!」と歌う我々。この歌を聴くとどうしても拳を振り上げて一緒に歌ってしまう。平山ライダーの主題歌では筆者が最も好きな歌ではある。
 道すがら郵便局前のエッちゃんと小学校前のロボコンの両モニュメントを再確認。今堂で乗車、十四時四十分頃。十五時十二分の下り列車で帰る。

 約四ケ月振りの訪問、筆者としてはかなり間を置いてしまった格好である。常連、顔、人気者。筆者も、最早見学というよりは親戚の家に遊びに行くような気分でいる。
 今回はかなり大人向きの企画展。近作の映像作品と大々的に提携しての企画展は初めてである、今後もテレビ、映画、ビデオ等と連動した企画を実施して欲しいものだ。今年は「人造人間キカイダー」三十周年であり、ビデオ「キカイダー01 THE ANIMATION」が先般完結したところでもある、是非「キカイダー展」を開いて欲しい。
 ブルーベリーソースは若柳町のジョイファームの製品、ヨーグルトによく合う。ブルーベリーの果肉がごろごろと入っている。れんこんうどんは相棒にも好評。この際、「龍騎」放送期間中は「秋山蓮根れんこんうどん」にでもしたらどうだ、取って付けた様におまけシールでも添付して。
 茶屋の食事は合格点である、ハヤシライスはトマトの風味がかなり強い。スープは少し濃い、もう少し器が大きくてもいい。やはり御飯物は嬉しい。ただ、食堂はあまりにも殺風景なのでもう少し華やかにして欲しい。

一覧に戻る

目次に戻る

I use "ルビふりマクロ".