「石森章太郎ふるさと記念館」第百四回訪問記

平成二十七年七月十八日(土)

 八時半頃にマシンで出発して九時頃に現地着。筆者より先にいるのは四、五人ほど。
 この日予定の矢口高雄&谷川彰英トークショーを目当てに早く出発したわけだが、矢口が熱中症発症で欠席の旨が告知される。一応、整理券は受け取っておく。
 第50回特別企画展「漫画家による仏の世界展」この日から十月十二日(月)まで。多数の漫画家による「仏画」の巡回展。
 展示冒頭の趣旨説明文に「わたしたち日本人は仏さまを宗教の対象としてではなく、暮らしのなかで夢や希望を託すキャラクターとして捉えているのではないでしょうか。」とある。漫画家各人が自分の作風で描いた「仏画」は、漫画の登場人物が仏像に扮しているようなもの、本格的なもの、妖艶なもの、いろいろある。確かに、あまり信仰心に訴えるような感じはしないが、それでも中には作品の前で合掌する人もいるのだと言う。
 一巡して展示に違和感があり、売られている図録で作品と説明文の取り違えを確認。担当者が飛んで来て「初日でよかった」と言って直す。
 「たばごや」でライスカレーとナポリタンを喰う。
 敷地を出る。
 登米市歴史博物館。市制10周年・戦後70周年企画展「戦争とくらし―資料で振り返る戦中・戦後―」六月二十七日(土)から八月三十日(日)まで。地元に残る戦時中の品々の展示。学校の日誌が目を引く。
 まっすぐに記念館に戻らずに寄り道。石森地区の隣の加賀野地区のかがの公園にある「浮石」。大きな、重い石がパスカルの原理で水に浮いていると言う代物。存在は前々から知ってはいたが今回初めて見る。確かに浮いている。それにしてもこの公園の辺りは小奇麗な団地で、すぐそばの国道三百四十六号線も賑わっているのに、やはり記念館近辺「だけ」はさびれている。
 浮石を見る直前に国道沿いの給油所で給油。
 石森ふれあいセンターの前を通ると「石森章太郎ふるさと記念館15周年記念式典出席者駐車場」と言う立て看板がある。そのような行事の開催予定は聞いていない。
 十四時までに記念館に戻り、隣の旧幼稚園講堂に入る。既に「15周年記念式典」は開催されていたようである。歴代館長や関係者の姿を見るが、筆者同様呼ばれて当然のはずの大常連の姿を見掛けない。
 矢口高雄急遽欠席で谷川彰英単独のトークショー。筑波大の教職を退職後、今は作家。十五年前の式典の思い出、章太郎との思い出、章太郎と手塚治虫の比較論等を一時間語る。
 会場で歴代と当代、三人の館長に、筆者の式典不招待について問う。五年前の十周年の時は招待客の末席を汚したが今回は格下げかと。今回十五周年は規模縮小での開催で次はまた大々的にと言う回答を得る。それでも納得いかぬ。
 また本館や「たばごや」に出入りする。館の女子職員達が資材運搬の力仕事をしている。その姿が実に良く似合っている。お姉さん力持ち。
 十六時半頃辞去、伊勢岡神明社に参拝して帰途に就き、十八時頃に帰宅。

 普段は筆者が会期初日に顔を出さなかったり、訪問と訪問の間隔が空いたりすると体調不良ではないかと心配するくせに、今回は式典に不招待。館長の代替わりのせいかとも思ったが現館長も二年目、先日の友の会総会でも会話をしている。何より、五年前は招待されているのに今回の格下げは納得できない。どのようにして仕返ししよう。尚、「たばごや」運営団体の関係者も呼ばれていないと言う。
 特別企画展は、日本宗教史、美術史を学んだ者としてはいろいろ思うところはある。讀賣読者としては植田まさし最高。どこからどう見ても植田まさし。

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